中野吉之伴フッスバルラボ

【ゆきラボ】ラマダンの話と四半世紀ぶりの試験勉強

こんにちは!ドイツの日常をお届けするコラム「ゆきラボ」、今週はまず「ラマダン」のお話からお届けします。

2004年に旅行で訪れたマレーシアのモスク

ラマダンはイスラム教の断食の月。この1か月間はイスラム教徒にとって最も神聖な時期とされ、日の出から日没までの間は食事を摂ることができません。今年は4月の約1か月間がラマダンの時期に当たります。

一般的に、病人・妊婦・旅行者・高齢者・月経中の女性・そして子どもはラマダンを免除されます。この「子ども」、具体的に何歳からを指すのかは、国や地域によっても各家庭によっても異なるようです。ラマダンには自分で自分に課す修行のような側面があるそうなので、何歳頃から参加可能になるか(体力的にも精神的にも)を一律に決めてしまうのは現実的ではないのかもしれません。

イスラム文化圏の国であれば、ラマダンの時期になれば社会全体がラマダンモードになり、仕事や学校の時短、商店や飲食店の営業時間変更など、ラマダンに対応したスケジュールにみんなが切り替えることになります。しかし、ここドイツのように、イスラム文化圏でない地域で生活しているムスリムの場合には、そのような周囲の対応はありません。そんなこともあって、ラマダンを始める年齢や飲食してはいけない時間帯など、どんなルールでラマダンを行うかは、自分や各家庭内、あるいは各地のムスリムコミュニティ内で決めたルールに従う……という人が多いようです。

私にも何人かムスリムの友人がいますが、たまたま比較的ゆるめのマイルールでラマダンを行っている人ばかりだったので、個人的には、普段の生活の中でラマダンの影響を感じることはこれまで全くありませんでした。

その事情がちょっと変わったのは今年からです。昨年、一昨年と、コロナの影響で子どもたちが学校に普通に行ける時期が限られており、サッカーの練習や公式戦も激減していたために気づかなかったのですが、長男や次男のクラスメイトやチームメイトの中に、ラマダンに参加する子たちが出始めました。中には本格的に厳しいラマダンを実行している子もいて、日中は本当に飲まず食わずで過ごしているそうです。

11歳の次男は、昨年小学校を卒業して進学したので、進学を機にそろそろラマダンに挑戦する子が同世代の中で出てくるのは納得のタイミングです。ただ、当然ドイツの学校のクラスの中では少数派なので、みんなが軽食を食べる休憩時間になると、「頼むよ、俺の前で食べないでよ!」といって誰もいない校庭の隅に行ってしまうんだそうです。一緒に頑張れる仲間がいない断食、つらそうです……

14歳の長男と同年代ともなれば、成長期に突入して急激に背が伸びる子、声変わりする子、ヒゲが生えだして大人に近い風貌になる子も増えてきます。さすがにそろそろ子ども扱いはしてもらえないし、されたくもない年頃なんでしょうね。

日が沈んだらごはんです

今シーズンの日程では、長男チームは夕方の時間帯から公式戦が行われることが多くなっています。ラマダン中のメンバーにとっては、一日で一番空腹で、一番喉が渇いている時間帯です。ハーフタイムでようやく食事をしてもいい時間帯になるので、急いでカロリー補給、水分補給をして後半に臨みますが、一日飲まず食わずだった体はそう急には回復しません。

移民大国であるここドイツでは、ある年齢以上になったら、年に何度か、ラマダンで本調子でないメンバーと一緒にプレイすることも普通になっていくんだな……というか、今までたまたま本格的なラマダンに取り組んでいる人が私の交友範囲にいなかっただけなんだな、と感じています。

コラム後半では、そんな移民国家ドイツで私と夫が受けることになったあるテストについてご紹介します。

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