kumamoto Football Journal

【高校】平成28年度 熊本県高校総体・男女決勝レポート

2016熊本県高校総体女子

MF中嶋淑乃⑩のゴールが決まり喜ぶ東海大星翔の選手達

■女子決勝

東海大星翔 4−0 秀岳館

男子決勝に先立って行われた女子決勝のカードは、3連覇を狙う東海大星翔と、昨年のリベンジを期したい秀岳館の対戦。ゲームは思いのほか早く動いた。

先制したのは東海大星翔。立ち上がり5分、MF中嶋淑乃が持ち込み相手ミスからのこぼれをMF山口恵実が思い切った右足ミドル。これが綺麗に枠をとらえた。

早々にリードを奪って精神的にも余裕が生まれた東海大星翔は、中嶋や村上日奈子を起点に秀岳館を押し込むが、「いつものリスムが出せずに2点目が取れないまま」(川上義勝監督)前半を折り返す。

 

2016熊本県高校総体女子

「地震でサッカーができない仲間や、熊本県も元気づけられるよう、九州大会で一戦一戦頑張って全国に行きたい」と話す村上日奈子⑦はこの試合2得点の活躍

後半も前半同様、整ったポジショニングからの早い出足、奪ってからの切り替えの早さに判断や技術の正確さもあり、東海大星翔は秀岳館にゲームを組み立てさせない。前からコースを限定して追い込むオーガナイズされた守備でセカンドボールの回収でも上回り、ペースを掌握。

後半に入った45分、秀岳館のコーナーキックを防ぐとカウンターで一気に運び、右から持ち込んだ村上がシュート。秀岳館のGK小原梨夏子が一度はブロックしたが、村上が諦めずに押し込み2−0とする。さらに1分後の46分にも相手のミスを逃さず村上が決めリードを広げると、最後はアディショナルタイムに中嶋が左から切れ込み、右足で決めて4−0。昨年に続き3連覇を達成した。

2016熊本県高校総体女子

終盤の4点目のみならず、中盤でのゲームメイクでも中心的な役割を担ったMF中嶋淑乃⑩

4得点の攻撃がクローズアップされるが、前線からの丁寧な守備、中盤の潰しの激しさ、そして最終ラインの安定感と、守備が非常に堅かったのも東海大星翔の勝因。その理由を、川上義勝監督はこう明かす。

「うちは本来攻撃的なチーム。そのなかで、センターバックの2人と左サイドバックの3人は1年の時から同じ並びでレギュラーとしてやってきてるんです」(川上監督)。つまり経験値も高く、連携や意思疎通、コミュニケーションは時間をかけて深めてきたもの。「キャプテンとしては後ろからのコーチングと無失点にこだわったので、それができたのは嬉しい」と、キャプテンの小川真奈甫はも笑みをこぼす。

それでも今回の地震の影響は多方面にあり、グラウンドや学校の施設が近隣住民の避難所となったほか、選手のうち数名は自宅に住めなくなり、川上監督自身も10日間ほど車中泊を余儀なくされた。トレーニングが再開できたのは総体まで3週間となった5月9日。限られた時間の中で「ゲームの中で起きる局面を想定して」「ゲーム終盤のコンディションに近い、160前後の心拍数」での練習メニューも。そうしたシミュレーションが終盤の加点にも生きた。

「本来なら練習試合を行う時期にもそれができませんでしたが、島原商業や長崎県サッカー協会さんにもご協力やご支援いただいたり、たくさんのサッカー仲間が応援してくださった。皆で、サッカーを通して恩返ししなくてはという思いが一番だったので、何としても九州で2枠に入って全国に進みたいと思います」と川上監督。

昨年は果たせなかった全国大会進出をかけ、今月中旬からの九州大会(長崎県)に臨む。

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