中野吉之伴フッスバルラボ

【ゆきラボ】突然の黄色い空と、久しぶりのチャリティー販売

こんにちは!水曜コラム「ゆきラボ」です。
昨日3月15日、お昼ごろから急に空が赤茶色に曇り、暗くなりました。午後になって少し明るくなってきましたが、どんより濁った感じの黄色い空は日暮れまで続きました。上の写真は14時半頃に撮影したもの。加工はしていません。何やら不吉な景色にも見えますが、これ、サハラ砂漠から地中海を超えてヨーロッパに飛んできた砂塵のせいなんだそうです。

日本でもユーラシア大陸から黄砂が飛んでくることがありますが、ドイツでこんな空を見るのは初めてです。ときおり小雨がぱらつき、赤褐色や黄土色に濁った雨が降りました。白い服で外出してしまった人は災難だったはずです。外に停めてある車も、みんな泥水をかぶったようにうっすらと汚れてしまっていました。

さて、先日必要な書類があって移民局に行ったところ、玄関にウクライナカラーの貼り紙がしてありました。

普通、移民局で手続きをするには事前の予約が必要で、上のオレンジの張り紙には要予約と書かれています。ふだんなら、その予約を入れるのだけでも、なかなか待たされたり混んだりして書類手続きも煩雑なのですが、下の青と黄色の張り紙には、ドイツ語とウクライナ語で、「ウクライナからの避難者に限り、特別に予約なしでも受付可能」と書かれています。待合室で隣になった女性3人グループの手にも、ウクライナのパスポートがありました。

受け入れがスムーズに進むことはもちろん良いことですが、2015年のシリア難民受け入れのときと対応が随分違うんだなあ……ということには正直驚いています。社会の経済的・精神的な基礎体力がコロナで落ちていると思っていたので、受け入れにはもっとひと悶着あるかもしれないと思っていたのですが、そんな気配は全くといっていいほど感じられません。

背景には様々な感情や思惑があるのだろうな、と思いますが、ウクライナの危機がドイツの危機と直結していて、多くの人が自分事と捉え、手を差し伸べようとしていることは間違いないと思います。

先週末には、次男のクラスの保護者・生徒有志が、学校の近所でケーキ販売のスタンドを出しました。私は仕事だったので事前に用意したマフィンを届け、次男は友人と交代で販売係を担当しました。収益は全て、ウクライナ避難民の支援を行っている非営利団体に寄付されます。13時頃まで販売を行う予定でしたが、用意したケーキは11時過ぎに完売。ケーキの売り上げに来場者からの寄付も合わせて、半日で1000ユーロ以上の売り上げになったそうです。

【無料コラム】楽しいことも余裕がなければ続かない。古き良き伝統が復活するにはもう少しかかるかも

「ゆきラボ」でも何度かご紹介していますが、ドイツ社会では手作りのお菓子や軽食を持ち寄って販売し、売上を公益に充てる、という市民活動が広く行われています。ただ、コロナの制約がなくなっていることはもちろん、自分の時間や手間を提供する一人一人の小さな行動の積み重ねがないと、こういう活動は成り立ちません。ウクライナの危機をきっかけに、もう一度多くの人が「他者のために集まって行動を共にする」ということに立ち返ることができたような気がして、少し前向きな気持ちになりました。

さて、コラムの後半は前回の続き「ドイツ社会、アナログからデジタルへはまだまだ移行期?学校編」をお送りします。

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