【ドイツ便り】フライブルク勢で115年ぶりのドイツ王者。女子バスケでチームを優勝に導いた安間志織の大活躍!
▼ フライブルク勢で約100年ぶり
実は今年はフライブルクのスポーツ界が大盛り上がりだ。
ドイツの中でそこまで大きな町ではない。人口は20万人ちょっと。自然が豊かで人口密度は高くはない地域だ。スポーツクラブは各種あるし、それなりに頑張っているし、それなりに好成績も残す。でも正直優勝とは縁がない。ほかのビッククラブと比べたら金銭面でも規模の面でも大きな差があるのはだれもが認めるところ。しょうがないと言えばしょうがない。
その分実直な育成には定評がある。サッカーブンデスリーガのSCフライブルクは育成クラブとしてドイツ中から高い評価を受けているし、今季は最終節までCL出場権獲得となる4位以内を狙える位置につけて、ドイツカップ決勝にもコマを進めている。
この決勝戦ではパブリックビューイングが設置され、15000人もの人が訪れることが予想されるなど、注目度はものすごく高い。僕も家族と一緒にパブリックビューイングからクラブ史上初となる優勝のために応援したい。
そんなSCフライブルクに先駆けて、フライブルク勢として見事な優勝を果たしたのがアイスフェーゲル・フライブルク。女子バスケットボールブンデスリーガクラブだ。
フライブルクのスポーツクラブがドイツ王者に輝くというのは実に100年以上の話になる。正確には1907年にサッカーのフライブルガーFCが優勝して以来115年ぶり。僕の古巣でもある古豪クラブが持つ、最大にして、いまもすがっている栄光だ。
昨シーズンはリーグ中位だったチームが今季は序盤から連戦連勝。レギュラーシーズンを2位で終えると、プレーオフに入ってからさらに勢いを増していく。あれよあれよと勝ち進んで、ついには決勝ラウンドに。これだけでもクラブ史上初となる快挙。
決勝ラウンドの相手はレギュラーシーズン1位のラインランドライオンズ。リーグでのホーム戦は観戦することができたのだが、正直その時は相手のほうがかなり上だと感じた。向こうはチームとしての狙いがはっきりしていて、判断の基準がある程度明確にあるので、プレー判断スピードが速い。一方でフライブルクは個々での仕掛けが攻守に多すぎる印象で、簡単に振り回されては相手にフリーで得点を許してしまうところが目についた。
決勝ラウンドでは5戦のうち先に3勝したほうが優勝となる。第一戦でライオンズが勝利したことで、このまま一気に持っていかれるのではという不安の声もメディアにあったのだが、2戦目のホーム戦でフライブルクが勝利すると逆にそこからの連勝で王手をかけた。
世紀の瞬間を見ようとフライブルクのバスケットボール、スポーツファンが殺到し、優勝をかけたホームでの4戦目では1000枚のチケットは即完売。準決勝ラウンドでも試合会場の熱気はすごかったが、決勝ではその時以上の熱気ある応援でチームを支えていく。
残念ながら僕はこの大事な一戦当日にサッカーブンデスリーガの取材の予定が入っていたために、遠くハノーファーからのWEB観戦を余儀なくされることに。でもモニター越しにもその熱気は伝わってくる。
フライブルクは試合開始から相手を圧倒していく。ハーフタイムの段階で20点以上の差をつけるなど、完全に試合の流れを掌握。若い選手が多いフライブルクは戦い続けることで、どんどんチームとしてまとまりができ、チームとしての戦いが成熟されてきた。
最終的に95対65と30点もの差をつけて大事な決定戦をものにしたフライブルク。笑顔で抱き合ってフロア場を何度も何度も飛び跳ねる選手の姿がとにかく印象的だった。誰も予想しなかった最高の結末。それを達成したのは、他でもない選手たちのポテンシャルであり、それを引き出したチームとしての取り組みだったのだろう。
▼ 最優秀選手に選ばれた安間志織
チームとしての成長、チームとしてのまとまり。
でもそれはどんなスポーツの、どんなクラブの、どんなチームでも口にされることだ。フライブルクがここまでの成長を見せたことには間違いなく大きな要因がある。
その一つは安間志織その人だろう。女子ブンデスリーガで始めてプレーすることになった日本人選手はフライブルクだけではなく、ドイツバスケ界に強烈なインパクトと大きな財産を残してくれた。
【欧州女子バスケ界で躍動する“162センチ”安間志織。未開の地で開拓する「人がやっていないこと」】
(インタビュー=中野吉之伴 @kichinosuken)地元紙に頻繁に登場。ドイツを熱狂させるシオリ・ヤスマとは?#安間志織 #女子バスケ #トヨタ自動車アンテロープス #Wリーグhttps://t.co/BSTuj30HwL
— REAL SPORTS(リアルスポーツ) (@realsportsjp) April 1, 2022
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