中野吉之伴フッスバルラボ

【きちゼミ】一場哲宏さんとのWEB対談を振り返る。子どもたちの主体性や自主性を育むフォレストカップとは?

 

▼ フォレストカップのススメ

先月、伊勢原FCフォレスト代表で、キッズコーチングのスペシャリストでもある一場哲宏さんをお迎えしてWEB対談を行いました。冒頭30分、一場さんからレクチャーをしてもらったのですが、そこで《フォレストカップ》の紹介がありました。

ご存じでしょうか?

これとても面白い試合形式です。何が面白いって完全子ども主体のサッカー大会なんです。大会準備、運営、進行を担当するのも子どもたち。

ハーフタイムでは相手チームと合同でミーティング。相手チームのいいところ、上手い選手を褒め合い、「敵」としてではなく、高めあう仲間として関わります。またコーチは一切口出しせず、いかに普段指示を出しすぎていたか思い知らされます。子どもたちが大会をサポートすることで様々な立場を経験し、ホスピタリティや主体性を大会を通して学びます。子どもたちだけでサッカー大会を運営 フォレストカップサッカー大会」(サカイク20年12月8日掲載記事より引用)

日本サッカー、ひいては日本社会において一番意識して取り組まなければならないのが主体性や自主性。自分で状況を認識し、やるべきことを判断し、何をどうするかを決断し、実際に行動へ移していくこと。

何も言わないでおくと放任になるという声もありますし、やるべきことへの指針がないと考えることもできないというのには僕も同意します。

けど、もし子供たちが四六時中様々な指示や取り決めや規則やスケジュールでがんじがらめの生活を送っている家庭や地域や学校やチームで生活をしているのであれば、何も言われずに自分たちで考えて、作って、あれこれチャレンジして、たくさん失敗して、そこからまた考えてという環境はとても貴重であり、なくてはならない空間なはずです。

指針とか考えるきっかけがないから考えることもできないという中でなんとか考えようとする経験が全くないというのはどうでしょう?

何をどうしていいかわからない状況でも、自分なりに整理して、自分なりに判断して、試行錯誤して、チャレンジして、仲間と協力して、とっかかりを見つけて、作ってという経験を積み重ねるから、人としてしたたかでしなやかになる。

毎回それだと子どもたちも大変だから、次の機会には指導者が入って情報整理の手助けをする。やるべきことを共通認識する。そしてそこに向けてみんなで取り組んでいく。そんなサイクルを定期的に、不定期的に作っていけるといいですね。

一場さんからこのフォレストカップの話を改めて聞いて思ったのは、これをカップ戦で終わらせるのはもったいないなと。

フォレストカップの概要でリーグ戦を開けるようになると絶対に面白い。

各クラブ持ち寄りで主催していく。子どもたち主体で大会を運営し、ハーフタイムミーティングを合同でしたりしながらも、その中で試合では本気でぶつかり合う。勝ったら大喜びし、負けたら本気で悔しがる。でも終わったらまたみんなで楽しみあえる。

そんな風景が日常的に見られたらすごいことになるんじゃないかと思いました。

フォレストの保護者は相手チームの選手が好プレーをすると拍手を送ったり、「すごい!ナイスシュート!」という声を送ったりするといいます。目が点になりますか?何してんの?って思いますか?

僕は勝つために一生懸命にやりあっていたとしても、そうした相手を称えあう精神がなければならないと思いますよ。スポーツですから。ドイツの例を挙げれば、試合後に相手チームの監督がうちのチームの選手に握手を求めて、「今日の試合は君のおかげで負けたよ。素晴らしいプレーだった!」と言葉を残していったりというシーンがよくあります。

僕も、うちのチームが負けた後でも相手チームのキャプテンと話をしたり、こちらのチャンスでシュートをブロックしたDFやGKをほめたりします。試合中に相手チームの監督と少し言い争うことはあても、試合が終わったら普通に談笑して、リーグ戦の健闘を祈りあう。

サッカーだけではなくて、スポーツ界全体でそうした方向に進んでいきたいですね。

皆さんのクラブでも「こんな取り組みをしているよ」「こんなことを大事にしているよ」というのがありましたら、ぜひご連絡ください。フッスバルラボで取り上げたいです。

※ 一場さんとのWEB対談フルバージョンの動画配信はこちらからお申込みできます!

【対談動画配信】キッズコーチングのスペシャリスト一場哲宏さんとWEB対談「子供の自己肯定感がアップ!子育てが楽しく、子どもが成長するために、僕たち大人ができること」

さて次ページでは一場さんとのWEB対談であった質疑応答の一部をご紹介したいと思います。

・ネガティブに考えがちな子どもにどう触れ合ったらいい?
・ひどい言葉を使ってしまった子どもにどう対処したらいい?

(残り 2009文字/全文: 3999文字)

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