中野吉之伴フッスバルラボ

【ブンデス】沈み込んでいた名門カイザースラウテルンが確かな息吹とともに新たな時を刻んでいる

目次—
1.かつての名門カイザースラウテルンが直面した危機
2.歴史的な優勝から3部への転落 -暗黒時代-
3.久しぶりの2部リーグ ―困難を乗り越えて昇格-
4.「俺たちはまたここにいる!」 -ファンとクラブと町が一丸に―

▼1.かつての名門が直面した危機

ドイツには数多くの《名門》《古豪》とされるクラブがある。100年以上の歴史を持つクラブがそこら中にあるのだから、かつてはブンデスリーガに所属、かつてはドイツカップで優勝」というクラブだって相当にある。僕が以前所属していたフライブルガーFCだって1906年に当時の全国大会で優勝し、80年代まではブンデスリーガ2部に所属していたという事実を持っていた。

ただそうした《過去の栄光》は変化を嫌う。自分達が変わる必要はないとどこかで思ってしまう。どれだけ現状に問題を抱え、「このままじゃダメなんだ!」ということは認識できていても、根本から抜本的な変化を受け入れることができない。そして可能な限り過去からの遺産を残そうとする。

でも《かつての自分達》がいつまでも中心軸にいると、沈みゆく船から抜け出すことはできないのだ。

そのこともわかっている。そうした事例はドイツでも世界でも山ほどあるのだ。でも人間というのはそう簡単に覚悟を決めることはできない。わかっていながら、変わることができないまま、ゆるゆるとしのぎながら、いつかそのうちどこかで好転するときがくるという淡さのなかで、ちぎれかけの藁をつかもうとする。

そう、かつての名門カイザースラウテルンも光を失っていた。

(残り 2992文字/全文: 3641文字)

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