「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開】J2第4節・町田vs金沢/町田・相馬直樹監督、金沢・森下仁之監督、太田康介選手、作田裕次選手コメント(5,482文字)

■明治安田生命J2リーグ第4節・3月20日(日)16:00キックオフ
町田市立陸上競技場/4,013人
FC町田ゼルビア 2-1 ツエーゲン金沢
【得点者】町田/11分 中島裕希 28分 中島裕希 金沢/39分 作田裕次

 

■相馬 直樹監督(町田)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「まずは3連休の中日でほかに出かけるという選択肢がある中で、われわれのホームゲームに足を運んでくださり、ありがとうございました。今季が開幕してからホーム2試合を戦いましたが、なかなか勝てない中で、サポーターの方々のエネルギーが“三度目の正直”で勝利をつかませてくれたんだと思います。まずは応援してくださった方々に感謝を申し上げたいと思います。ゲームのほうですが、金沢さんに対して、われわれがチャレンジャーということで、われわれらしく、前への推進力を持った試合をしようと話して選手たちを送り出しました。立ち上がりからセカンドボールを拾うこと、相手の背後を突く形も含めて、前でポイントを作る、フィニッシュに近い場面まで持っていく、そういったことができたんじゃないかと思います。そのパワーをかけた中で、なかなかないタイミングでの中島のシュートが決まり、追加点を取ることができました。今日の試合については、パワーを使っている中で点を取れたことが非常に大きかったと思っています。ただ、2点を取ったあとに、星野の負傷で三鬼が代わりに入った中で、少し自分たちの流れではなくなってしまいました。その理由は人が代わった部分もそうですし、2点を取ったことで少し省エネといわけではないですが、少し楽をして少しでもセーブしてと、そこまで考えていたわけではないと思いますが、ワンプレーワンプレーや一つの競り合いで出てきてしまいました。失点をしたあとに金沢の前に出るエネルギーが反対に出てきた中で、セットプレーから点を取られましたが、押し込まれた時間帯に2点目を取られなかったことも大きなポイントだったと思っています。ハーフタイムに選手たちへだいぶ厳しい言葉をかけて、『このままやられるぞ』という話をかけて送り出しました。それでもセカンドボールを拾えない時間帯が長く、相手の徹底した攻撃でラインを下げられる、ポゼッションをされることの長い時間帯が続く展開になりました。ただその時間帯を過ぎると、次第にカウンターの形を作れた後半になったかと思います。本来であれば、次の1点、3点目を取って後半を進められるようなチームになることが必要だったと思いますが、我々にはその力がまだまだ足りていないなと感じています。難しい流れになったなという状況もあった中で、2-1で勝ち切れたことは自信を持っても良いかなとも感じています。なんとかホーム初勝利を達成できましたので、次につなげていきたいと思います」

——前節もそうですが、深津選手、鈴木孝司選手がいない中で、今日は試合中に星野選手が負傷するという不測の事態がありました。その中でもチームとしてしっかりとできているのか、人が代わった中でも戦えていると感じていますか?
「結果として勝っている状況ですので、できている部分はたくさんあるんじゃないかと思っています。もちろんこれからゲームが進んでいったときにいろいろなことが出てくると思いますが、いまはまたシーズンが始まった中で、核となる選手が抜けている中でも、この前のゲームも、今日のゲームも、代わりに出た選手がポジティブにゲームに入ってくれていたと思います。それが多少のズレやコミュニケーションミスはあると思いますが、それをピッチの中で解決してくれているということはチームの状態が良い証拠なのかなと思っています」

——後半は2-1の状況が続く中で、2枚目の交代カードを切った時間が後半37分でした。意外に引っ張ったなという印象はありますが、その時間帯の中で監督の頭の中で描いていたことはどんなことでしょうか?
「後半の10分過ぎあたりから、少しテコ入れをしないと厳しくなるかなという印象はあったのですが、ただ金沢さんが一番ポイントにしていることがセットプレーだろうという予測の中で、もう少しセカンドボールを拾う回数やボールを収める回数を増やしたいなといろいろ考えていました。でも全体的に押し込まれている展開、相手が長いボールをシンプルに使ってくる展開の中で、実際にセットプレーの機会が増えていった中で、(セットプレーの守備での)マークのことなどを考慮すると代えられないなと考えていました。ただ20分、25分と時間が経過する中で、こちらが次第にカウンター気味に前へ行ける展開があったので、このまま押せるかなと考えていました。その中で2-1で逃げ切ることプラス、カウンターになったときにプラスのエネルギーを出せるように、3点目を取ることをイメージしながら、そのあと交代のカードを切っていきました」

——開幕から4試合で2勝1分1敗。同じ昇格組の山口と同じJ3卒業生でもある金沢と、J2定着へ向けてのライバルと目される相手から着実に3ポイントを取れていることは大きいと思います。外から見るものとしては、スタートダッシュにある程度成功したと思いますが、監督としてはいかがでしょうか?
「まだ38試合ありますので、正直なところそこまで考えていないです。ただ最初の時点で勝ち点を取ることは大事です。いろいろなズレが出た中でもポジティブな解決ができていることはチーム状態が良い証だという話を先ほどもしましたが、そういうことができている間にポイントを取ることはすごく大事だと思っています。長いシーズンですし、ポイントを取ることが難しい時期もやってくるかもしれませんが、多少の問題が起きたときにピッチの中で解決できることが大きいうちに勝ち点を取って、さらに自信につながるようにしたいと思っています。ただ先が長過ぎて、1試合1試合戦っていくという姿勢に変わりはありません」

——監督もおっしゃられたとおり、後半はガチャガチャした中で45分が終わってしまった印象ですが、この先の長いシーズンを考えると、1点をリードした後半で、ある程度ゲームをコントロールして勝ち点を拾っていく作業が必要になると思いますが、そのためにどんなことが必要になってくると感じていますか?
「一つはもう少しボールを動かす前の準備の部分で苦しい展開となって、相手の圧力を感じてくると、一人ひとりの距離が開いてしまうことは感じています。前にボールが付いた、ボールが横に動いたといったときに、少し距離が遠くて、相手が狙いを付けて守備をしてくる展開が前半の途中から後半まで続いたかなと思っています。一番はボールを受けることの自信が必要だと思いますし、もう一つは足元足元のパスになって難しくなりますので、背後もあるし、足元もある。中もあるし、外もあるといった選択肢が必要で、そのためには良いポジションを取る必要があります。ただ後半に関しては、前に出ようとしましたが、前へ出る一つ前のプレーでミスが出ていたと思います。周りの選手の出てくる立ち位置を見ながら、一個ボールを動かせればもう一つ攻めることができたし、相手の陣地で攻める時間帯を作ることができたと思います。ボールを受ける勇気ととともに、後ろが少し重くなっていたことも事実です。そのあたりの重さを解消するためには、勝利という自信がその解消につながってくると思います。今日できなかったことに関しては一つ課題として、リードをしているから後ろを重たくするのではなくて、前に重心を持ちながら、ゲームをコントロールしながら追加点を取れるような作業を選手たちとやっていきたいと思っています」

 

■森下 仁之監督(金沢)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「今日の結果を含めて1分3敗となりましたが、今日の負け方は過去2試合の負け方とまったく同じような負け方でした。戦術や技術どうこうというよりはメンタルの問題で、前半は同じような戦いで進歩がないなと思います。あっさり2点を取られたあと、気持ちの面でも下がるところがなくなれば、前に出るしかない。2点を取られるとそういう状況になるのですが、立ち上がりから自分のサッカーをやろうと試合に入った中で、ボールを持ったときに相手のプレッシャーがあった中でも、一つひとつ判断して勇気を持ってボールを運ぼうというプレーが、前半からなさ過ぎます。相手の圧力を受けると、セーフティーなプレーの選択をしたり、ボールを持つことを放棄するような選択が多く、自分たちで前半にリズムを持てないことがここまでの4試合では続いている印象です。選手たちは一生懸命やっていないわけではないのですが、良い結果を出せず、勢いにも乗れずにメンタルの部分でマイナス面が出ていると思います。今日の結果を受けて、これ以上下の順位はないと思いますので、もう上がるしかありません。前向き一つでも上を目指してやっていくしかないと思っています」

——メンデス選手を左SBに、アン・ビョンジュン選手を左サイドハーフに起用しましたが、その意図を教えてください。
「町田さんに対して、というよりは、ここまで自分たちがなかなか得点をできておらず、攻撃で良い形を作れない中で、アン選手の縦への推進力を生かしたくて彼をサイドに置いた。彼は本来FWの選手だけど、攻撃の部分で前にかかっていこうという意図もあった。メンデスとアンは身長があるので、(高さで)優位に立ちたいという意図があった」

 

■DF 5 太田 康介(金沢)
ストロングポイントを整理しながら今後戦っていきたい
「(4年間在籍した古巣である町田との対戦はどうでしたか?)2年ぶりの対戦だったので、いろいろと思うところもあったけど、知っている選手が(試合に)出ている選手の中では(鈴木)崇文だけだった。知っているメンバーが(ほとんど)いなかったので、そこまで感情移入することはなかったかもしれない。でも、運営スタッフなどは知っている人ばかりだったので、変な言い方にはなるけど、結果は出なかったけれども楽しかった。(ここまで金沢は町田に勝ったことはありませんが……)毎年メンバーも代わっているので、どこかで破らないといけない。自分たちのストロングポイントを整理しながら今後戦っていきたい。(金沢として試合の狙いは?)(町田が)割とコンパクトにしてくるというのは分かっていたので、うまく自分からスペースにボールを供給できたのは良かったと思う。でも、結果につながってないので、精度、ゴールに向かっていく姿勢をチームとして出していきたい。(サイドの裏を突かれて、前半の展開では2点のリードを奪われました)セカンドボールを全然拾えなかった。最初の失点に関してはそれがすべてかなと思う。(町田が)割とパワーを持って来るというのはある程度分かっていたので、最後の最後で防げればいいなと思っていた。あそこの時間帯を耐えれば自分たちの時間帯が来ると分かっていたけれど、今季の負けている試合は全部そういう流れになっている。自分たちが時間帯によって何をしなければいけないのか、ハッキリさせたいなと思う。いまの町田は機動力や前への推進力はあるし、一人ふたりだけでなく、3人、4人と出てくる。最初の時間帯が悔やまれる時間帯となった。終わってしまったことは仕方がない。ストロングポイントの整理と時間帯によって何をしないといけないか、みんなで整理していきたい。(勝ち点を取っていた昨季の序盤戦とは全然展開が違いますが、どこがうまくいっていないのですか?)中盤も含めて、メンバーが代わっていることで統一しないといけないことがある。昨季は中盤がほとんど一緒で秋葉(勝)がポッと入れば良かったけど、そこまで大きな変化はなかった。今季は結構ガラッと代わっているので、今後誰が入っても良いようなことを整理していければ良いかなと。ただ失点が多いので、しっかり守れるようにしないと。後ろからしっかり耐えたいと思う」

 

■DF 3 作田 裕次(金沢)
早めにスイッチが入っていれば、という悔いはある
「前節、ようやく無失点で抑えることができて、前半はその意識が強過ぎたのかなと思う。硬く入り過ぎて、もう少しやれたんじゃないか。前半のうちに1点を返せたことは時間帯も良かったし、後半に入る上でもエネルギーになったと思う。そこでもう1点追い付く力があれば、町田も絶対に引き分けではいけないと前に出てきたと思う。なかなかそこを割れずに残念な結果だった。早めにスイッチが入っていれば、という悔いはある。まず無失点でいくプランが崩れて、1点を取られてからは落ち着いていこうという話をしている矢先の失点だったし、時間帯も悪かった。これがいまの力だと全員が認識しないといけない。(町田の攻撃の序盤の勢いはどのように感じていましたか?)ホームの勢いはすごく感じた。それ以前に自分たちも勢いを出せなかった。町田はいつものプラン通りだったと思うけど、ウチが硬く入り過ぎた。消極的になってしまった。もっとやれると思うけど、そこをうまく出せなかった。(裏への対応について)無失点でいきたかったけど、失点をして後ろにいても仕方がないと確認した中で、ボールに圧力をかけようとしたけど、それが中途半端になって、こぼれたところで裏を取られるシーンが多かった。ウチが力を出し切れていない部分があったのかなと」

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