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「ゼルビアTimes」郡司聡

【マッチレビュー】J2第3節・レノファ山口戦/プラン遂行。必然の今季初勝利

■明治安田生命J2リーグ第3節・3月13日(日)16:00キックオフ
維新百年記念公園陸上競技場/4,711人
レノファ山口 0-2 FC町田ゼルビア
【得点者】町田/40分 中島裕希(PK)、50分 鈴木崇文

▼指揮官の読み

昨季、最後までJ3優勝を争ったライバルチームとの対戦を前に、指揮官・相馬直樹監督が立てたゲームプランは、立ち上がりの時間帯が一つのポイントだった。今節・レノファ山口戦を2日前に控えたトレーニング後、昨季の山口に肉付けされている要素を報道陣に問われた相馬監督は、次のように話していた。

「昨季もそうだったが、山口さんは早い時間帯に点を取ることが多く、今季の2試合もそういう形になっているし、結果として今季も継続されている。試合の入りに関しては、相手の強みでもあるし、重心を下げるというわけではないが、試合の入りは意識しないといけない。先に取られない、もしくは先に点を取ることと合わせて、試合の入りがゲームの流れを左右する部分が大きいかなと思っている」

ファジアーノ岡山との開幕戦で山口が奪った先制点は5分。続く第2節・ギラヴァンツ北九州戦では19分と、いずれも早い時間帯で先制点を奪っており、実際、今節の試合の立ち上がりも山口が優勢だった。チームのベクトルが常にゴール方向へ向いている山口は、選手同士が近い距離感を保ってパスをつなぎながら、機を見ては縦にパスを打ち込んできた。3分には庄司悦大が鋭いグラウンダーの縦パスを打ち込んだが、ここは畠中槙之輔がパスの進路を塞いだ。さらに5分、スペースに走り込んだ安藤由翔がスピードを生かしてアタッキングエリアに侵入するなど、立ち上がりから山口が町田を押し込んだ。

ボランチでチームの攻撃の舵を切る庄司いわく、序盤から相手を押し込む展開は特に上野展裕監督から指示が出ているわけではなく、むしろ「もっと前から来ると思っていたけど、あまり前から来なかった」町田の出方に対して、「あれ?」と肩透かしを食らったという。しかし、こうした町田の出方は立ち上がりにおける山口の勢いを想定した上での対応だった。ボランチの森村昂太は言う。

「結構相手に動かされたけど、それは想定していたし、その中でうまくブロックを作りながら、カウンターをしかけていく形を狙っていた」

畠中を中心にディフェンスラインをなるべく高い位置に保ち、前後の距離を縮めてブロックを構築。前からのプレッシングは抑え気味に、リスクは冒さず時計の針を進めた。ボールは支配されても、ブロックの外でのポゼッションならば問題はなく、トップ下で起用された安藤も今季からの新加入選手で周囲との連係が熟成されていなかったことも、町田にとっては好都合だった。特に昨季のJ3得点王・岸田は「相手の脅威になれなかった」と反省し、昨季3度目の対戦で執拗に繰り返していた“裏狙い”も沈黙。序盤にあった山口の勢いも時間の経過とともに収束したことで、次第に試合の主導権は町田に移っていった。

かくして、前半も終盤に差し掛かった39分、絶好の先制のチャンスが訪れる。アタッキングエリアでのアバウトなルーズボールを拾った戸島章が谷澤達也へパスを展開。後方から左SBの土岐田洸平が追い越す動きを確認していた谷澤は巧みなパスを土岐田に通すと、ペナルティーエリア内で倒された土岐田がPKを獲得した。高確率でPKを決めているエースの鈴木孝司がけがで不在の中、ベテランの中島裕希が冷静に沈めて町田が先制。前半終了間際の岸田による絶好機は、守護神・高原寿康がビッグセーブを披露し、1点をリードしたまま、試合は後半へと折り返した。

▼数的不利を物ともせず

指揮官が試合のポイントと見立てていた序盤の劣勢をしのぎ、先制点を奪取。そして後半開始早々の50分には鈴木崇文が効果的な追加点をもぎ取った。「1点を取られたことでハーフタイムは結構みんなメンタルがやられていた」と山口の庄司が振り返ったように、後半の立ち上がりに奪った追加点は気落ちした精神状態で後半を迎えていた山口にさらなるダメージを与えた。

しかし、サッカーの神様は、4年ぶりのJ2勝利を目指す町田へ一つの試練を課した。迎えた55分、庄司のパスに自慢のスピードで抜け出した岸田を後方から倒した有薗真吾が一発退場で町田が数的不利に陥った。とはいえ、守備力に自信を持つ町田にとって、数的不利の状況は割り切って守り倒す決心がつく状況でもある。相馬監督は2得点に絡んだ谷澤を下げて、CBキム・ソンギを投入。2トップの戸島を左サイドハーフのポジションへスライドさせ、[4-4-1]のシステムで数的不利の状況に対応した。

「逆に10人になったことで戦い方がハッキリした」とリ・ハンジェ。前後左右に揺さぶられたとしても、「エリア内には入れさせないことを意識していた」(森村)町田は強固なブロックを構築し、最後の一線は割らせない“割り切り”の下、チームは意思統一されていた。

2-0のまま試合は推移し、アディショナルタイムの表示は5分。それでも失点は許さず、町田は試合終了のホイッスルを聞いた。

山口戦の焦点だった立ち上がりの時間帯を慎重な試合運びでしのぎ、前半の終了間際と後半の開始早々という効果的な時間帯でゴールを奪う。そして数的不利の状況は指揮官による柔軟な用兵と、「簡単にはやられない」という自信のある粘り強い守備力で相手の攻撃をはね返すーー。“昇格組対決”という側面は差し引く必要はあるが、現状のチームが持ち得るストロングポイントを発揮した町田が勝つのは必然の結果だった。

Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)

                                  ©FC町田ゼルビア

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