中野吉之伴フッスバルラボ

【ゆきラボ】確定申告と、ドイツ社会のメンタルの話

こんにちは!ドイツの日常コラム「ゆきラボ」担当、ゆきのです。

いきなり愚痴で申し訳ないのですが、確定申告が終わりません。夫婦そろって自営業の我が家では毎年の確定申告が義務。ドイツでは夏に学校の年度が終わり、秋から新年度が始まるので、前年の確定申告の提出期限もその時期に設定されています。

今年の締め切りは7月31日。これを終えないと夏休みを迎えられません。既に7月は中旬に差しかかっています。もちろん確定申告作業と並行して普段の仕事も育児も家事もしないといけないので、日々の時間を確定申告のためだけに使えるわけではありません。

イメージ https://www.photo-ac.com/

限られた時間の中で終わるのかこれ……とカレンダーの残り日数とにらめっこしていたところで、思わぬ朗報が舞い込んできました。すっかりニュースを見落としていたのですが、実は6月の下旬に”Vierte Corona-Steuerhilfegesetz(第4コロナ税支援法)” が既に可決されていて、これで10月31日まで締め切りが延びることになりました。

支援法の詳細は私も全部は把握できていないのですが、これらの変更点に対応するためにはもちろん時間が必要です。そもそもそれ以前から社会全体の業務がなんとなく滞り気味なので、7月末に間に合わせるのが厳しい、必要な書類が全部揃わないといって困っていたのは(たぶん)我が家だけではなかったようです。

4月から5月にかけては、コロナ感染予防のための様々な対策や規制が次々に消えていった時期で、仕事の遅れを詫びるのに「コロナのせいで業務に支障が出ていまして……」という紋切型の言い訳もそろそろ使えなくなるのかな、と思っていました。ところが、9ユーロチケットが導入され、ドイツ全国が聖霊降臨祭の休暇に入って多くの人が旅行やレジャーを楽しんだ6月頃からまた感染者が増加。「コロナのせいで」は使えなくなるどころかまた普通にあちこちで聞かれるようになっています。

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コラム後半でも触れますが、ドイツ人のメンタルとしてはコロナウィルスだけでなく他の理由(病気やケガや育児・介護など)で欠員が出て、仕事に穴が開いた場合でも「人手が足りないのだから仕方ない」「この状況で仕事を終えられないのは仕方ない」と割り切る風潮があります。もちろんこちらにも支障は出ますし、予定変更を余儀なくされれば腹も立ちますが、社会全体が前提として「全てのことが100%スケジュール通りに進むとは限らない」ということを(しぶしぶではあっても)受け入れているのではないかと常々感じています。

その分、想定外のことが起きてしまったら、その時できる範囲でどうにかしよう、という対応力もみんな大なり小なり(たぶん)持ち合わせているので、確定申告の締め切りも延びる、というわけです。超余裕をもってコロナ税支援法施行前に確定申告を終えてしまい、後から「あれ?もうちょっと控除受けられたんじゃ?」という人は、次回以降の確定申告の際にその旨を申請することになります。

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締め切りが延びたことで「最悪これで今月終わらなくてもまだ大丈夫」という変な安心感が生まれてしまったことは否めませんが、とはいえ8月は夏休みですからここは休みたい。9月10月は年度初めで忙しく、すでに決まっている大きな予定もいくつかあります。この時期に作業を延ばすと泣きを見ることは明らかなので、本来の予定通り今月中に終わらせるという目標は維持しておこうと思っています。

後半は、知人がFacebookで紹介していたドイツの算数の問題から、ドイツ社会のメンタリティについて触れてみたいと思います。

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