kumamoto Football Journal

【マッチレビュー】第25節 vs.ツェーゲン金沢/2試合連続の完封も、連勝はならず。

20160724金沢戦

  • 明治安田生命J2リーグ第25節
  • ツェーゲン金沢 0−0 ロアッソ熊本
  • 得点/なし

 

 

内容を踏まえれば、よく耐えて勝点1を持ち帰ったと見るべきだろう。スタッツでもシュート数は金沢の13本に対して8本と下回り、後半に限れば10対2と圧倒されている。それでもGK佐藤昭大の好守(つまりは味方へのコーチングや自身のポジショニング含めた的確な準備)もあって無失点に抑え、2試合連続のクリーンシートである。3週間前にC大阪、山形、清水を相手に3試合で13失点も喫した大敗での連敗から、気持ちも含めてよく切り替えて持ち直したと言っていい。

 

押し込まれる展開となった要因について、清川浩行監督は次のように言う。

「向こうの方に、前回(第17節@ベストアメニティスタジアム)と同じような形ではやらさないという必死さがあった。出足、球際の寄せ、戦うという部分…、そういうメンタル、気持ちのところでも完全に負けていた」

それさえ相手を上回れば優位に運べるというものではないが、金沢が前回対戦を踏まえてそうした戦う原点の部分を強調してゲームに入ったのは確か。さらに水永翔馬へのロングボールを起点に押し込んでいくなかで、前期対戦時にはまだ加入していなかった中美慶哉と秋葉勝らの働きもあって、セカンドボール争いでも徐々に優位に立っていった背景がある。

「縦に入れたり横に振ったり、あとはタイミングを見て前に出てきたり、そういう気が利くプレーができる選手なので面倒くさかった」。高柳一誠は秋葉のプレーにについてそう述べるが、経験値の高さから来る予測やかけひきの上手さもピッチ上で反映されていた。

熊本も20分過ぎからはペースを引き戻し、23分には園田拓也のインターセプトから先発に復帰した清武功暉のドリブルシュート、36分には清武の自陣でのボール奪取から平繁龍一が持ち込みシュートと、チャンス自体は作っている。こうした場面で問われるのは精度ということになるが、あえてそれ以外の要素を挙げるならば、アタッキングサードまでボールを運んだ時点でのサポートのタイミングや数、場所、つまり今シーズン、清川監督が口にしてきた「関わり」が、この数試合、あるいは前期5点を取って勝ったゲームと比較しても足りなかったと言わざるを得ない側面はあろう。

後半に入ると前半に増してルーズさも感じられるようになり、奪ったボールを前方へ運べない場面が増えていった。もちろんこれには連戦による疲労で前後が間延びしていったことも影響していると思われる。だが結果として攻撃する時間や回数が少なくなり、「ブロックの中に入り込めない」(清川監督)状態になったのはやはり、1つ1つの局面で少しずつ相手に上回られ、それが積み重なってしまったからでもあった。

それでも無失点に抑えて勝点を持ち帰ったのだから、ある意味では、チームとしてしたたかさを増したとも言える。ただ、現状ではそうしたゲームでも勝ちきる展開に持ち込むには至っていない。オフ明け27日のトレーニング後に選手達の口から聞かれたこれからの課題、テーマは、攻撃のクオリティをさらに高めること、そのための連動性を増すことである。

「相手がプレッシャーをかけてくるのか、ボールを取りにくるのか、こないのかで状況は変わってくるが、フィニッシュまでどうもって行くか。相手のブロックに入り込んで外していくには運動量も必要になってくるが、背後を狙うコンビネーションや、ボールの動かし方の質、クロスなら中の入り方、そういうところを高めないと、ああいったゲームでは勝ちきれない」と清川監督。

最近はやや落ちてゲームメイクにも関わっている平繁の見方もヒントの1つになる。

「自分が精度を高めるのもありますけど、つないで崩す形ができているシーンも何度かはある。ただ、回数が少なければ相手のブロックも動かないので、連動して引き出す回数を増やさないといけない。自分としては、預けたあとにボールが入ってくることを信じてゴール前に入ってく、その回数も増やしたい」

3連敗を経て原点に立ち返り臨んだ3連戦は1勝2分に終わったが、得られなかった勝点の分、経験値として得たこともある。それを共有して次のゲーム、これからのゲームに生かすことで、勝点1をいっそう意味あるものにしたい。

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