「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開】J2第2節・町田vs京都/町田・相馬直樹監督、京都・石丸清隆監督、エスクデロ競飛王選手、菅野孝憲選手コメント(7,566文字)

■明治安田生命J2リーグ第2節・3月6日(日)17:00キックオフ
町田市立陸上競技場/3,805人
FC町田ゼルビア 1-1 京都サンガF.C.
【得点者】町田/90+3分 中島裕希 京都/71分 アンドレイ

 

■相馬 直樹監督(町田)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「この寒い時期のほぼナイトゲームと言っていい5時キックオフのゲームにたくさんの方に集まっていただきました。まずは本当に感謝を申し上げたいと思います。前回の開幕戦ですごく期待を持ってたくさんの方々に来ていただきましたが、結果を手繰り寄せられなかったことに対して、ガッカリした方もたくさんいたと思いますが、今日はわれわれを後押ししてくれた方々のおかげで最後になんとか勝ち点1をもぎ取ることができました。そういう雰囲気を作ってくださったことに感謝を申し上げたいと思います。ゲームのほうは力のある選手が多く、石丸監督の下、しっかりとハードワークをしてくるチームに対して、立ち上がりは相手に押し込まれる時間帯が長かったですが、次第に自分たちでセカンドボールの奪い合いの中から、前向きにボールを運ぶシーンを増やしながら前半は自分たちのリズムでゲームを作れていたと思います。ただペナルティーボックス近くまで行きながら、最後に点を取り切る、相手にとって危険なシーンまで持ち込む力を付けることについては、今後もっと詰めていかないといけないことかと思います。セットプレーを含めて点を取る力が必要だなと非常に感じました。そういう流れで前半を終えて、迎えた後半に選手たちの中で、開幕戦にそのまま押せ押せでいって、間延びするような形になり、相手に主導権を渡して、セットプレーから失点する展開になって負けてしまったセレッソ大阪戦での教訓から過剰に下がり過ぎてしまったのかなと思います。そして前半と後半でピッチ状態がだいぶ変わったことも含めて、非常に滑りやすくなり、取り切れていた場面で取り切れなかったり、そういったことを含めてリズムを作れませんでした。ただその中でもカウンターに近い形で決定機を作れる場面もあったかと思います。失点のシーンについては、ベンチの目の前でのプレーでしたので、右サイドで2対1の数的優位の状況ができていましたから、僕のほうから『しかけろ』と指示を出した中で、そこでのミスが生まれてしまい、カウンターを食らっての失点につながる形となってしまいました。そこまでリスクを冒した仕掛けではなかったので、もしあのような形でカウンターを受けたとしても、守り切りたかったのは事実ですが、もしかしたら僕が選手の選択を信頼し切っておらず、指示を出したことで選手たちがやらされたような形でしかけたことが失点につながってしまったかもしれません。そのことについては先ほど選手たちにも謝りましたが、その僕のミスを選手たちが最後1点にこだわって、勝ち点ゼロだったところをよく勝ち点1にしてくれたと思います。選手たちにも伝えましたが、感謝したいと思います。最後になんとかわれわれを応援してくれるサポーターのためにも、ゴールを見せたい、なんとか追い付きたいという思いが、最後そういうゴールに結び付いたのかなと思います。僕は今日、敗戦の記者会見を頭に入れていたぐらい、自分が謝らないといけないぐらいの会見を想定していましたが、選手たちに助けてもらったと思います。またどこかで選手が良い状態で戦って勝利に近付けてあげられるような声がけをできたらなと自分自身にとっては勉強になったゲームだと思っています。勝ち点1を失ったわけですから、勉強になったゲームという言い方は良くないかもしれませんが、最後に勝ち点1を取ってくれた選手たちに感謝したいと思います」

——途中出場したエスクデロ選手の対応には手を焼いた部分があったかと思いますが、ハーフタイムを含めてどんな指示を出されたのでしょうか?
「真ん中に浮いているときは、そこで決定的な仕事をされたわけではないですが、彼が真ん中にいることで我々の選手たちが集められてしまったことは事実としてあったと思います。そこで下がり過ぎてしまったぶん、エスクデロ選手だけでなく、ほかの選手にスペースを与えるきっかけになり、真ん中でポイントを作られながらサイドで時間を作られてしまう展開になってしまったと思います。流れが悪いときはディフェンスラインが深い中でも最後の場面でやられなければいいという考えもアリだと思いますが、今日に関しては後半の頭からそうなってしまった部分については、今後もう少し中盤の選手にプレッシャーをかける前に、真ん中に入ってくるボールの出所に対して、プレッシャーをかけられるようにしたいですし、もう少し圧力を与えられるような追い込み方が必要だったなと思いますので、今後の課題にしていきたいと思います」

——鈴木孝司選手が負傷交代しましたが、彼の状態と彼がいなくなったあと、試合に与えた影響はどうだったのでしょうか?
「現時点ではハッキリとは分かりませんが、負傷した状況ではあると思います。ただまだ診断が下りた状況ではないですので、いまは何とも言えません。当然、たいしたことがないことを願っています。ゲームでの影響については、少し前でボールが収まる回数が減ってしまったとは思います。ただ収まりどころは孝司の一箇所だけではないと思っていますし、鈴木崇文にボールが収まった状況になれば攻撃をしかけられる形になったと思います。戸島についても、最初は相手も彼は高さがあるので、抑えられる部分があると思いますが、何回も続くとポイントになっていきました。得点する前ごろには、少し前にボールが運べて、相手が戸島のところに引っ張られる部分がゴールにもつながったと思います。どの選手についても同じことが言えますが、孝司のけがについても、それぞれ代わった選手が持ち味を出すことも大事ですし、少しそれまでに時間はかかったと思っています」

——京都さんとは約1カ月前のトレーニングマッチで戦ったことで相手のことをイメージしやすい状況だったと思いますが、一度戦っていたことが良い方向に働いた部分は何かありましたでしょうか?
「われわれとしては選手の特徴を知っていることは良かったと思います。それはある程度やれると感じた部分もそうですし、その中で相手がパワーを持ってプレーする部分も事前に対戦していたことにより、肌で感じていたことはあったと思います。ただその一方で前半の立ち上がりなど、京都さんには負けていましたし、力はあるぞと感じていることで反対にリスペクトしてしまった部分はあったと思います。当然トレーニングマッチと公式戦は違うので、特に立ち上がりは相手の体の強さやフィジカルの部分で後手に回り、フィジカルの強さを京都さんが強調していたことでリズムを作れなかった部分はあると思います。キャンプで対戦していることで、町田にはフィジカルで強くいったほうがいいと京都さんは感じていたのかなといまはそう思います」

——トレーニングマッチでの失点の形は、サイドチェンジの展開からでしたが、今日の試合における全体のスライドなどはいかがでしたか?
「そのあたりについては、正直あの段階では京都さんに対してうんぬんだけではなく、守備のブロックについてチーム全体として出来切っていなかったのですし、われわれのプレシーズンでの準備の段階において、京都さんとのトレーニングマッチは大事なゲームになったと思う部分が多々あります。実際にそのあと解消されてきましたので、正直そんなに簡単に同じ形でやられないだろうと思っていましたし、今日の試合でもやられるシーンは少なくできたんじゃないかと思っています」

 

■石丸 清隆監督(京都)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「非常に残念です。アウェイに駆け付けてくれたサポーターの方々に勝利を届けたかったので、非常に残念に思います。前半の内容から後半は盛り返したことは良かった部分だと思いますが、ミーティングや今週の練習で相手の裏への動きに対してやり過ぎてしまい、前半からディフェンスラインがズルズル下がって間延びしてしまったことは、相手にペースを握られた原因になりましたし、それは課題でもあると思います。本当は選手間で修正しながらやってほしかったのですが、怖がり過ぎてラインが下がったことはハーフタイムに修正をしたぶん、マシになった部分は出たと思います。ただ45分間がもったいなかったなというのもあります。それは選手だけの問題ではなく、われわれコーチングスタッフが準備の段階でもっとやっていかないといけないなと勉強になりました。次のゲームに向けて、攻撃も守備も課題がありますので、修正して次につなげていきたいと思います。以上です」

——後半途中に高橋(祐治)選手を入れて3バックに変えた狙いを教えてください。
「(高橋は)ビルドアップも慎重にできるし、2トップがそこまで機能していなかった。また4枚の最終ラインが重たいなという印象もあったので、3バックの自由度を守らせながら、後ろを安定させて戦おうという意図だった。狙いとしては(3バックの)練習をしていたし、スムーズ感はあったと思う。そして相手がまだまだ対応できていないときに、パスの選択のチョイスができていない部分がある。ただ自由度があり過ぎて、エスクデロが本当にいてほしいところにいないとか、まだまだある。それはチームとして課題が残っているが、オプションの一つとしてこれからも考えているし、システムのこともどれが機能するか、詰めていきたいこと。これ(3バック)も一つのオプションとしてやっていきたいと思う」

——2試合連続で先制しながらも2試合とも追い付かれているという展開となっていますが、先制したあとの今日の試合運びについては、どのように感じていますか? また選手のメンタリティーの部分にも言及していただければ。
「先制してからのゲーム運びは悪くないと思う。最後の失点シーンでは選手交代があった影響なのか。2枚フリーな状況だったので、それが交代によってのズレなのか、まだ確認はしていないけど、(交代のズレでなかったとしたら)こちらの若干のミスかなと。ただ今日に関しては勝ち切らないといけないゲームだったと思うし、相手の最後まであきらめない気持ちは十分に伝わっている。僕たちも今後そういう状況があれば、そういう姿勢を出していかないといけないし、同じような状況で最後まで守り切ることはシンプルな話だとも思う。5バックでも問題はない話だし、授業料が高くついたかなと」

——前半の攻撃面に関して、右SB(石櫃洋祐)の攻め上がりはうまく使えていましたが、特に左サイドハーフ(石田雅俊)の選手はうまく使えていなかった印象です。前半の攻撃面に関して、どんなことをやりたくて、それがどこまでできていたと感じていますか?
「ほぼできていない。ポジショニングと狙いは相手もあることだけど、相手がどう出てくるか、相手の出方を見てサッカーをすることが本来あるべき姿であって、決め打ちでできるものではない。ただ相手の右SB(星野悟)と右サイドハーフ(鈴木崇文)はゾーンディフェンスできちんとやっているゼルビアさんからすれば、守備で食い付く場面が途中から見られていたので、本来は左サイドの攻撃は機能しないといけない。でも石田のポジショニングではそれが見えていない。チーム戦術でも個人戦術でも詰めていかないといけない。立ち位置はもっと細かくやっていかないといけないし、現状でも課題はたくさんあるなと思っている。相手の立ち位置に変化を付ける位置取りが遅いぶん、スペースが空かなかったり、かなりフリーな状況があったけど、それを見付けられないとか、そういうことがあった。ずっと取り組んでいることだけど、相手があることでもある。チームとしての課題もあるし、決め打ちでやっている選手も結構いるので、相手を見てポジションを取ることもこれからやっていかないといけない。まだまだやらないといけないことがある」

——山瀬(功治)選手が前半の終了間際に交代しましたが、分かる範囲での状態を教えてください。
「もも裏が張ったという話だったので、詳しいことは確認していないけど、しんどいかなという本人からの申し出があったので交代させた。歩いているのでそこまでひどくないが、試合をやれる状況ではなかったという本人の判断があったので代えた」

 

■FW 10 エスクデロ 競飛王(京都)
自分にできることを少しはアピールできた
「最初から行く準備はいつもできているけど、スタメンは試合の直前まで分からない。残念ながらまたベンチスタートになって、でもこの前(水戸戦)のように15分でも、5分でも10分でもチームのために何かしようという気持ちで準備をしていた。早く出場時間が来てくれたぶん、長くプレーできたので自分のプレーはアピールできたのかなと思う。前半を見ていて、無駄な動きになってもいいから(パスの出し手の近くへ)もらいに行く選手が一人もいなかった。どうしても裏、裏になってしまって間延びをしていた。ボールを取られなかったらベストだけど、間でもらうことで、相手のディフェンスラインは下がってくるし、そこでチャンスを作れれば自分にもチームのためにもなる。それはきちんと意識してやりながら、守備もしなくてはいけないので、中へ行ってボールを取られた後の切り替えはきちんと意識してやっていた。1点を取ってチームとして守り切ろうと戦っていた。みんながメンタルで相手の気迫に負けてしまったということが今日の引き分けの原因だったと思う。ただ課題はたくさんあるけれど、後半のようにみんなが気持ちのあふれるプレーを出せれば。攻撃(の形)が見えてきたのかなという感じはある。僕もまだ(チームに合流して)2週間なので、それ(連係)をもっともっと深めて、また1週間アピールして、次こそスタメンで出られるように頑張る。

(得点シーンについて)(得点を決めたアンドレイが)見えていた。ちょうど僕が抜けようとしたときに中に動きを変えたら、相手が付いてきて、誰が来ていたかは分からなかったけど、京都の選手は見えていたのでスルーしたらアンドレイが良いところに走り込んでよく決めてくれた。僕がプルアウェイの動きをしたときに相手が見えたから、そのディフェンスを食い付かせようとして、ボールが来たのでスルーして、良い形につながった。(裏への意識が強かったとのことですが、それはチームとしての狙いだったのですか?)イ・ヨンジェとか、裏へ抜けるプレーが好きなので、それは一つの形として、チームの攻撃パターンの一つ。でも狙いを持って裏を取っていたわけではない。外から見ていて、苦し紛れに裏へ蹴っているようにも見えた。狙いがあっての裏ならば良いけど、特に前半はボールを受けに来る選手がいなかったし、そうしないとなかなかチームのリズムが生まれない。一度ボールを落ち着かせたり、キープをしたりする選手がいないと。僕もそうだけど、アリ(有田)もマサ(石田)も引いてきて、ボールを受けてターンをする動きをできればもっと攻撃のパターンが増える。そういうことを僕の口からどんどん伝えていければと思う。

(3年半ぶりの日本でのプレーはいかがですか?)むちゃくちゃ楽しいです。J2は戦術もしっかりしているし、こういう素晴らしいスタジアムでサッカーもできる。サポーターのみなさんも数多く来てくれる。いろいろな意味でのプロフェッショナルの場に戻ってきたなという印象です。でも楽しいだけではなく、厳しいこともやって、チームとしての目標を頭に置いて個人が記録を取るとか、個人として点を取るとかだけではなく、チームとして何をやらないといけないか頭に入れながら戦うことであとから個人の結果は付いてくる。まずはそこをしっかりやっていきたい。(いまはJ2ですが、以前に比べて日本サッカーの違いをどのように感じていますか?)J3ができたことによって、J3からJ2、J2からJ1とハングリーさというものがあるし、今日の試合でも町田の選手の気持ちはものすごく強いものを感じたし、中国や韓国と同じような気持ちの強さを感じた。それは僕が日本でプレーしていたころには感じなかったこと。一人ひとりのサッカーに対する気持ちがすごく強くなっている。前節の水戸戦もそうだったけど、絶対に負けない。球際で勝つ。激しく戦う。そういうこともできるし、審判のレベル自体も上がっていると思う。だから良い意味でビックリしている。(韓国と中国でプレーしてどんなことを学びましたか?)勝者のメンタリティーですね。試合に出て何が懸かっているか。試合で結果を残せないと試合に出られなくなる。僕にとっては京都で2戦目だったけど、コウジさん(山瀬)に残念ながらアクシデントがあって、僕にチャンスが回ってきた。全然足りなかったけど、自分にできることを少しはアピールできたと思うので、また練習から良いアピールをして、チームのために少しでも貢献できれば。(日本代表への思いはありますか?)今年中に、という思いは強い。半年、1年と戦って京都がJ1に上がったときに自分の名前が代表にあるようにしたいと思う」

 

■GK 21 菅野 孝憲(京都)
追い付かれた経験は今後に生かせるからポジティブに捉えている
「もちろんサッカーなので、どんなに自分たちが集中してようが相手が上回ることもあるし、勝つことも負けることも引き分けることもある。この早い段階で(終盤に追い付かれるような)経験をすることでこのあとに生かせるのでポジティブに捉えている。失点につながったセットプレーの場面では、いろいろとメンバーが代わっている中で、選手がどれだけ臨機応変に対応できるかが重要。逃げ切ることに関しては、悪くなかったと思う。セットプレーのマークに関しては、自分だけを見るのではなく、周りを見て、マークのズレに一人ひとりがいかに対応できるかが大事。今日の結果を受け入れて次につながる価値のある試合をしないといけない。(後ろから見ていた守備の印象は?)相手ありきなので、守備がハマる時間帯もあるし、ハマらない時間帯もある。ハマらない時間帯に後ろは落ち着いて、全員で本当にやられてはいけない場面でやられないようにしないといけない。(攻撃では)後半ぐらい積極的にみんながボールを受けてボールをつなげば、3バック、4バック関係なくボールをつなげられる。前半に攻撃がハマらなかったとそんなに悲観的に捉えてはいない」

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