中野吉之伴フッスバルラボ

【ドイツ便り】イタリアの優勝で幕を閉じたユーロ。PK戦での采配云々の前に、その前に試合を決定づけられなかった点のほうがディスカッションテーマとしては大切

▼ 欧州選手権を振り返って

6月11日にローマで開幕試合が行われた欧州選手権2021は勝戦でイタリアがイングランドを延長の末に下して、53年ぶり2度目の戴冠を果たした。

イタリアの連続無敗記録は34試合。大会を通して非常に高いパフォーマンスを見せていたのは間違いないし、何より結果だけではなく、内容も伴う魅力的なサッカーというのが素晴らしい。

守備にもともと定評があったイタリアが《攻撃をどのように構築するのか》というテーゼに丁寧に取り組み、そのための育成を定着させようと尽力し、長期的な視点で進めてきたプロジェクトが背景にはある。

もはや《カテナッチオとファンタジスタ》だけに頼る国ではない。

守備戦術の伝統はそのままに個人任せだった《ファンタジスタ》の要素をチームとして作り出し、その中でフェデリコ・キエーザ、ロレンツォ・インシーニェのような個々の選手が生きていく戦い方を作り上げている。

今後がさらに楽しみな国だ。

準優勝に終わったイングランドもそうだ。

ここが最高到達点ではない。イングランドサッカー協会における今大会の目標は準決勝進出。選手の平均年齢は非常に若い。育成からどんどん優れた選手が生まれてきている。今回は決勝で涙をのんだが、次大会ではきっと優勝候補の一つとして、さらに成長した姿を見せてくれるはずだ。

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