中野吉之伴フッスバルラボ

【インタビュー】ヤン・ジーベルト「どんな選手でも成長していくことはできる。でも武器がなければトップレベルには残れない」

▼ 盟友ヤン・ジーベルトとの独占インタビュー第2弾

《指導者には人間性が大事》というのはどの世界でも言われることだけど、人間性ってなんだろう?

相手のことを配慮するだけが人間性じゃない。何があってもほめ続けるから選手がその指導者を信頼するわけではない。相手に欠けているところ、直すべきところを明確に指摘することだって必要だし、時に厳しい言葉をダイレクトに伝えることだって大切だ。

伝えるべきことを伝えるために嫌われることを恐れない。

僕がドイツで知り合った数多くのリスペクとしている指導者に共通している要素ではないかと思うんだ。自分の言葉に自信を持ち、そのために明確な知識を持ち、どのように伝えるべきかへの配慮があり、そして相手の人となりへの批判はせずに、振る舞いやプレー面に対して批判的な指摘をする。

否定的な指摘と批判的な指摘は違うんだ。

そのあたりがごちゃごちゃになってしまうと、自分の意図をうまく相手に伝えることができなくなってしまう。日本でもどこでも、その辺りの感覚をうまく身につけられていない指導者が、不必要に厳しく、威圧的で、暴力的な言葉を子供に投げかけてしまう。

批判的な指摘では、相手の改善点を明確にすることで、そこへの取り組みを通じて、さらに成長できるというメッセージが込められていなければならない。その人の人間性や趣味嗜好、性格を否定してはならないのだ。

僕に対してヤンはよく批判的な指摘をしてくれる。問題点をはっきり提示したうえで、現在の取り組みではうまくいかない背景を指摘し、ではそこを改善するためにどうしたらいいかを一緒に考えてくれるのだ。話をしていると、新しい気づきが出て、それきっかけにディスカッションがどんどん膨らんでいく。そんな時間がたまらなく好きなんだ。

そんなヤンとのインタビュー記事第2弾ではプレミアリーグでの経験について、ドイツ育成における問題点について、個別トレーニングの本質についてを語ってくれたので是非ご覧になってほしい。

(フットボリスタより転載)

—ヤンはドイツとイングランドでそれぞれ指導者経験があるけど、サッカー文化的にはどう?

「ドイツ社会にとってサッカーはとてもとてもとても大事なものだ。イングランド社会にとってサッカーは宗教だ。サッカーは聖なるものなんだ。イングランドはサッカーを誇りに思っている。ファンのクラブへのアイデンティティはドイツもものすごく高い。でもイングランドのそれはさらに上だと思う。クラブのために生きているとさえいえるね」

(残り 3589文字/全文: 4630文字)

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