kumamoto Football Journal

【練習場だより】金井大樹の流儀。

金井大樹

ホームゲームではその場面がビジョンにクローズアップされることはあまりないが、ハイライト映像を見ているときや、あるいはアウェイゲームの中継を見ているとき、この数試合で印象的なシーンがある。そのシーンの主役はあくまで得点を挙げた選手なのだが、そこに必ず映り込んでくるのが、控えゴールキーパーとしてベンチ入りしている金井大樹だ。

3日に行われたC大阪戦では薗田淳、先制された京都戦では同点ゴールを挙げた清武功暉、終盤の劇的なゴールで勝ちを納めた岐阜戦では最初の勝越し点を挙げた藏川洋平と決勝点を突き刺したキムテヨンに、金井は真っ先にベンチを飛び出して駆け寄り、抱擁をかわした。

「テヨンなんかは練習でシュートを受けてますし、(薗田)淳もそう。いつも一緒にやっている選手が試合で結果を出したら、やっぱり嬉しいじゃないですか」と笑う。

「いちばんいいのは、自分が試合に出て勝つ事です。でもそれができなくても、できることってあるんじゃないかと。チームを盛り上げるというのもありますけど、意識してやっているわけじゃなくて、身体が勝手に動いていると言うか(笑)。オレ何となく、点が入りそうな場面が分かって、一番に飛び出して行こうと思って自然と前の方に身体が動いてるんですよ」

地震も含めて苦しい時期をともに経験した末に、少しずつ結果が出始めている今、そうして自分の思いを伝えることが自分の役割でもあると金井は考える。ウォーミングアップを終えて先発の11人がピッチに入る際には、ハイタッチを交わしながら11人に、気持ちを込めて言葉をかける。

「それがどう伝わっているかは分かりませんけど、初めて出る選手や若い選手にはリラックスするような言葉をかけたりします。点が入ったら皆で喜ぶともっと嬉しいし、それを見ているサポーターの皆さんも喜んでくれるんじゃないかとも思います」

感情が爆発しすぎてついついピッチの中へ入ってしまうので、警告を受けないか少し心配だけれど、確かに彼が言うように、皆で喜んでいる場面を見るのは、とても嬉しい。

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