「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開】J3第8節・盛岡vs町田/盛岡・鳴尾直軌監督、町田・相馬直樹監督、増田繁人選手コメント(4,009文字)

▪︎明治安田生命J3リーグ第8節・13:00キックオフ
盛岡南公園球技場/1,277人
グルージャ盛岡 0-0 FC町田ゼルビア

 

▪︎鳴尾 直軌監督(盛岡)
——試合を振り返って。
「今日のゲームは前節まで失点がどうしても続いてしまっているという状況で、内容は悪くなくても勝てなかった。そこで次のステージに上がるためにも、失点ゼロで戦えるベースを作った上で勝利を目指そうと。そういう段階を踏んで強いチームになろうと。そのためにまずは無失点試合をやろうとなりふり構わず戦った。実際に私自身も戦い方に不本意に思うこともあるし、選手の中にも不完全燃焼という思いがあるかもしれないが、盛岡が昨年にはない攻撃的なサッカーをやるためには結果を求められる中で、守備の立て直しがどうしても必要だった。引き分けで良しとはしないが、無失点という経験を次につなげようと考えた。選手がそれぞれの役割を果たして町田に対して得点を与えなかったことは次につながる。われわれの良さをどこでどう出していくか。その中でいかに勝っていくか、それは次節以降の課題にしたいと思っている。とにかく失点ゼロで終えたことが成果になるゲームだったと思っている」

——左ウイングバックにチョン・フンソン選手を起用した理由は?
「きっちりとリトリートした守備をするという中でも、少ないチャンスをモノにしたいという思いもあった。シャドーに高橋と住田、最前線に谷村という配置にする中で攻撃にもう一枚関わるためには、彼のサイドが良いのかなと選んだ。守備の不安はあったが、攻撃の可能性の部分にかけた。本来であれば森英次郎の(ウイングバックの)ほうが安定感はあるが、彼をボランチに起用したので、誰がやったら良いのかなと考えてフンソンを使った」

——試合の終盤にあまり時間を置かずに1枚ずつ交代カードを切っていきましたが、2枚代えるという選択肢もあったと思います。そうしなかった理由は?
「なりふり構わずというところをどう表現するかだった。とにかくゼロで終わらせる中で攻撃のオプションを作るために、例えば前節までのサッカー(ボールを保持して攻める)を表現できるメンバーをベンチには置いていたが、失点するまではとにかく徹底して失点しない戦い方を貫こうと思っていた。最後の最後で入れられたYS横浜戦のような試合もあったので、きっちりと無失点で終わらせるための交代をした。点を取るパワーというよりも、無失点を続けながら点を取るということで、点を取りに行くために、多少のリスクを冒すことは今日に関しては止めようと思っていた。とにかく失点しないで終わらせることを最優先にしていた。(終盤に途中交代で退いた)谷村のようなサイズの選手が相手のパワープレーやセットプレーの守備には必要だったけど、前線で追い回して引っ掛けてカウンターという形を作れるかもしれないと思ったし、『前線からの守備を含めてここは全員で守るんだ』というメッセージを選手たちに伝えるためにも、(終了間際の93分)に谷村を征矢に代えた」

——開幕7試合勝利なしという状況で、無失点で終えるという戦い方を選択して、結果無失点で終えたことで、チームにどんな手ごたえを感じていますか?
「正直分からない。非常に不本意ではある。勝つために前線から守備をする、ボールを動かしながらサイドを軸に攻める、といった戦い方でチャンスを作りながらも勝てないゲームが続いている。何かを変えないといけないというときに、一気に勝ちを目指していく中で、勝利を目指してきたチームが勝てないわけだから、まずは足元を見つめ直そうと。失点しないチームを作って、その上積みでその先のことを考えるべきかなと思った。勝てていない、失点が多い状況で何から手をつけたらいいのかと考えたときに、まずは失点をしないチームを作ることを優先順位の一番に置かないと、ズルズルと連敗がスタートするんじゃないかと思ったので、今日のところは前節から中2日での試合、アウェイからホームへの移動という過密日程、暑さ、選手のコンディションも踏まえて、無失点で終えるためにどうすればいいかと考えた結果、今日のような戦い方を選択した」

——2位の町田という上位を相手に、無失点で終えられたことによるご自身の満足感はどの程度でしょうか?
「無失点の試合ができなければ先はないと思っていたし、みんなで守れば守れるという実感を持てた。自分たちの時間帯を増やすこと、これまでやってきたサイド攻撃を引き出すために、90分間の中でしっかりと守るところと自分たちの良さを出すところの勝負所を見極めたチーム作りはこれからの課題だと思っている。ただ守ろうと思ったときはきちんと守れるチームになったことは大きいと思う」

——GKを横山(卓司)選手に代えた理由は?
「これまでの田端(信成)選手のビルドアップ能力は自分たちがボールを保持して戦う中では非常に安定感のある選手。ただ、無失点に抑えようということで、内容が悪くても勝てないチームを変えるためには、何を変えたほうがいいのかと考えたときにGKを代えるのは良くあること。問題があるということではなくて、今日は流れを変える試合にしたかったという思いが詰まった試合だった。そこまで二人に差があるとは思っていないし、これまでは不運な失点も多かった。気が付いたら失点をしていることもあった。何かを変えたくて変えたくて、何かを変えないとこのままズルズルいってしまうのではないかと思ったので、そのきっかけにGKを代えたということ。そういう意味では危険なシーンを救ってくれたし、非常に良いパフォーマンスを見せてくれたので、今後が楽しみになった。正直気持ちの中で不完全燃焼な部分があって、もっと攻撃的なサッカーをお見せできるチームなのに、それを封印してしまったのは非常に悔しい。ただ、結果を求める中でやらないといけないチャレンジはあると思う。理想は併用。ゲームの流れを感じながら守るときは守れる、攻めどころで決められるチームを作りたいが、これまでは良い内容のゲームをしても勝てない試合が多過ぎた。流れを変えるゲームという位置付けで今日の試合を戦った」

——今後に向けて。
「いまチームは本当に苦しんでいる。チャンスを作りながら内容的にも手ごたえのある試合をしている。ただ勝てない中で何かを変える、勝てるチームに変わるために今日のような戦い方を選択した。今日の無失点が今後の飛躍になると信じている。これからもグルージャ盛岡に期待して応援してくれたらありがたい。相手はJ2を目指しているというクラブのモチベーションに対して、中途半端なゲームをしているんじゃないかと呼びかけてきたし、失点の原因をなくしたかったので、そういったことをクリアにするためにやれることはやろうという思いで戦ったゲームだった」

 

▪︎相馬 直樹監督(町田)
——試合を振り返って。
「今日は非常に良い天気の中で、町田からたくさんのサポーターに来ていただきました。非常に感謝しております。前節のわれわれの勢いを今日の試合に持ってくることができず、非常に悔しい。快勝した試合の後は、難しいゲームになりやすいと思っている。そう考えれば、今日のアウェイで勝ち点1を持って帰ることができたのは良かったと捉えるべきなのかなと。盛岡さんが今年やってきていた形とまったく違うスタイルで臨んできた。どちらかと言うと昨年と同じだと思うが、そういった形で来て、スタイルを変えてくるチームに対して、われわれは昇格、優勝を狙うにあたって勝ち続けなければならないが、今日は勝てなかった。相手がスタイルを変えてまで勝ちに来たというところに飲まれてしまった。そういった部分をはね返せるように、選手とともにやっていかなければいけないと思う。この後は連戦なので、すぐ試合が始まる。しっかりと準備をして、体もそうだが、気持ちの面で強さを見せられるような試合ができるように頑張っていきたい」

——試合の終盤に選手を2人を代えて増田選手を前線に上げ、土岐田選手を右サイドバックに起用しました。どん欲に勝ち点3を狙いにった結果でしょうか?
「そうですね。相手が引いていたということもそうだし、平を入れたのも含めて、セットプレーでゴールをこじ開けるのが精いっぱいかなという感じだった」

——先ほど盛岡の思いに飲み込まれたとおっしゃっていましたが、具体的にどのようなプレーで感じましたか?
「やはり立ち上がりですね。当然そのあたりは前節のことも含めて、これはわれわれが乗り越えなければいけないが、今日も同じようなことをやってしまったなと思っている。これは選手たちとしっかり向き合っていかないといけないと思っているし、長いシーズンを勝ち抜いていく上で大事なことだと思っている。盛岡さんに関わらず、いろいろな思いを持って戦っていて、それを支えてくださる人たちがいる中で、やはりどこか、この間勝ったことや、順位など、今日の試合で力以上のモノを出せている相手と、うまく力を発揮できない自分たちがいる。そういうところを見つめ直していく必要があると感じている」

 

▪︎DF 15 増田 繁人(町田)
「相手の戦術が守備的だったので、セットプレーで点を取ることがカギになってくると思っていた。でもチャンスがありながらも取れなかったことは残念。(守備のリスクマネジメントについて)相手の守備を崩すためにボールを回しているぶん、みんなのポジションがワイドになる傾向があった。そのためにボールを奪われたときに中央が空いている感じになって、カウンターを浴びる場面につながってしまったと思う」

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