「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開】天皇杯全日本選手権4回戦・町田vs浦和/町田・相馬直樹監督、浦和・ペトロヴィッチ監督、橋本和選手、高木俊幸選手、平川忠亮選手、李忠成選手、石原直樹選手コメント

▪︎天皇杯全日本選手権4回戦11月11日(水)19:00キックオフ
熊谷スポーツ文化公園陸上競技場/5,505人
FC町田ゼルビア 1-7 浦和レッズ
【得点者】町田/50分 平智広 浦和/30分 橋本和、32分 李忠成、45+2分 90+2分 関根貴大、65分 阿部勇樹、69分 高木俊幸 75分 興梠慎三

 

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「まずは平日のナイトゲームにもかかわらず、町田からたくさんの方々に応援に来ていただきました。まずは感謝申し上げたいと思います。残念ながら喜ぶ姿をお見せすることができなかったですが、選手たちは最後まで戦ってくれたと思います。率直に言って、気持ち良いぐらいと言っては何ですが、完敗でした。天皇杯4試合目ということで、格上のチームと2回、戦ってここまで来ました。試合の流れで言うと、0-0の流れが続くことで、これまではそれによって格上のチームがやりにくさ、焦りを生む状況になっていましたが、立ち上がりが良い流れで入った分、どこかそれによって相手の集中力も高まり、選手たちは今日もうまくいくのではないか、と選手たちが思い始めた中で、セットプレーからゴールを奪われてしまいました。先に取られたことで気落ちしてしまった部分もありましたし、浦和さんのプレーに余裕が出て、かけ引きなしの実力が引き出されるような展開になってしまったのかなと思います。『たられば』は常にありますが、終了間際の3失点目や1-3になってから1-4と引き離される前に、シュートがポストに当たる場面がありましたが、あの場面で1点を取れれば相手の焦りを引き出すことができたのかなと思います。ただ最後までゴールを奪いに行く姿勢を見せた選手たちに感謝したいと思います。我々はリーグ戦も佳境を迎えていますし、これも一つ良い教訓です。それをリーグに還元できるように頑張っていきたいと思っています。(浦和は)率直に強いなとあらためて感じました」

ーー浦和がサイドに展開して、そこから縦に速くという攻撃をしかけてきましたが、その対応で後手に回った印象があります。そのあたりは想定していたのでしょうか?
「当然想定はしていましたし、30分に失点をするまでは我慢強くできていた部分は多々あったと思います。ビルドアップの部分で我々が相手のボールを引っ掛けてチャンスがあったと思います。ただ我々は取ったボールをもう一度奪い返されるシーンが増え始めましたし、2失点目は素早く攻められてしまう形でした。もちろん相手のボールを引っ掛けて速く攻めたいという意図はありましたが、奪ったボールをつなぐ、運ぶという意味でスムーズに攻められないときにボールを保持するまでの余裕があれば、もう少し前半の流れが違ったのかなと思っています」

ーーこの試合の経験をリーグ戦につなげたいということでしたが、この日の結果はゴールを奪われての大敗でした。選手が気落ちする部分もあるかと思いますが、リーグ戦への影響はどのようにお考えでしょうか?
「今も選手たちに話しましたが、勝ったときも負けたときもそうですが、次のこと以上に、今のことに集中することを今シーズンは強調してきました。そういった意味で切り替えは大事だと思っていますし、これまでもそれをチームに求めてきました。私自身も選手自身もそうなるように、次のリーグ戦までは中3日ありますが、早く切り替えられるようにしたいと思っています」

ーー天皇杯は4試合を戦って、基本的にリーグ戦では出場機会の少ない選手たちを中心に戦ってきましたが、その中で掴んだもの、得たもの、残りのリーグ戦に良い影響を与えるものはあったのか、お考えを聞かせてください。
「4点目以降でしょうか、選手を3人代えたあとは、できるだけ前でピッチを見ていましたが、当然もっと前に出ようという声がけもしましたが、それと同じくらい、こういう状況の中でそれでも何かやってやろうとファイティングポーズを取り続けていた選手と、どこかあきらめてしまった選手が見られたことは事実だと思います。リーグ戦は佳境でギリギリの戦いをしないといけないという中で、気持ちの強さが重要になる局面だと思っています。こうなった中でも戦える選手、こうなってしまうと力を発揮できなかったり、そういった部分はトレーニングマッチではなく、真剣勝負の場だからこそ見えるものがあります。普段プレーする機会が少ない選手がプレーする中で、見せてくれたことはあったと思いますので、そのあたりのことをよく見極めながら、リーグ戦におけるチームの方向性につなげていければと思っております」

 

■ミハイロ ペトロヴィッチ監督(浦和)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「最後は点差がついたが、町田がなぜ名古屋に勝利したのか、福岡に勝利したのかというものが見えた試合だった。技術のある選手、そしてしっかりとオーガナイズされたチームだということがよく見えたし、立ち上がり、われわれが町田に対して難しい状況だったことは確かだ。特に立ち上がり、攻撃の組み立てのところで、町田の2トップの選手がチェイシングをしてきて、なかなか思うようなビルドアップができないような状況だった。そういう中で、われわれは攻撃の組み立てのところを時間の経過とともに修正して、その後は比較的、自分たちのいつもの展開を作ることができたと思う。後半の立ち上がりも、われわれは若干、良い状況が作れない中で、相手に得点を許し、3-1となってしまいました。その後、選手たちは落ち着いて、攻撃をしっかりと組み立てる中で、得点を重ねることができた。今日のゲームに関しては、われわれのチームはボールの動かし方やオフの動き、サイドのローテーションで、良い攻撃の形が作れていたと思うし、選手たちは強い町田に対して、自分たちも強い気持ちを持って相手を打ち負かしに行く、そうした姿勢を最後まで見せてくれた。非常に良い攻撃の形が多く見られた、素晴らしい試合だったと私は評価している」

——今日は控えの選手も結果を出したが、負傷で心配される選手もいる中で、今後の厳しい戦いでの、選手のコンディション調整をどう考えているか?
「非常に難しい質問だ。リーグの試合があって、2週間空いて、またリーグの試合があるようなスケジュールで、このシーズンの終わりを戦っているが、まず、1試合戦って、間が空いてしまうと、緊張感を保っていくのは難しい状況だ。選手を休ませたほうがいいのか、トレーニングをさせたほうがいいのか。そうした部分でこの時期は難しい時期だ。私自身もコーチングスタッフ、メディカルスタッフと話をしながら、どういった量でトレーニングをしていくのか、休ませていくのかと話している。われわれがコンディションをうまくキープできるような薬があるなら、それを使っていきたいが、そういうものはないから、トレーニングと休ませることをうまく調整していくことは、簡単ではない。サッカーは非常に厳しいスポーツだ。最後のチャンピオンシップの180分で勝利したチームがすべてのものを手に入れることができる。その戦いに負けてしまったチームはそれまでがどうだったかということは、なかなか評価されない。残念ながら、それがサッカーだ。それまでの準備は、もちろんどのチームもベストを尽くして、自分たちが最後に勝利を手にするために戦っている。ただ、最終的には、その準備を含めて、勝利をしたチームがすべてを含めて称賛される。それ以外のチームは称賛されない、それもサッカーだ。やはり、勝利したチームがそれまでの過程を含めて、ベストのことができたと称賛を得ることができる。負けてしまえば、それまでが非常に良かったとしても、残念ながら否定されてしまう。それもサッカーだ」

——先日、ストッパーにはフィールドプレーヤーの中でも特に多様でハイレベルな能力が求められると話していましたが、その観点から今までチャンスがなかった中で起用された、加賀選手と橋本選手のプレーについてはどう感じましたか?
「橋本選手にしても、加賀選手にしても、今日は非常に良いプレーをしたと、私は評価している。特に右サイドの平川選手と加賀選手の位置は、良いコンビネーションで、オフの動きの連動性が非常にあって良かったと思う。反対サイドの橋本選手も、攻撃的に前に出ていった。もっと回数が多くても良かったとは思うが、私自身の目から見て、2人とも今日は非常に素晴らしいプレーをした。どの選手も、レッズに新しく入ってくれば、われわれのやり方に慣れるには時間がかかる。加賀選手、橋本選手は、入ってきて1年が経とうとしているが、やっと、われわれのやり方に慣れてきたと言えるだろう。どの選手も、われわれのチームに来れば、時間が必要なわけだが、われわれにチームとして求められるのは、常に勝利することです。リーグであれ、ACLであれ、ヤマザキナビスコカップであれ、天皇杯であれ、われわれは常に勝利を求められる。その中で、チームは常に戦っていかなければいけない。そうしてシーズンを戦っているわけなので、プレッシャーがあるし、新しく入ってきた選手にとっても、プレッシャーがあると思う。われわれ自身も、そういう選手をチームの中で起用しながら、なじませながら戦っていくというのは、決して簡単なことではない。以前、武藤選手や高木選手がどこのチームでどういうプレーをしていたかというのは、われわれのチームに来れば、誰もそういうところは見てくれていない。浦和レッズの選手として、彼らは結果を残すことを求められている。われわれはそういうプレッシャーと常に向き合いながら、戦っている。われわれは、次の神戸戦に勝利すれば、72ポイントでリーグを終えることになる。優勝した2006年が72ポイントだったと思うので、クラブとしても、一番ポイントを取ったシーズンとして並ぶ。もし勝利すれば、21勝9分4敗という成績になる。ただ、われわれが万が一、年間1位でなかった、チャンピオンシップで勝利できなかった場合、おそらく、監督が悪く、選手も良くなかったと評価をされてしまうのも、レッズだ。われわれのチームは、勝つだけのサッカーをしていないはず。内容があり、その上で勝つということ、その難しい両方を追いながら、チームとして戦っている。レッズは特別なものを持って戦っている。それは内容も含めてだ。だからこそ私は自分のチーム、選手たちに誇りを持って、彼らをさらに成長させるために戦っている。われわれのチームが影響を与えてきたことというのは、いま、いろいろなチームがわれわれのやり方をしていることを見れば分かる。それは、われわれのチームがこれまで積み重ねてきた内容と結果だ。そして最後に私が言いたいのは、町田は今日も良いプレーをしていたと思いますし、私は心から、FC町田ゼルビアがJ2に昇格してくれることを願っています」

 

■DF 33 橋本 和(浦和)
久しぶりの試合でも緊張はしなかった
「次のラウンドに進めたことが良かったと思う。久しぶりの試合でも緊張はしなかった。立ち上がりは相手も元気だったし、向こうもかなり前から来ていたので、先制点が大事だと思っていた。誰が取ろうが、点を取れればラクに試合を進められると思っていた。チャンスはいっぱいあったし、僕のところにボールが来てヘディングで決めただけ。(アシストの場面について)たまたま僕のクロスがゴールにつながった。もっと取れるチャンスもあったと思う。浦和は早々に天皇杯は敗れることが多いと聞いていた。次のラウンドに進めて本当に良かったと思っている」

 

■MF 31 高木 俊幸(浦和)
1点が入ったことが大きく試合を変えた
「相手の出方も分からず、最初はバタバタしたけど、セットプレーから点を取ったことは大きかったと思う。個人的にすごく良い感触でボールを蹴れていた。中で合わせたワタルくん(橋本)も良いフィーリングで入ってくれた。完璧な形だったと思う。1点が入ったことが大きく試合を変えたと思う。その後の追加点も早かったし、前半で3点目を取れたことも良かった。点を取られたけど、慌てることもなく、自分たちのサッカーをして追加点を取れたので落ち着いて試合を運べたと思う。前日の練習からヒラさん(平川)がクロスを上げた場面でチュンくん(李忠成)がニアに飛び込んで、僕がその後ろに入ることを決めていた。打ち合わせどおりのゴールだった。天皇杯は間隔が空くけど、この日の勝利がリーグ戦1試合、チャンピオンシップにもつながる。目の前の試合をしっかりと戦って、このまま勝ち続けたい」

 

■MF 14 平川 忠亮(浦和)
スペースをうまく使えていた
「相手の4バックのサイドのスペースもうまく使えていたし、ゴールシーンも多かった。良い形で得点を重ねることができた。クロスボールに対しても良いタイミングで中に入ってくれていた。向こうが2トップでウチの2トップに対して当ててきて慌てていたけど、すぐに青木が落ちて3枚で回すようになってからは落ち着いた。ワイドも中も使ってという形を何度も作れたと思う。青木と阿部ちゃんが落ちて3枚で回していたので、加賀も前に出て、同時に僕と走り出すと相手の守備は1枚しかなかった。パスを出すほうの選択肢も多かったし、出すほうもうまく僕たちを使ってパスを出せていたと思う。(サイドチェンジが効果的でした)ウチのサッカーに対して、4バックのまま対応してくるチームはそんなになくて、同じシステムで合わせてくるか、ボランチを最終ラインに落として5バックか6バックにしてくるチームが多い中で、最初からずっと4バックで対応してきたチームは久しぶりだった。その中でサイドチェンジは効果的だったし、慌ててスライドしてくれば中が空く。スペースをうまく使えていたと思う。タイミングよく走り出して、相手のディフェンスラインの裏で受ければ相手はスライドし切れない。効果的に攻めるためにも、開いて受けるだけではなく、裏へ飛び出していくような良い形を作れていたと思う。ずっとスペースが空いていたので、上下動がキツくなったから、加賀と交代交代で上下動をやっていた。上がったり下がったりを繰り返したが、(前へも下がることも)どちらもできる。あとはバランスを取りながらやれたと思う。(最近の浦和の天皇杯は下のカテゴリーで負けることが多かったが、J3のチームが相手ということでそのあたりは意識しましたか?)負けたくなかったし、リーグ戦に出ていなかったメンバーも練習試合を組んでくれて、ゲーム体力・勘が難しい状態で試合に入ってうまくかみ合わないことがあったけど、今年は練習試合を通じて出られない選手も試合をやっていた。加賀とはずっと同じサイドでやっていたし、ワタルもあのポジション(左のCB)をやれるのは能力が高い選手だと思う。今日はそういった選手たちが十分な力を出してくれたと思う」

 

■FW 20 李 忠成(浦和)
2点目を決めたことですごくラクになった
「試合の入りが非常に悪くて、ちょっと戸惑ったけど、うまくワタルが先制点を取ってくれたし、僕も2点目を決めたことですごくラクになったんじゃないか。自分の良さはゴール前に飛び込むことだと思っている。ワタルの素晴らしいクロスにうまく合わせることができた。ワタルの良さも自分の良さも生きた良い得点シーンだったと思う。グラウンドも慣れていない中で相手もプレッシャーをかけてきて、戸惑ってしまった部分もあったけど、時間が経つにつれて浦和レッズらしいサッカーを取り戻しつつあった。それほど慌てなかったことが勝因だったんじゃないか。それこそ日々の練習が自分たちの力になってブレずに戦えたことも勝因だったと思う」

 

■MF 11 石原 直樹(浦和)
チームメートに感謝したい
「残りわずかな出場時間だったけど、チームメートは点差をつけてくれたので自分の出番が回ってきた。チームメートに感謝したいと思う」

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