「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開】J3第20節・町田vs琉球/町田・相馬直樹監督、琉球・薩川了洋監督、川邊裕紀選手、田中恵太選手コメント(5,030文字)

■明治安田生命J3リーグ第20節18:00キックオフ
町田市立陸上競技場/2,543人
FC町田ゼルビア 2-0 FC琉球
【得点者】59分 森村昂太、90+1分 戸島章

 

■相馬 直樹監督(町田)
——試合の総括について。
「梅雨の合間の暑い天候の中、今日は野津田にたくさんの方々に足を運んでいただきました。今日の試合は第20節ではありましたが、われわれにとっては、19試合目でちょうど半分のスタートとなる試合を勝利で飾ることができました。選手たち、そしてサポーターの方々にも感謝を申し上げたいと思います。後半戦を勝ちでスタートしようと選手たちを送り出しましたが、非常に苦しい前半となりました。琉球さんの徹底した背後へのボールとセカンドボールを拾って早く攻めるという狙いに対して、セカンドボールをなかなか拾えない状況で、仮にセカンドボールを拾えたとしてもつなげない展開の中、よく前半を0-0で折り返せたと思います。前半の中でも徐々にセカンドボールを拾って、2本、3本とボールをつなげれば、チャンスができてきていましたので、まずは後半セカンドボールを拾う、拾ったあとはきちんとボールを動かすことを話して選手たちを後半のピッチに送り出しました。そういった中で徐々に自分たちのペースになっていていきましたが、そうなればなるほど、琉球さんが守ってカウンターという展開なりました。そして途中、森村が良い形でこじ開けてよく決めてくれました。また一番最後に戸島にとっても初ゴールが生まれて、非常に良い後半戦のスタートになったかなと思います。ここからはまだ17試合というゲームがあるので、一つひとつ勝ち星を積み重ねられるように準備をしていきたいと思っています」

——初先発となった森村選手への期待と、その森村選手がセントラルミッドフィルダーというか、トップ下に入った新しいシステムの狙いを聞かせてください。
「前半は(森村の)立ち位置が高過ぎたというか、フィックスし過ぎて、あそこに入っていってほしかったですが、(大竹)隆人がそのポジションに入っていても高い位置に入っていく形はやっていますし、ボランチが横並びになってプレーするというよりも、縦の関係でプレーすることは、どっちが前でという話ではなく、攻撃時は自分たちでギャップを作ってという話をしています。前半は少しフィックスし過ぎていましたが、流動的な部分も出て、良い形が生まれていたとは思います。後半はそこに少し良いタイミングで入ることを話して送り出しましたし、うまく選手たちも対応してくれたと思います。今日の試合に関しては上から見ている限り、立ち位置が変わって見える部分があったかもしれません」

——大竹選手を中に入れて、森村選手をサイドに置くという選択肢はあったと思いますが、大竹選手をサイドに、森村選手を中央に置いた立ち位置の狙いは?
「(森村が)まだこちらに来て2週間という中で、当然1週目は登録上出られなかったですので、紅白戦でも今日の選手たちとプレーする機会はなかったですが、トレーニングマッチなども見ている中で、一つ前のポジションとボランチの位置を見ていると、ボランチの位置のほうが気持ち良さそうにプレーをできるのかなと。彼が顔を上がる時間、チームメートと一緒に時間とコンビネーションを作れるかなと思いましたし、そう見えましたので、そのあたりを期待して起用させてもらった。あのようなスコアを決めてくれたことは素直にうれしいし、その一方でもっとできると思います。もっとトレーニングを積むことでコンビネーションの形も見えてくると思います」

——前半はスコアレスで終えてハーフタイムにはどんな声をかけたのですか?
「よくゼロで帰ってきたということと、決定的にやられているわけではないし、落ち着いてやっていこうと話しました。セカンドボールを拾ったあと、一つふたつボールをつなげば、われわれのチャンスを作れると話しましたし、後半はスペースもできてそこに選手たちがうまく入ってくれたと思っています」

——後半戦に向けては、攻撃の部分のプラスαがポイントだったと思います。今日に関しては森村選手が決めて個の力というプラスαは発揮できたと思いますが、チームとしての攻撃のプラスαについては、今日の試合に関してどのような捉え方をされていますか?
「コンビネーションやラストパスの精度は、今後も突き詰めていかないといけないですし、そうしないと点を取ることを難しく感じる部分は多々あったと思います。ただ、今までとは上から見ていても、違う絵が見えたのかなと思っています。そこの部分を結果に結び付けられるように、違う絵に固執する必要はありません。ただ、われわれとしては決して悪いゲームをしていないですが、いまは首位と9ポイント差がある中で、少し絵を変えようという決断を下しました。その絵の形だけで勝ち点3を取れたわけではないですが、良いところを出せた上で、後半戦を勝利でスタートできたことはポジティブに捉えて今後につなげていきたいと思っています」

 

■薩川 了洋監督(琉球)
——試合の総括について。
「勝てたゲームでもあるかなとも思うけど、結局は負けているので変なことは言えない。前半はウチが良くて、後半は相手がGKからボールを丁寧につなぐ形になってからは、リズムが出てしまったし、個人能力の差が目に見えて出るようになった。町田は背負ってプレーできる能力が高かった。ウチは前半で疲れたのは言い訳にしたくないけど、今週は台風があって満足に練習ができなかったけど、選手たちは最後まで走ってチャンスは作れていた。まだ来年勝負のチームではないので、じっくりとこれから積み上げていきたい」

——前半は町田がいつもとは違った形にしてきたように見えたのですが、町田の出方に対する選手たちの対応はいかがでしたか?
「今日は前からプレスに行けと指示を出していて、それを町田がイヤがって、最終ラインから蹴るボールが多くなっていた。9番の選手(鈴木孝司)がボールを収めたとき以外はチャンスがなかったと思う。あとは高い位置でのスローインか。CKもなるべく与えないようにしていたし、琉球としては戦い方が100に近いぐらいで、それぐらい前半は圧倒していたと思う。でも(田中)恵太が決定機を外していたり、松尾が決められなかったり、決定力の部分で後半の戦い方は変わった。チャンスを作りながらもなかなか点が入らないので、個人の得点感覚に関してはいろいろな意味で伸ばさないといけないし、ウチのチームはいまの選手たちが成長することを考えていかないといけない。先制点は素晴らしいシュートだった。そんなに悪いゲームではなかった」

——相手がシステムを変えてきたことへの影響は?
「後半の町田はプレッシャーをしっかりとかいくぐってきたし、能力が高い選手がいるぶん、やりにくくなった。前からプレスをかけてもつなぐ意識が出てくると、あれだけ能力が高く、体の強さや運ぶ力があると戦いにくい。ボールを前線でキープされて2列目の選手がどんどん出てきた。そうなったときにどうするかを自分も含めて考えないといけない。内容は悪くなかった。ただもっと戦えたとも思う」

——現時点で薩川監督が描く琉球のサッカーは、どの程度まで、できていますか?
「現時点で70まではいかない60ぐらいかなと。クラブとしてやらないといけない部分もあるし、クラブの予算は下のほうだけど、その割には頑張っている。レギュラーの中でも5、6人は仕事をしながらサッカーをするアマチュア選手もいる。休む時間も十分にないので、そこはクラブとして考えないと。それでも琉球でプレーしている選手たちは甘えずにやってくれている。オレとしては強いチームと戦って勝てるチームを作っているつもりでいる。前半は圧倒できる時間帯を後半もできるようにしたい。でもすぐにはできるようにならないので、前向きに考えていきたい。プロチームを圧倒できるポテンシャルをアマチュアチームでも持っているのであって、その差はない。ただ個人のところでもっと伸ばしていかないといけないし、ほとんど100%に近いほど、鈴木孝司はボールを(的確に味方に)落とす力があった。そこは駆け引きで対応できるんだけど、オレも現役時代は体が小さかったし、もっとできる。それを伝える力が自分にもないといけない。ただ後半は疲れちゃったね。台風で中日が自主練になったんだよ。オレは家から出られなかったのよ(笑)。オレの家の玄関が開かないぐらいなんだから(笑)。前半の内容を前向きに捉えたい。後半は後半でもっとできただろうし、もっとやらせないといけない。選手にも感謝しているし、一方で僕の問題でも選手の問題でもある。目標は優勝ではない。今季はなんとか5位以内に入ろうとやっている」

——次節で対戦する秋田の印象は?
「後ろから回してくるポゼッションサッカーという印象。でも前回対戦でも圧倒できたんだよね。今日のような凡ミスを減らすこと。あとは決め切る力をもっと付けないと。今日も決め切っていればまた違った展開になった。間瀬監督は勝ちにこだわっている監督だなと思う。自分たちのサッカーをぶつけるだけ。相手がどうこうで変えないし、自分たちのサッカーをどれだけできるか。多少の変化は付けるけど、本来やっていることをぶつける。山口が相手でも長野が相手でも圧倒する時間帯はあるから、その良い時間帯に点を取ることをやっていきたい」

 

■DF 3 川邊 裕紀(琉球)
「(試合を振り返って)前半に決定機がいくかあったのでそれを決め切って試合を優位に運びたかったけど、後半の立ち上がりが悪くて失点をしてしまった。そこは修正しないといけない点だと思う。(後ろから見ていて攻撃の狙いはどの程度表現できましたか?)最近の試合は前半の最初から足元でつないでいたけど、今日の試合は幅を作るために、裏へ配球しようと思っていて、それが効いていた。それは一つの収穫かなと思う。町田にはポテンシャルの高い選手がたくさんいるけど、そういうチームを相手にしても対等以上にやり合える選手は琉球にもいる。今日の試合に関してはそれを発揮できなくて悔しい。(次節に向けて)3連敗はどうしても避けたい。チームとしても課題を修正して次の試合に挑みたいと思う」

 

■FW 7 田中 恵太(琉球)
「(試合を振り返って)相手も相当イヤがっていたし、チームとしてもチャンスがあったし、僕も1対1のチャンスがあった。そこで決められなかったことがあのような結果になった原因だと思う。(どんなことを相手はイヤがっていましたか?)相手はバックパスをすると、基本的にディンフェンスラインを上げてくるので、僕はそのラインを上げた裏を狙っていた。裏への対応も良くなかったので、そこで押し込むイメージで僕は動いていた。前節の福島戦は僕らはプレッシャーの部分も含めて、前へのスピードが出なくて、試合の入りが悪かったので、自分たちのサッカーはひとまず置いておいて、前にプレーしようと決めてやったら、入りから相手がイヤがっていたので、前半はそれを貫き通した。(相手は中盤の配置を変えてきましたが?)そこよりも僕たちは中盤を飛ばしていたし、相手もそんなにつなぐチームではないし、セカンドボールを拾ってから攻めを始めるチームなので、前半は先手を取れて良かったけど、そこで決め切れずに相手のペースになったし、特に1点目は相手の個の力でゴールを決められてしまった。チャンスで決め切れなかったから、前線の選手としては反省している。(GK高原選手に1対1を止められたシーンについて)相手のクリアボールを胸でトラップした形になった。キックフェイントで運ぶか、ボールを浮かせるか、冷静にボールを運べれば良かった。股を狙ったのだけど、詰まっていたので当たってしまった。台風の影響で練習は実際にほとんどできなくて、おとといも練習はできずに、その前も室内で練習していた。でもその影響は思ったよりもなかった。昨日も今日もミーティングで確認したし、全体で言えばうまくいったと思う。結局上位のチームは悪いゲームをしても勝ち点を拾えるし、僕たちは良いゲームをしても決められずに勝ち切れない。質や決め切る部分、守り切れない部分で負けてしまう。それが出たゲームだったかなと」

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