「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開】J3第14節・秋田vs町田/秋田・間瀬秀一監督、島川俊郎選手、町田・相馬直樹監督、リ・ハンジェ選手コメント(4,104文字)

▪︎明治安田生命J3リーグ第14節13:00キックオフ
あきぎんスタジアム/1,237人
ブラウブリッツ秋田 0-1 FC町田ゼルビア
【得点者】町田/10分 リ・ハンジェ

 

▪︎間瀬 秀一監督(秋田)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「自分の中でサッカーというスポーツは二面性があると思っている。まずはサッカーをプレーするということ。そしてファイトする、体をぶつける、プレッシャーをかけに行く、裏を狙う。そういったファイトするという部分がサッカーの持つ二面性の二つめです。そのファイトするという部分で、間違いなく立ち上がりにそれで上回っていたのが町田だった。結局はそこで押し込まれた中でリ・ハンジェ選手のループ気味の一本だけゴールが決まり、そのゴールによって90分間の試合のすべてが決まってしまった。僕が秋田の選手たちに対して、町田は100の力の大半を立ち上がりに大事に出してくるということをしっかりと伝えられなかったことに対しては責任を感じている」

——前半の終盤に島川選手をアンカーに置く3ボランチ気味の布陣に変えたと思いますが、その意図と変えたあとの変化について聞かせてください。
「最初はボランチを2枚で2シャドーを置く[3-4-2-1]から、真ん中のボランチを3枚にして前線を2トップにすることで、激しい町田のプレスに対して、真ん中の人数が攻守で3枚のほうが良いんじゃないかと考えた。前の人数は減るけど、2トップにしたほうが裏へ抜けるか、手前で動くか、動きがハッキリするんじゃないかと途中から変えた。後半は立ち上がりから中盤にかけて、あの形でやったことが功を奏した部分もあったと思う。その中で自分たちがゴール前に飛び出した部分、ボールを受けられた部分、FKを得た部分、いずれか一つで点を取れていれば、この試合がどうなっていたか分からないが、チャンスを作っても1ゴールも入らないというのがいまの自分たちの実力だと思う」

——両ウイングバックが高い位置を取った意図は、町田のSBにボールが入ったときに高い位置からプレッシャーをかけるといった狙いがあったのか。途中から両ウイングバックに高い位置を取らせた理由は?
「プレスをかけてくる町田に対して、横のパスでかいくぐるのであれば、ウイングバックが高い位置から一度下りてきて受けてワンクッションを作ってかいくぐるというイメージは前半に関してはあったと思う。でも横パスに対する町田のプレスは本当に激しいので、それでは自分たちが強気にサッカーをできないので、後半はウイングバックが高い位置を取って、プレスがかからない状態のほうが、真ん中を3枚にしてもあるし、そちらのほうがボールを強気に動かせる状態にはなったと思う。今日はここまで試合をしてきて、初めてというぐらい、右ウイングバックと左ウイングバックの選手を入れ替えたり、トップとウイングバックが入れ替わったりを繰り返して、なんとか守備を徹底している町田に対して、スキを狙う、惑わすことができればと思ってやっていたのだが……」

 

▪︎MF 4 島川 俊郎(秋田)
「(試合を振り返って)立ち上がりで完全に相手のペースと勢いに押されてしまった。それが一番の課題だった。相手が前から来ることは分かっていたことで、自分たちの準備が甘かったと思う。試合の立ち上がりで相手が前から来るだろうと声もかけていたし、プレーで表現できていないということは甘さがあったということ。相手のプレッシャーをはがそうと思えば、はがせたし、相手の勢いを逆手に取って戦うぐらいのことをしないといけなかった。(前半の終盤から島川選手をアンカー気味に配置した3ボランチになりましたが、布陣を変えたことで島川選手が意識したことは?)オレはとりあえず真ん中でタツヤ(熊谷)とキョウヘイ(前山)に、もう少し前に絡んでもらえるようにドッシリといることを心がけていた。前線が2枚になったことでコンビネーションを作りやすくなったし、相手に簡単に競り合いをさせないことでセカンドボールを拾えるシーンは増えたけど、まだまだだった。(押し込んだ後半の攻撃面での狙いは?)相手は4バックなので、一人ひとりの距離感が狭いので、ワイドのスペースが空くことは分かっていた。でも相手のSBがそのスペースをケアしてきたので、逆にあまり警戒していなかったであろうディフェンスライン前のスペースを使いたかった。そのあとのセカンドボールを誰が拾うか、峯(勇斗)一人の力に頼ることになったし、ボールの質も低かったと思う。むしろ前半は相手のほうが勢いは上で、あの展開で1点に抑えられたことをポジティブに捉えていた。でも後半は質が足りなかった。ロングボールの質、走り出すタイミングの質などが足りなかった。(熊林選手が入ることで、チームとしてはどんな狙いを持っていたのですか?)前に走るタイプではなく、パサーでリズムを作ってくれるので、いまは後半の途中から入ってくる形が多いけど、スペースが空く時間帯に入ってくれると単純に試合が落ち着く。(今後に向けて)課題だらけの第1クールだった。試合はまだまだ続くし、チームとしても、もっと成長できると思っている。みんなが危機感を持っている。切り替えてまた明日のトレーニングからやっていきたい」

 

▪︎相馬 直樹監督(町田)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「今日は第2クール最初のゲームということでしたが、遠い秋田まで、たくさんの方々に応援に来ていただいて、なんとか第2クールの最初を勝利でスタートすることができました。本当に遠くまで来てくれたサポーターの皆さんに感謝を申し上げるとともに、笑顔を持って帰っていただけるかなと思っております。われわれにとって秋田さんは、今シーズン最初に負けてしまった相手であり、今年のシーズンを難しくしてしまった要因となる相手です。今日はやはりリベンジという気持ちで乗り込んできました。そういう中、選手たちは前半からパワーを持ってゲームに入ってくれて、その中で先制点を取ることができました。できることなら追加点も、というところでしたが、取ることができませんでした。それでも1-0という形で終わることができましたし、われわれにとっては久しぶりの連勝ということになります。今節から第2クールが始まりましたけれども、しっかりとつながるゲームにしていきたいです。前回、山口さんに勝ったゲーム、そして今日、秋田さんにリベンジをできたゲーム、そういう一つひとつを積み重ねていけるように、ここからやっていきたいなと思います」

——後半の途中、増田(繁人)選手からペ・デウォン選手に交代しましたが、増田選手はけがでしょうか?
「ゲーム前に体調不良という申し出があって、その中であの時間帯に『少しフワフワする』という話がピッチの中からありました。そういう理由で交代という形になりました」

——相手が前半の終盤から中盤をダブルボランチからアンカーを置くシステムに構成を変えてきました。これを受けてハーフタイムに何か指示をしたのでしょうか? また、相手がやり方を変えた中で、選手たちの対応はどうでしたでしょうか。
「正直、前半の途中、最後の時間帯ではそこまで極端な形とは感じていませんでした。ただ、後半の頭は確実にそういう形になっていて、そこのところで少し、こちらのほうから行くラインの話であるとか、行った選手のサポートのポジショニングだとか、そういう話を少しさせてもらいました。そういう中で、長いボールを使って少し前でポイントを作られて、カウンターというか、少しダイナミックな形で攻められるというシーンがありました。それでも、最後のところはよく対応してくれたなと思っています。前にもお話をしましたけど、ゲームの中で選手同士の(コミュニケーションの)中で改善といいますか、(選手同士で改善策に気付き)反対にその中で(新たに秋田に生まれた)穴を突いてくるようなことができればと思います。攻撃に関しては、後半は相手が点を取りに来たぶん、スペースが生まれてチャンスが出てきました。ボックス内で良いシーンがあったので、2点目を取るというのが、われわれにとっては今後、大事になってくると思っています」

 

▪︎MF 6 リ ハンジェ(町田)
「(今日は試合の入りが良かったと思いますが、その要因は?)前回の秋田戦は完敗の内容で負けたので、試合の入りの部分で負けないように気持ちを入れて試合に入ることができた。立ち上がりの部分はずっと課題だったし、今シーズンは試合の入りの部分で、気持ちで押されるゲームが続いていて、前節の山口戦で入りの部分から気持ちを見せる試合ができた。試合前からそうした声をみんなでかけることができていたことが、いまのチーム状態を表している。でも、これを続けていかなくてはいけないと思う。(ゴールシーンについて)僕のあのようなシュートを見たことはないと思うけど、僕は結構練習中からあのようなシュートを打っている。チームメートは、『あれはセンタリングじゃないか』と言っているけど、大事なことはゴールが決まったという事実で、チームの勝利のためにゴールを決められたことがうれしい。あとは僕のゴールがどうこうよりも、2点目、3点目を取ることが今後の課題だと思う。(相手が途中で布陣を変えてきましたが、選手たちではどんな対応をしようと話していましたか?)多少押され気味の時間帯やバタバタする時間帯、もしくは奪ったボールをすぐに失ってカウンターを受けるシーンが何度かあった中で今後は修正していかないといけない。1点を取ったあとの自分たちの姿勢をもっと見直さないといけない。(今後に向けて)いま、自分たちがやるべきことは先のことを考えるよりも、一戦一戦をトーナメントの決勝の気持ちで戦うことが大事。前節、山口を叩いたことで良い自信を持って戦えているので、これを一つ二つは続けられても、やり続けるのは難しいこと。そのためにはハードワークをしないといけないし、もっと自分たちを高めていくためにも、もっと要求し合わないといけない。地に足をつけて、最後にどこにたどり着くべきなのか、それを意識しつつ戦っていきたい」

 

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