kumamoto Football Journal

【練習場だより】4/15トレーニング後の監督・選手コメント

0415練習後

14日21時26分に発生した平成28年熊本地震。依然、余震が続いているなか、チームは17日の京都戦に向けてトレーニングを実施。練習後に清川監督以下、震源地となった益城町出身の選手(畑実選手は自宅の都合でこの日の練習に不参加)などに話を聞いた。

 

清川浩行監督

——特殊な状況で試合に臨むことになったが、選手達の動揺は?

それは感じました。予定していた内容をやろうとしたんですが、話を聞いたら寝ていないヤツもいるし、避難していて家に帰っていないとか、何も食べてないヤツもいたし、車で寝たとか。なので身体を起こしてっていうところに切り替えて、今日はゲームで意識して欲しい事を伝えて、1時間ちょい、トレーニングをしました。

——内容は変更したということですか?

そうですね。

——監督はどう過ごされたんですか?

家にいたんですが、すぐ外に出られるように用意をして、玄関付近で寝ました。

——メンタル面での影響もあるかと思います。

特に家族のいる選手達は練習に来るのも大変というか、プレッシャーになっていると思うんですが、それでも来てくれた。怪我もなく大丈夫だという事も含めて良かったなと。

——試合に向けては?

勝つ事がいちばんだというのは選手達も分かっている事だと思うし、勝ってこっちに戻る事が熊本の人たちを勇気づける事になるし、本当に精一杯、結果を求めてハードワークして戦いたいなと。ある意味、戦術がどうのこうのじゃないのかもしれない、そっちの方がもうメインで、勇気づけられるように1人1人がプレーしてくれれば、それが勝点3につながればいちばんいいことだなと。

——先発、帯同メンバーの選考はそういったメンタルも踏まえてになりますか?

そこまでの動揺があるんであれば置いていきますけど、見た感じだとそこまではないし、そこはプレーの部分やコンディション、相手によって考えていかなきゃいけないなと。家族が心配なので残りたいということなら、そっちを優先させてあげたいなと思います。

——練習前に選手達にはどんな言葉を?

大変な時期だけど、切り替えてしっかり集中してやっていこうと。練習もやらない方がいいのかなとも考えたんですが、(14日の練習がオフだったため)まる2日動かないで明日やるのはコンディション的にもキツいし、明日また軽くやって向かうと。2連敗していた部分もあるんですけど、大きな修正として、本来我々がやろうとしている、いい守備からボールを奪って攻めようという部分がどこかで薄れてきていた。その持って行き方は自分の反省もあるんですけど、今週はそういう意味で守備のところをもう1回、ベースのところから入っていこうと。今日のトレーニングでも『ボールを奪いに行こうよ』ということを伝えて。もう少し対策的なものを、こういうの(地震)がなければやろうと思っていたんですけど。でも比較的、そのところは皆も分かってくれて、一昨日のトレーニングでも精力的に表現してくれていたので。

——京都については?

やっぱりタレントというか、選手が揃っているチームなので、それをなんとか耐えて、この間のような立ち上がりの失点をしないで前半をしっかり耐えて、後半はちょっとゲームが動くと思うので、いい形で点が取れればいいなと思います。

 

森川泰臣選手(益城町出身)

——実家の様子は?

結構、モノが倒れていて、酷かったですね。

——地震が起きた時は?

俺は畑(実)さんと温泉に行ってて。そしたらそこで揺れたので『ヤバい!』となって、上がって携帯を見たら益城が震度7となっていたので、LINEで連絡を取って無事を確認しました。それからはいろんな人からメールが来たり。実家なのでまた今日も帰ってから片付けないといけないんです。

——眠れてないよね?

余震がヤバかったですからね。

——近所の様子は?

倒壊まではないですけど、壁が落ちたり、瓦が落ちたりしていた家が何軒かありました。

——地元クラブの選手として、これから何を見せていこうと思いますか?

そうですね、僕らはサッカー選手という仕事をやっている以上、やっぱりサッカーでいろんな人に元気を与えられるような振る舞いだったり、しっかり頑張る事で熊本を元気にしていけるようにやらないといけないと思います。サッカー以外でできることは家の手伝いだったり、近所の事だったり、やります。益城は小さい町で近所はみんな知り合いみたいなものなので。だから頑張ってチームが勝つ事で、いろんな『いい情報』を与えられると思うし、しっかり頑張るだけですね、ハイ。

 

 

上村周平選手(益城町出身)

——地震発生時はどこに?

家の2階でテレビを見ていました。ドン!と来て何が起きたか分からなくて、気づいたら電気が消えて真っ暗になってて、1階から親が名前を呼んでいて、「あ、地震だ」と。

——昨夜はどう過ごしました?

両親と3人で1階に集まって、余震が来るたびに布団を頭にかぶって、収まるごとにテレビとかで情報を集めて、また余震が来るという繰り返しでした。それから車に移ろうということになって、朝まで車の中で過ごしました。

——近所の様子は?

ウチの近所はそんなになってないんですけど、朝、周囲を回ってみたら家が崩れていたり、友達の家は全壊していたりで。

——自宅は?

断水と屋根の瓦がズレているくらいで、電気は来ていたので家に両親もいます。

——そういう中での試合になります。

ちょっと事が大きいので、あまり自分のなかでも消化しきれていないので難しいですけど。試合になればやるだけなので、そこはいつもと変わらないです。被災している人たちが大変ななかで、自分はサッカーをやっているということで、すごく責任もあるし、熊本を背負って戦うという意味では、次の試合は本当に大事な試合になるのかなと。

——3年目で節目の試合になりそうですか?

モヤモヤはあるんですけど、言葉で表せないのが感じなので、一度帰ってどういう感じか確かめたいです。動揺もありますし、今夜もどうやって過ごせばいいかというのもありますし。自分がいない間の家族の事も考えると、難しいところはあります。

 

 

嶋田慎太郎選手(益城町出身)

——地震発生時は?

熊本市内の自宅にいました。

——益城町の実家の様子は?

連絡がとれなかったので心配になって夜中に見に行ったんですけど、1階も2階もぐちゃぐちゃになっていて、玄関前には隣の家の塀が崩れたりしていました。兄の奥さんと連絡がとれて、益城町の総合体育館に(両親と)一緒に避難しているので大丈夫だと言ってました。

——無事に会えましたか?

途中の道路が陥没しているから来ない方がいいと言われて、一旦、家に帰ったんですけど、もう1回、1人じゃ不安だったのでまた行って、近くの公園で兄たちとも合流しました。水道は出ていたんですけど停電していました。

——眠れましたか?

ほとんど寝ていないです。

——特別な試合になるかと思います。

自分の生まれ育った場所でこういう事が起きたので、被災した皆さんのためにもまず自分が試合に出て、結果を残す事で勇気づけられると思うので、まずは勝利する事が大事だと思います。

——練習には集中できた?

少し家の事も気にはしていたんですけど、試合も近いのでそこは、難しいとこですけど…、集中しないといけないと思います。

 

 

岡本賢明選手

——どんな状況でしたか?

食器が落ちて来ちゃって、あとはテレビや洋服タンスも倒れて。

——ご家族は大丈夫でしたか?

奥さんがちょっと食器で怪我したんですけど、そんなに大きな怪我じゃないので大丈夫でした。それで病院へ連れて行って、そのあとは実家に帰って。家はガラスとかがあって危なかったので。

——じゃあ、まだ自宅には帰れていない?

はい。

——そういう状況でのゲームになります。

そうですね、今日はちょっと難しいところもありあましたけど。でも幸い、サッカーができる環境ではあるので、自分たちができる事はそれぐらいしかないので、できる限り一生懸命頑張りたいなと思ってます。

——いつも通りに戦えそうですか?

いつも通りやりたいですし、いつも以上に頑張って、それがちょっとでも、熊本のためになればいいかなと思います。

 

 

佐藤昭大選手

——揺れた時は大丈夫でしたか?

大丈夫です。家族も怪我はなく。モノが落ちて来たり、揺れはすごかったですけど。

——家で過ごせたんですか?

ライフラインは水も電気もつながっていたのが助かって、揺れの怖さは遭ったんですけど、家にいた方が安心かなと。

——鹿島時代にも震災を経験したかと思いますが、試合を通してどういうことを見せなくてはいけないと思いますか?

こんなときだからこそやっぱり、僕たちが元気な姿、ピッチで躍動している姿を届けたいと思いますし、僕たちにはそれしかできないって言ったらおかしいですけど、それをする事が使命だと思っているので、逆に落ち込んでいるところとか、『熊本、元気がないな』というところは絶対見せたくないと思うし、今できるベストをピッチで見せていかないといけないなと思います。

——京都戦に向けて。

そうですね、監督からもあったんですけど、自分たちの粘り強い守備をやっていかないと、2試合連続複数失点は自分達らしくないと。僕たちは後ろが粘り強くしっかり0で抑えて、1点でも取って1−0とかで勝つ、いい時はそういう試合ができていたと思うので、もうちょっと粘り強く、守備からしっかり攻撃につなげていきたいなと皆で話していますし、それができると思います。

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