【ドイツ便り】伊東純也が日本代表をW杯出場へ近づけた日に、彼がCLデビューを飾った日を思い出してみた
▼ 日本代表エース伊東純也のCLデビュー戦を覚えているだろうか?
見事な快勝劇だった。
22年カタールワールドカップアジア最終予選で日本代表は中国とサウジアラビアに2連勝。サウジアラビアとの勝ち点差を1に縮め、逆に3位オーストラリアがオマーンと引き分けたためにこちらの勝ち点差は3へと広がっている。
次節オーストラリアとのアウェー戦に勝利すれば本戦出場権を獲得するところまできた。一時は予選敗退するかもとさえ危惧されていたことを思えば、この2試合の代表戦からはチームとしてのまとまり、狙いどころ、試合の運び方などなど確かなものが築かれていると感じさせられた。
そんな代表チームにおいて今や欠かせない存在となっているのが伊東純也だろう。ゴールもアシストもチャンスメイクもハードワークも、すべてにおいて頼もしい。サウジアラビア戦の1点目ではハイスピードで相手DFと競り合いながらバランスを崩すことなく、そこからさらに体を入れて見事な突破からアシスト。
サウジアラビアには悪いけどこの伊東は1対1では止められないって。この得点シーンでは中盤からのパスを自分が一度引き出してダイレクトで酒井宏樹に落とし、そこから素早くスペースへと抜け出していったわけだが、そのコース取り、ターンの滑らかさと鋭さ、そして抜け出した後のボールコントロールはどれも非常にレベルの高いものだった。
《得点に至るまでには最低でも3つの優れたプレーが連続して出ることが必要》という表現をドイツではされることがあるのだが、《前線にパスを引き出す-裏のスペースを攻略する-シュートにつながるパスを送る》と一人で3つの優れたプレーを連続で繰り出したというのが素晴らしい。
そして2点目のシュートは言うことないだろう。プレミアリーグのハイライトシーンでお目にかかるようなスキル、パワー、タイミングが詰まったゴールだった。何度でも見たいし、何度見ても興奮させられる。
ゴールシーン以外でもサイドにはって勝負するだけではなく、中のスペースに入って起点となったり、裏のスペースに抜け出したり、味方とのパス交換でリズムを作ったりと、日本の攻撃のおいて伊東が果たしている役割は多く、そしてそれぞれのクオリティが高い。
何よりボールをもってただ闇雲にドリブルをするわけではないから怖い。パスの選択肢、それも次につながっていくパスの選択肢を持ちながら仕掛けたり、リズムを作ったりするので、相手は飛び込みにくい。ゲームインテリジェンスを感じさせれた。《ドリブルはスキルの一つであってすべてではない》というのを教えてくれる。
試合後充実感を爆発させる代表勢をタブレットのモニタ越しに見ていながら、僕はそんな伊東がCLデビューを飾った日を思い出していた。覚えている人はどれだけいるだろうか。
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