「ゼルビアTimes」郡司聡

【コラム】町田招待女子交流サッカー大会『PRE COPA ZELVIA Ladies』開催。ゼルビアレディース・トップチーム創設への胎動

GNJ_4724

▼裾野拡大ありきのプラン

2015年3月28日。春の到来を実感する暖かな快晴の下、東京都町田市にあるサレジオ工業高等専門学校のグラウンドに、サッカー少女たちの声とボールを蹴る音が鳴り響いていた。

グラウンドで展開されていたのは、U-15の女子チームが参戦する『町田招待女子交流サッカー大会〜PRE COPA ZELVIA Ladies〜』。1試合20分ハーフGKを含む8人制のこの大会は、参加6チームを3チームずつの2グループに分け、総当たりのリーグ戦を行い、各組の1位と2位がタスキがけで対戦。決勝に進出した2チームが頂点を争う大会である。

そんな熱戦が展開されていたピッチを、優しい眼差しで見つめるなじみの人物がいた。FC町田ゼルビアのクラブ創設者の一人であり、現在は町田ゼルビアスポーツクラブ理事長を務める守屋実氏である。

「以前は7つあった町田市の小学生の女子チームも今では2つに減っています。女子がサッカーをできる範囲が狭まっていますから、女子がプレーできる環境をもっと増やしたいと思っています」

女子チーム数の減少や、競技人口の低下など、町田市の女子サッカー事情を憂慮した守屋氏は、女子の競技人口を増やす活動を思い立った。近年はゼルビアも女子のサッカースクールを2つ展開し、町田市サッカー協会の門田健次氏が代表を務めるボニータFCとFC町田ゼルビアが協業。2015年からチーム名をFC町田ボニータU-15に改称するなど、守屋氏の頭の中には裾野を広げながら、将来的にはゼルビアレディースのトップチームを創設し、ピラミッド型の女子チームの組織を構築する構想があるという。

「トップチームだけ強くてもジリ貧となってしまうので、裾野を広げながら、下のチームから上のチームへ選手たちが輩出されるボトムアップ作戦を考えています。ミッションは5年後の2020年までにゼルビアレディースのトップチームを作ることと、現状は7、80人程度の競技人口を300名まで広げること。その2つです。そう簡単に事は運ばないと思いますが、町田市の1クラスに1名サッカーをプレーする女子の選手がいれば300人に到達する計算になりますから、決して不可能ではないと思っています」

 

▼そして、5年後へ

守屋氏にはもう一つ、憂慮していることがある。近年のデータでは1週間の総合運動時間60分未満の女子小学生は4人に1人、全体の25パーセントにものぼるほど、小学生の女子が運動に親しむ時間は年々減少傾向にあるという。

「サッカーを当たり前のようにできるスポーツ・環境にしていくことで、女子サッカーを親しみやすいスポーツにしていきたいと考えています」

もちろん、女子サッカーの普及が進めば、“サッカーのまち・町田”をより印象付けることになるのも守屋氏はよく理解している。

今回の『PRE COPA ZELVIA Ladies』開催を足がかりに、来年以降は『COPA ZELVIA Ladies』本大会の実施も計画中。参加チームを増やして、大会の規模を拡大し、この大会を通じて指導者の育成にもつなげたいと守屋氏は力説する。

幾多の熱戦が繰り広げられた『PRE COPA ZELVIA Ladies』は、東京八王子FCアトリースと横浜青葉女子ジュニアユース・Biene Aobaが決勝に進出。最後はアトリースがスコアレスからのPK戦を制して頂点に輝いた。グループリーグの初戦では同じBiene Aobaに0-3の完敗を喫していたアトリースが、大会を戦いながら成長を遂げた結果、Biene Aobaと互角に渡り合った。まさに女子サッカーの可能性を象徴する形で大会は幕を閉じたと言えるだろう。

5年後に見据えるゼルビアレディースのトップチーム創設へー。記念すべき『COPA ZELVIA Ladies』プレ大会を開催した2015年3月28日が、歴史の扉を切り拓く始まりの日になるかもしれない。

GNJ_4663GNJ_4763GNJ_4585GNJ_4668

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ