「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開・マッチプレビュー】天皇杯全日本選手権4回戦・浦和レッズ戦/J1ファーストステージ勝者との対峙。チャレンジャーとして挑む決戦に「一泡吹かせたい」

▪︎天皇杯全日本選手権4回戦11月11日(水)19:00キックオフ
熊谷スポーツ文化公園陸上競技場
FC町田ゼルビア vs 浦和レッズ

DX2B0528 (1)©FC町田ゼルビア
▼“可変システム”への対応がカギ

 

2012年大会以来の天皇杯全日本選手権に出場しているFC町田ゼルビアは、1回戦から3回戦でJ1、J2、J3の全Jリーグカテゴリーチームを破り、4回戦進出を決めた。4回戦の相手は、J1リーグ・ファーストステージを制覇した浦和レッズ。日本トップクラスの人気を誇るクラブチームとの対戦を前に、選手たちはその高揚感を隠せない。天皇杯シリーズでゴールマウスを守るGK内藤圭佑は、「ファーストステージの勝者でACLにも出場しているチームと公式戦で対戦できるのは、東京都代表になって、本大会で3回勝ち抜いたからこそ。失うものはないから思い切ってぶつかっていきたい」と浦和戦への決意を話した。

ミハイロ・ペトロヴィッチ監督がチームを率いて4年目となる“ミシャ・レッズ”の戦術面におけるキーワードは、“可変システム”。そのメカニズムは以下のとおりだ。

1トップ2シャドーを金看板とした[3-4-2-1]システムをベースに、攻撃時にはダブルボランチの一角が最終ラインに下りて、ビルドアップに参加。3バックの両CBはワイドに開いて、SBのような役割を果たし、リベロはボランチの一角とともに4バックを形成する。そして両CBがSBのポジションを取ることで、前に押し出される格好となる両ウイングバックは、ウイングのように前線に張り付き、1トップ2シャドーとともに前線は5枚になる。

攻撃時は[4-1-5]、守備時には両ウイングバックが最終ラインに吸収される傾向が強いため、[5-4-1]へと姿を変えるーー。かつてサンフレッチェ広島で“可変システム”を経験しているチーム主将のリ・ハンジェは、「慣れるまでに時間がかかるし、それまでやってきたサッカーと180度違った」と話すほどの衝撃を受けたという。

町田としてはその“可変システム”への対応が勝敗のカギを握るが、まずはチームコンセプトを忠実に表現することが大前提。最終ラインは強気のハイラインで全体の陣形をコンパクトに保ちながら、相手をボールサイドに追い込み、ハードワークでボールを刈り取ってから素早い攻守転換でショートカウンターをしかけるーー。CBの増田繁人が「個々の勝負では勝つことが難しいから、どれだけコンパクトにして戦えるかだと思う。それができれば良い勝負ができる」と話しているように、そんな“相馬ゼルビア”のチームコンセプトを忠実に表現することが勝利への可能性を高める。

 

▼週末に公式戦がない浦和

 

過去3シーズンにおける天皇杯の浦和は、試合日程が詰まっていたため、サブ組中心のメンバー編成だった。昨季は3回戦でJ2・ザスパクサツ群馬に“ミラーゲーム”を挑まれた末に1-2で敗戦。2013年は3回戦敗退、2012年も4回戦で大会から姿を消すなど、近年の天皇杯における戦績が決して良いとは言えない。

ただし、今回の4回戦の日程に関しては、日本代表のW杯予選による中断期間のため、浦和は週末に公式戦の日程が組まれていない。近年とはスケジュールが異なるため、出場メンバーは読みずらく、リーグ戦のレギュラーメンバーが多数出場する可能性も否定できない。

とはいえ、充実の選手層を誇る浦和は、たとえサブ組でもレギュラーメンバーとの実力は遜色ない。「僕たちがチャレンジャーであることに変わりはない」と森村昂太が話すように、町田は勇敢なチャレンジャーとして、ファーストステージ勝者に挑む。もちろん、勝負はやってみなければ分からない。J1・ファーストステージ勝者撃破へーー。「一泡吹かせたい」と191cmのハイタワー・FW戸島章は、短い言葉に力を込めた。

Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)

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