中野吉之伴フッスバルラボ

【キチの挑戦】指導者としての最も大事な役割の一つは《モチベーションをもってみんなで取り組めるチームを作り上げること》

▼ チームとして機能するからこそ

サッカーでもなんでもスポーツの世界では、チームとして機能している時に一番素敵なプレーが見られると思っている。

チームというのは選手だけで構成されるものではない。監督やコーチ、スタッフ、家族、友人。いろんな人が、いろんな関わり方で、それぞれのチームを支えている。

僕が知ってる限り、スポーツの試合に対して「適当な気持ちでいいや」と思って出場する選手なんていない。誰だっていいプレーがしたいし、誰だって活躍がしたい。誰だって試合に勝ちたいし、誰だって負けたくはない。だから試合前に円陣を組んだら、「勝つぞ!」の声に合わせてそれぞれ気合を入れる。みんな本気なはずだ。

でもいざ試合が始まると、そんな思いがプレーに反映されないことも多々ある。簡単にボールを奪われる。変なところにパスをしてしまう。慌てて飛び込んで相手に交わされてしまう。シュートチャンスに枠を外してしまう。

誰だってそんなプレーがしたくてしてるわけじゃない。でもなぜだかどうしてそんなプレーは試合で日常茶飯事なのだ。監督やコーチは頭を抱え、監督やコーチ風の指導屋は怒鳴りだす。「ミスをするなって言ってるだろ」と言われてミスがなくなったりはしない。それができる子ならそもそも今頃トップレベルでプレーしている。

だからといって何も言わずに手をこまねいていても状況は好転しないのも確か。

▼ うまくいかないときにどうしたらいいのか?

うまくいかないスパイラルは人をどんどん引き込んでいく。やればやるほど、やろうとすればするほどうまくいなくなってしまったりする。ちょっとした味方からの声にイライラして過剰反応して、それがまたほかの選手にストレスを与えて流れがさらに悪くなる。

それでも試合に勝てていたり、好プレーで流れを変えることができれば、そうしたストレスやプレッシャーから逃れて、また落ち着いて、仲間やチームのことも考えられるようにはなる。

でも勝ててないときはそんなメンタル状況になかなかなれない。やることは空回り。頑張ることに意味を見出せなくなり、「俺はこんなに頑張っているのに、周りのみんなはやる気がない!」と、1人で怒り出す。

僕が今季監督をしているU19がそんな状況だった。

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