中野吉之伴フッスバルラボ

【TR論】《ボールのある・なしに関わらず攻守両面でアクティブに関わる》《認知能力》という枠で考えたトレーニングメニュー

▼ 1週間のトレーニングモデル

トレーニングをプランするのって結構大変だ。

その場の思いつきでうまくいくこともあるけど、逆に全くうまくいかないことだってある。子どもたちと楽しくミニゲームをするだけでみんなが夢中になってくれると素敵だけど、それぞれのモチベーションばらばらで逆にケンカばっかりになってしまうことだってある。

コミュニケーションやチームビルディングを進めるため、あるいは子どもたちが子どもたちの時間と世界で遊ぶ機会を作るために、意図的に《指導者が関わらないようにするオーガナイズ》も大切なのは確か。

でもサッカーとも向き合ううえで、それだけになってしまうというのはもったいない。

トレーニングでゲームにおける動き方や駆け引き、自分が有利にプレーするためのアイディアを学んだり、気づける機会があれば、サッカーの奥深さを知って、もっといろんなプレーをしたいという向上心にも結びつく。

だからこそある程度は中・長期のトレーニングスケジュールを作って、それぞれの時期で何を目的にトレーニングするのか、どんなことを重点にとらえておくのかを整理して考えておいた方が絶対に良いし、うまくいかなかったときの対応策や次善策を準備しておきたいものだ。

僕が指導しているフライブルガーFC U12ではこんな風にやっている。

今のところ、7月から11月まで半ばまで2週間おきに《戦術的なチームテーマ》を決めてある。試合を構築していくうえで重要な、U12で身につけておきたい要素として《ビルドアップ》《チャンスメイク》《ゴールメイク》《攻撃から守備への切り替え》《守備から攻撃への切り替え》《積極的な守備》の6局面を取り上げている。

戦術的なチームテーマがあるからといって、チーム戦術的なことをやっているわけではない。僕が見ているのはU12。その年代が取り組むべきことと絡めていく必要があるわけだ。

《ビルドアップ》が戦術的テーマなら、この年代だったら、例えばまず《オープンな姿勢でパスをもらう》《ファーストタッチでスペースにボールを運ぶ》《スペースに顔を出す味方を見つける》というビルドアップを行ううえで基本的な要素をポイントにする。

アップの段階でシンプルな形の技術練習に戦術的な動きを取り入れたパスコンビネーションをしたり、そうした状況が起こりやすいようなゲーム形式を考えていく。

子どもたちが理解しやすいように人数設定は少なめに。2対1や3対1の状態でのポゼッションから縦パスを狙うようなルール設定やオーガナイズがまずは望ましい。

チームテーマは必ずしもこうした戦術用語とセットで行うわけではなく、例えば今週と来週は《ボールのある・なしに関わらず攻守両面でアクティブに関わる》というのをテーマにしている。対外試合が許可されたことでこれまでに2試合の親善試合を行ったが、8カ月ぶりの試合、新チームで初の試合ということもあり、ボールのないところで足を止めてしまう選手が多いという印象を受けたからだ。

《オフ・ザ・ボールの動きの質をあげよう》

といっただけでは選手の動きは変らない。いつ、どこで、なぜ、どのように動くことが求められ、それをすることでどんなプラスが君に、そしてチームにあるのかを説明していく。ゲーム形式でプレーをさせて、休憩時間にそれぞれ選手とミーティング。

そんな感じでインプットの時間を作って、チャレンジの時間を作って、ばらばらにする時間を作って、整理する時間を作っていくことで、チームとしての方向性が少しずつ見えてくると思う。

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