【指導論】2泊3日の合宿のテーマはチームビルディング。お互いをよく知り、共通の目的を作り、それぞれが何をすべきかを共有したい
▼ U12合宿の様子をリポート
先日フライブルガーU12の子どもたちと一緒に2泊3日で合宿に行ってきた。コロナ禍で昨シーズンはこうしたイベントもできなかったので感慨深い。今もすべてが問題なくなったわけではないけど、コロナへの対策を慎重にしながらも、僕らには自分たちの活動ができるための新しい基準とやり方を見出していくことが必要だ。
ドイツの現状については、ゆきのさんが今週のコラムで詳しく取り上げてくれているのでどうぞそちらを参照にしてほしい。
【無料コラム】
「大丈夫といえば大丈夫。コロナ前のように暮らせるかというと、そこまで割り切ることはできないけど、コロナ前提で生きていくために必要な一つのステップはどうにか乗り越えた。今、ドイツで私たちが立っているのはそんなところなのかもしれません」https://t.co/xEYdKw5kq5
— 吉之伴@??サッカー指導者 (@kichinosuken) September 23, 2021
さて、合宿の話だ。夏休み中に行けたらそのほうがよかったのだけど、そこはさすがドイツ。夏休み中は休暇で家にいない家族がちらほら。それこそうちのチームには2か月間まるっとバカンスみたいなご家族もいる。
そこで学校の新学期がスタートした週末に行うことにした。
行先はフライブルクから車で30分ほどのところにあるブライザッハというフランスとの国境にある街だ。宿泊地はユースホステルを選んだ。敷地内にバスケットボールゴール、バレーボールコート、ミニサッカーコート、卓球台といういろんなスポーツができる施設があるのもいいし、すぐ隣にSVブライザッハというクラブが使用しているサッカーグラウンドもあるのだ。
このサッカー施設はブライザッハ市の管轄なので、市に「合宿をするので、グラウンドが開いている時間に使用することはできますか?」と問い合わせしたところ、「土曜日の午後なら自由に使ってもらって構わない」と返事をもらえた。ちなみに誰も使っていなかったら滞在中いつでも使っていいそうだ。
それで費用は75ユーロと相当安い(1万円ほど)。
ユースホステルは3食付きで1人1泊42ユーロ(約5200円)。子どもたちには8人部屋×2が準備され、僕とアシスタントコーチは2人部屋という部屋割りに。僕ら指導者分の費用とグラウンド使用料や雑費は保護者の皆さんにまかなってもらった。
初めて外泊をするという子もちらほらいるので、とにかくまずは無事に、安全に過ごすのが第一。
そのうえで、僕の中でもっとも大切なテーマとしていたのがチームビルディングだ。
新チームとして始動して2か月ちょっと。だいぶ互いに打ち解けてはきているものの、チームとしてのまとまりが確かにあるかというとまだない。どうしたって仲のいい子となかなか気が合わない子はいる。
子ども同士の関係性もそうだし、僕と子供たちの関係についてもそうだ。普段練習時にはサッカーの話をすることが多い。でもプライベートのこととか、趣味とか、僕の仕事のこととか、好きな食べ物とかそうしたものを語り合える時間ってすごく大事。
あとアシスタントコーチのダービッドとの関係性をしっかり築いてほしいというのがあった。今季ダービッドという21歳の青年がアシスタントコーチをすることになったのだが、なんというのか情熱はすごくあるけど実力がまだついてきていないというか。
「すごくいい練習があるからやらせて!」
そんな連絡がくるので、「じゅあ、やってみて」とお願いするんだけど、なかなかに機能しない。
例えば説明が長い。そして難しい。子供たちがわかっていないのに練習を始めようとしてしまう。そしてわからないことを説明するためにまた長々と話す。でも話が分かりにくいから、子どもたちは理解しようとしない。結果、《?》が頭にあるままなんとなくしかプレーできない。
僕がメインでするトレーニングの時でも、僕が《あえて》指摘するのを待っているときに、前に出てきて修正しようとする。今日のテーマ以外の話もついつい指摘しようとしてしまう。
阿吽の呼吸というのが最初から取れないのは当たり前なんだけど、それにしてもいろんなところでブレーキを掛けられる感じがして、僕自身イライラすることも少なからずあったのだ。
でもある時思ったんだ。
「いや、今のダービッドのあり方のほうがむしろ当たり前のことなんじゃないか」って。
21歳で指導者としての経験はまだちょっと。わからないこと、できないことが多いのはそりゃ当然だ。ただこの数シーズン、僕の隣にはダービッドと同じくらいの年だけど、指導者としての経験をすでにだいぶ積んでいて、ライセンスも所得していて、指導者としての資質に優れたアシスタントコーチがいたので、彼らと比べてしまっていたのだ。
ダービッドを知るところから始めなければならない。そしてどこに彼の良さがあって、どこをどのように取り組んだら、指導者として学ぶ機会を作ることができるかを見出す。だからこそ、この合宿はそのための絶好の機会になるはずだ。お互いにいろんな話をして、考えを聞いて、そうすることで適切な関係性を築くことができる。
そんな全体的なチームビルディングを目標に行った合宿の様子をお届けしたいと思う。
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