「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開】J3第37節・鳥取vs町田/鳥取・松波正信監督、町田・相馬直樹監督コメント

▪︎明治安田生命J3リーグ第37節11月8日(日)13:00キックオフ
とりぎんバードスタジアム/1,258人
ガイナーレ鳥取 1-1 FC町田ゼルビア
【得点者】鳥取/45+1分 オウンゴール、町田/89分 鈴木崇文

 

■松波 正信監督(鳥取)
——まずは試合の総括からお願いいたします。
「町田は前節を終えて、首位の山口と勝ち点が並んだことで、強い気持ちでここに乗り込んでくると選手たちには伝えていたし、勝ちたい気持ちや情熱では順位に関係なく相手に負けてはいけないと話していたが、選手たちはしっかりと戦ってくれたと思う。前へ行く推進力を出せていたし、当然押される時間帯はあるが、想定内ではあった。そういった中でも何度かカウンターでチャンスも作れていた。前半のオウンゴールも前へ行く意識が高かった結果だと思う。後半は相手に退場者が出て、ウチのペースになったが、相手のパワーも入ってきていた。ほとんどが25歳以下の選手であったことも含めて、どうしてもピッチの中で押される時間帯をしのぐ術や落ち着きをどうするかとなったときに、最後相手の力に押し切られてしまった。チャンスがあった中で冷静に仕留められるかといったことは今季を通しての課題で、その課題をまだまだ消化し切れていないのは僕の反省点として残っている。トレーニングの中で取り入れているけど、消化できるまで落とし込めていないことは僕自身も反省しないといけない。今日の戦い方からすれば勝たせてあげたかったというのが正直な気持ち。町田相手に戦う姿勢は見せてくれた。僕が一番反省している」

——町田の攻撃について、どの部分やポジションの選手を警戒していましたか?
「2トップ、2サイドハーフの距離感が近いコンビネーションに対して、3バック+両ウイングバックがスライドして対応するのか、3バック+ダブルボランチでスライドして対応するのか、といったところの守備は気を付けていた。ただ、そこまで入ってくる町田のボールはロングボールが多かったので、戸島(章)、鈴木孝司に対するロングボールへのセカンドボールに対する意識はしていた。ベタ引きではなかったが、プレスをかけてもロングボールが多いので、3ラインがコンパクトに守備をするようにと選手たちには伝えていた。そういう守備をしてくる相手の崩し方はよく知っている選手が町田には多いし、個人のクオリティーも高いが、そういう選手たちに対して、ウチの選手は最後体を張ってよく対応してくれたと思っている」

——残り2試合はどんな意気込みで臨もうと考えていらっしゃいますか?
「順位は関係なく、情熱を持って、激しい戦いをして勝ち点3を取るゲームをしないといけないと思っている。勝てば順位は下がるし上がるという中で4位以下のチームは争っているし、少しでも良い順位で終わるためには勝つしかない。勝利にこだわりながら戦っていきたい」

——試合終盤まで選手交代に動きませんでしたが、それはバランスを考えてのことでしょうか?
「そうですね。全体のバランスも良かったし、選手のコンディションが落ちた印象もなかった。もう少し待って、11人で押し切ってしまおうと思っていたが、山本(大稀)は少しカウンターの中でも疲れが見えたので、スピードがある林(誠道)を入れて、ラストにフェルナンジーニョを入れるという考えはあった。先発で出ていた選手たちを信じてというか、出ている選手たちが戦っていたので、そのまま押し切れるという確信はあった。しかし、それで最後に町田の執念や優勝するという気持ちに上回られてしまったのかなとも思う」

 

■相馬 直樹監督(町田)
——まずは試合の総括からお願いいたします。
「非常に町田から遠い鳥取までわれわれをサポーターしてくださる方々が応援に来てくれましたし、その声援に対して感謝申し上げます。勝ち点3を狙って戦いましたが、勝ち点3を残念ながら持ち帰ることはできませんでした。ただ勝ち点1を持ち帰ることになったのも最後まで声を枯らして応援してくれた人たちの力が大きかったと思っております。ゲームのほうは風も強く、雨で非常にスリッピーなピッチコンディションでの戦いになりました。どのような状態なのか、詳しいことは分かりませんが、フェルナンジーニョ選手が先発してこないという状況でしたので、上のボールが多く、縦への展開が速いタフなゲームになるなという予測の中で選手たちを送り出しましたし、選手たちにもそういった状況に押し負けないようにと話してピッチに送り出しました。その中で前半は自分たちの流れを作れていましたし、セカンドボールを拾うことや、ファーストボールに対してのディフェンスを含めて、自分たちの時間帯を作っていました。ただペナルティーボックス内に入っていくところで迫力が足りない部分があったとも思っています。あのようなピッチ状態でしたから、もっと思い切ったプレーができていれば良かったと思いますし、先に点を取れれば、ゲーム自体の流れが大きく違ったのかなと思っています。そういう中で何回か受けていたカウンターの中から選手に当たってオウンゴールという形で失点をすることになりました。たとえ前半で点を取れなくても、失点したことで選手たちの気持ちの部分が大きく違ったのかなと思いますし、もう少し選手たちが余裕を持った状態で後半のピッチに送り出せれば良かったのかなと思っています。結局、土岐田(洸平)が少し早い時間帯で退場になり、マグ(増田繁人)も終盤で退場する形になってしまいました。今日の試合の中で、選手たちが前への姿勢を貫いてくれた中、その入れ替わりの過程でファウルになってしまいました。前への姿勢は選手たちに求めていることですし、その点では選手たちも良くやってくれたと思っています。最後、そういうことがなければ追い付くことも反対になかったのかなと思っています。勝ち切るには前だけでは足りないこともありますが、ここまで6つ勝ってきて、残り3つすべて勝って一番上まで行きたいと思って、選手たちの闘志にもう一つ火をつけないといけないと送り出したことが今日に関しては良くない方向に出てしまったのかなと思っています。僕自身の選手たちの力の引き出し方を含めて、僕の力のなさが原因だったかなと正直思っています。幸い選手たちが頑張って勝ち点1を取ってくれました。まだ残り2試合あります。最後に選手たちが見せてくれたあの闘志を無駄にしないよう、またさらにエネルギーを持って、残り2試合で勝って終われるよう、残り2試合で2連勝をしたときに何が残っているか、そう臨めるように準備してきたいと思っています」

——(第31節・)藤枝戦以来の追いかける展開となりました。日頃の練習の中で追いかける展開となったときにどうなるか、ということを監督は話されていました。繰り返しの部分もあるかと思いますが、先制されたあとの外から見たピッチ上の選手たちの精神状態はどうだったのか。勝ち越すために足りなかったこととは何でしょうか?
「失点も正直事故のようなものでしたから、ハーフタイムに選手たちへ焦りを持たないようにと送り出したつもりでしたが、結果的に退場者が出てしまったことで微妙に焦りにつながってしまったのかなといまは思っています。残り2試合、難しいことですが、リードしていても、同点で推移していても、リードされている状況であっても、選手たちが平常心を持ち切れるか、自分たちを信じられるかに尽きると思っています。気持ちの部分だと思いますので、しっかりと次のゲームに向けて、それを持てるようにやっていきたいなと思います」

——今日の試合が終わったばかりで恐縮ですが、来週のミッドウィークに天皇杯・浦和レッズ戦を控えています。浦和戦に向けての意気込みを聞かせてください。
「全然忘れていましたね(苦笑)。中2日でのゲームにもなりますが、いまJ1で優勝を争っている浦和とのゲームになります。そこでもう一つ思い切ってチャレンジをして、一つ自信をつかめるように、失った勝ち点2の試合のあとでもファイティングポーズをしっかりと取れる準備を短い時間でもできるようにしていきたいと思います」

——攻撃面ではペナルティーボックス内での迫力不足など、自分たちの問題というニュアンスの話をされていましたが、逆に鳥取の守備で苦しめられた部分や予想以上にやられたなということがあれば教えてください。
「前回の対戦でもそうだったのですが、われわれに対してすごくリスペクトしていただいて、後ろに人数を割いて、奪って速く攻める形を採ってきます。今日、フェルナンジーニョを外したのもボールを奪って速く攻めるという意図に付随しているところもあるかと思いますが、それをこじ開ける力が必要でしたし、それをこじ開ける力がなかったこともまた事実だと思っています。そうですね……。そんなにリスペクトしてくれなくてもいいのにとは思いますが、ボックスの前にたくさんの人がいる状況をどうはがすか。やはりワンプレーのクオリティーがあれば、いくら(ディフェンスの)枚数がいてもそれを変えることはできる。そういったことも含めて、武器を付けないといけません。武器を持っている選手もいることですし、そういう飛び道具が出てくるような精神状態を作っていくことが必要だと思っています」

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