「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開】Jクラブ初の食堂事業『ゼルビア×キッチン』の開店式を実施! 「クラブを取り巻く方々の憩いの場に」(下川浩之代表取締役社長)

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▼アカデミーの食事環境改善へ

 

FC町田ゼルビアがJリーグクラブ初の試みとなる食堂事業の一環としてオープンさせる『ゼルビア×キッチン』の開店式が25日、現地で実施されました。記念すべき開店式はあいにくの悪天候となりましたが、公益社団法人日本プロサッカーリーグ専務理事・中野幸夫氏ら多数の来賓も詰めかけ、試食会も盛況のうちに終了しました。

ゼルビア×キッチンは、トップチームの選手はもちろん、高校生・中学生のアカデミー選手の食事環境改善を主たる目的としながらも、地域住民が利用できる環境を整えていることも特徴の一つ。同食堂の発起人である下川浩之代表取締役社長は、「例えば、地元のお母さんたちが子どもをフットサル場に連れて行ったあとに食事をしながらくつろぐとか、試合前にサポーターの方々にお越しいただいて、ここで元気を付けてスタジアムで応援していただくなど、クラブを取り巻く方々の憩いの場になってほしい」と期待を口にしています。

同食堂の80種類以上のメニューには健康管理のためのカロリー表示や栄養素が記されており、個人の状況に応じた健康管理にも役立ちます。また、自分で料理を選択する“ビュッフェ・スタイル”であることも、食の楽しみを広げるポイント。メニューを考案した栄養士の森さんは「人それぞれ、摂るべきカロリーの量や力を入れるポイントは違いますから、自分で料理を選択できるようにしてあります。自分で(食べる料理を)選択できることも利点です」と話しています。もちろん、「スタミナを付けたい」などのリクエストがあれば、リクエストに応じたメニューセットを提供してくれるとのことです。

開店式のあと、試食した相馬直樹監督はヘルシーなラインナップを選択。健康志向(?)な一面をのぞかせました。おいしそうに料理を頬張る表情から、ゼルビア×キッチンの料理がおいしいことは十分に分かっていただけることでしょう。

そもそもの出発点である育成年代の選手たちの健康管理と“食育”をテーマに掲げる同食堂の理念は、近い将来、アカデミーからトップチームへの選手供給に一役買うことになるはずです。今年は町田ユースが夏の日本クラブユース選手権に出場し、クラブ史上初の全国大会出場を実現するなど、クラブのアカデミー改革が順調に進んでいることを印象付けるシーズンになっています。そんなメモリアルの年に、育成年代の選手たちの成長に寄与するゼルビア×キッチンがスタートする価値は大きく、「町田から世界へ」という言葉を、近い将来実現するような選手の出現があるかもしれません。

またゼルビア×キッチンは、地元の農家と契約し、地域の子どもたちやアカデミー所属の選手たちに年に数回農業体験を実施する計画を持っており、そうした貴重な体験は育成年代の選手たちの人間形成にも寄与することでしょう。

地域で愛される憩いの場、そして育成年代の選手たちの成長につながる食堂として、9月28日にゼルビア×キッチンは、グランドオープンします。

ちなみに、記者も僭越ながら試食会に参加させていただきました。メインディッシュは、豚の角煮かハンバーグかで迷いましたが、「しばらく豚の角煮を食べていない」という理由で前者を選択。基本的に和食に目がないため、里芋とひじきの煮物、スタンダードな味噌汁に普通盛りより少し多めの白米をオーダーしました。結局、カロリー計算は横に置いておいて、好きなものを食べるというありがちな選択となりました。やはり独身男性の健康管理にはもってこいのお店だと思います。しかし、カロリー計算を無視して、自分の欲望だけを満たすとは、お腹周りがふくよかな状況を本人はあまり深刻に考えていないのでしょうか……。

Text&Photo by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)

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【下川浩之代表取締役社長の囲み取材コメント】

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——ゼルビア×キッチンの開店式を迎えられた心境は?
「8月の20日過ぎから雨が続きまして、(建物ができるまでは)外の仕事がかなりあるものですから、20日間も雨が続くことはなかなかない中、オープンを迎えられるのか、気になっていましたが、24時間体制で昼も夜もご尽力していただいた協力会社さんの職人の方々の存在がありがたかったですし、感謝を申し上げたいと思います」

——ゼルビア×キッチン設立の経緯をあらためてお聞かせください。
「設立にあたってはトップチームはもちろんのこと、一番大切な育成年代であるジュニアユースやユース、その子どもたちに対してこれまでは十分な栄養補給を与える環境がありませんでした。トップチームに関しては地元の(町田)木曽食堂さんや(讃岐うどん)かいとさんなど、地元の飲食店さんにご協力いただいて、食事を摂っていますが、ユース、ジュニアユースとなると数が200人以上になりますので、すべておんぶに抱っこは忍びないですし、これまでは夜練習が終わったあとに弁当を提供するようなことをしていました。弁当やおにぎりをいろいろと買って提供すると一斉にじゃんけんが始まるような状況でした。そういう姿を見ていると、プロクラブを作っていく上で育成年代は体が出来上がる大事な時期ですから栄養をしっかりと摂ることを教え込んで、サッカーだけではなく、カロリー計算などを指導していくことは大切だろうと、始めさせていただきました。そういった部分とは別に一般のお客さんに来ていただいて、プロアスリートが食べている食はどんなものなのか、それと美容や健康も流行しているので、ヘルシーメニューだったらダイエット食を提供できるんじゃないか。そういったことも考えました。テラス席も造りましたので、秋や春先に地元のお母さんたちが子どもをフットサル場に連れて行ったあとに食事をしながらくつろぐとか、試合の前にサポーターの方々に来ていただいて、ここで元気を付けてスタジアムで応援していただく、もしくはメディアの方々の食事の場など、クラブを取り巻く方々の憩いの場になればいいのかなと考えています」

——ゼルビア×キッチンのセールスポイントを聞かせてください。
「『食と健康』、『子どもたちに夢を』、『町田から世界へ』と看板に書かせていただいていますが、大きなテーマとしてはこういったものを達成するために、子どもたちに頑張ってもらえる土台になればと。育成年代の選手たちがサッカーだけではなく、食にも関心を持ってもらって、食のあとに外の清掃をする、ゴミ拾いをする、お皿を洗うとか、人様に恩恵を受けた場合はそれをお返しする、そういったことも指導していきたいと考えています」

——育成の子どもたちが練習のあとにここに立ち寄れる状況を作る、ということでしょうか?
「ユースやジュニアユースのチームが遠征前にここで食事を摂るとか、練習帰りに立ち寄って解散するような形にします」

(広報補足)そういった形の対応は、10月からスタートします。親御さんが早く帰宅してほしいといったリクエストがある場合は対応する形となります。

——例えばトップチームの選手がサポーターの方々と交流する形はあるのでしょうか?
「現実には奥に30席ありまして、そこは仕切られた形になります。選手のプライベートがあるので、選手たちはその席を利用する形になるでしょう。ただトップチームの選手は営業という側面の顔を持っているので、選手が食べに来ることもありますから、『ゼルビア×キッチンに行けば、誰々選手に会えるなとだから行ってみよう』と、一つの営業戦略としてはあると思います。ただ(トップチームの選手の)横に座って食べるや写真撮影などは極力、ご遠慮いただく形になるかと思います。『良いよ』という選手に対しては厳しく縛りませんが、常識の範囲内で捉えていただけますと幸いです」

(広報補足)まだ正式に決まったわけではありませんが、例えばテラス席でファンクラブ会員の方を抽選でトークショーに招待するなど、そういったことは考えております。選手と一般の方が触れ合えるイベントは今後考えていこうと思っています。

——アルコールの提供は?
「夕方の5時か6時といった時間を決めて、もしくはテラスは良い雰囲気が出るので、貸し切った方にアルコールを提供することなどはやっていきたいと思っています」

——構想から立ち上げまで、どのくらいのお時間がかかったのでしょうか?
「構想自体は3、4年前からありましたが、ここが空いたのが今年の3月でしたので、そこから約半年かかりましたね。私どもとすると、導線にちょうどゼルビアの事務所があり、ゼルビア×キッチンから少し行って右折するとフットサル場があり、練習場があり、その延長線上にスタジアムがあります。私どもにとってみると、すごく守備範囲としては超地元として良い立地なのかなと。今後、利益が出たときはトップチームに使うのではなく、この利益は子どもたちに全部使うという気持ちでやっていこうと思っています」

——Jクラブがこうした食堂事業をやるのは初の試みだと思います。Jリーグへ報告されたと思いますが、その反応は?
「食堂としてブランド力があって、Jリーグとしては一般客を入れることは面白いと。選手のための寮や食堂は、どこのJ1クラブも取り組んでいることですが、一般の利用者を入れるということはすごく面白いねとは言っていただいています」

——ファン・サポーターへのメッセージを。
「この道は昔からあまりお店がなかった地域であり、その中で私も育ってきたのですが、昔は本当に暗い道でした。でもトンネルができて、スタジアムができて、少しずつお店ができてきました。以前のここはコンビニエンスストアだったのですが、時代とともに風景が変わっていくように、ゼルビア×キッチンを造ることで、5年、10年、20年と長くお店を展開しながら、子どもたちが帰ってこられるような場所として活用していだければうれしいです。ただこうした事業は地域の協力がないと、なかなかうまくいきませんから、地域の方々に●●DAYなどをつくって、お安く食事を提供することやそのイベントの参加者向けのメニューを作るなど、この周りは施設が多いですので、ここに呼んで選手たちに来てもらって触れ合うことで、地域の方々に元気になってもらうなど、お互いをリスペクトしながら、全体的に町田という街が元気になればと思っております」

 

【Jリーグクラブの『定食屋さん』ゼルビア×キッチン概要】

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■住所/東京都町田市野津田町919
※試合会場の野津田、練習会場の小野路から車で5分以内。駐車場は28台完備。
■客席数/店内72席、テラス席20席
■営業時間/11:00〜22:00
■定休日/年末年始
■電話番号/042-810-3333
■様式/80種類以上のメニューがあり、お客様にお好きなものをお取りいただき精算。一品一品まごころを込めて、また栄養素やカロリーも表示。

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