「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開】J2第6節・町田vs札幌/町田・相馬直樹監督、札幌・四方田修平監督、稲本潤一選手、進藤亮佑選手、菅大輝選手、堀米悠斗選手コメント(6,242文字)

■明治安田生命J2リーグ第6節・4月3日(日)13:00キックオフ
町田市立陸上競技場/7,146人
FC町田ゼルビア 2-0 コンサドーレ札幌
【得点者】町田/23分 鈴木崇文、90分 重松健太郎

 

■相馬 直樹監督(町田)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「今日は春休み最後の日曜日で、残念な天候でしたが、札幌さんのサポーターを含めて多くの方にご来場いただき、良い雰囲気を作っていただいたと思っています。その中でゲームができたことに感謝したいと思います。ありがとうございました。そうした状況下で選手たちが我慢する展開でしたが、最後粘り強く勝利に持っていけたのは、たくさんのサポーターの方々の後押しが大きかったとあらためて思っています。そういったことを含めてありがとうございましたとお伝えさせていただきます。ゲームのほうですが、ピッチコンディションが90分の中でだいぶ変わる試合となりました。アップの段階や試合の立ち上がりは、残った雨の状況もあって芝生が濡れている状態で非常にボールが走る状況でしたが、前半の15分ぐらいからドリブルが詰まるような、パスが芝生に食われるような展開でした。前半はボールが動かない状況の中で、後半は少し雨が落ちてくるゲームでしたが、前半はボールがあまり動かないピッチ状態の中で、札幌さんが我々の守備網に引っかかる回数が増えてカウンターをしかける場面が多かったですが、前半は(前線にかける人数の)厚みが足りないなと思って見ておりましたが、ここまでの札幌さんの戦いを振り返ると、先制点を取って、堅守速攻という形がハマりやすい展開になっていましたので、先に点が欲しいと思っていました。そういう意味では非常に大きな1点だったかなと思っています。そして後半のスタートに形としてはあまり変わりませんでしたが、シンプルに背後を突くことで我々のラインを下げられてしまい、球際で後手に回る展開が多く、相手の決定機もいくつかありましたが、高原中心に最後の場面を守ってくれたと思っています。最後まで粘り強く戦ったことが、最後の追加点につながったと思います。本来は攻撃のところで、厚みを出しながらも少し速く攻められたら良かったですが、あまりそういうシーンを多く作ることができませんでした。それは今後の課題にもなりますが、我慢できたことは良かったが、その時間を少なくしないと、今後はなかなか難しくなると当然思っています。2-0というスコアで勝てましたが、自信も得た一方、たくさんの課題も出ました。その課題を見失わないように、今後も選手たちと一緒にやっていきたいと思っています」

——先ほどお話に挙がった課題について、もう少し詳しくお話していただけますか。
「一つはコンパクトな状態をできるだけ長い時間作りたいのですが、最終ラインが高い、低いはともかく、コンパクトにプレーできるかはすごく大事なことです。前半は芝生にボールが引っかかることも含めて、相手の3バックからボールを奪うシーンがあったので、前は少し前から取りに行く、後ろは後半特に、内村選手が入ってきて背後を突かれる形が増えて、ボールを失っているぶん、相手がCBもルーズなボールはシンプルに前に入れてくる形が増えた中で、自然と間延びしてしまったかなと思います。それをもう少しゲームの中で、全体が前から一緒に(プレッシャーを)かけに行くのか、ある程度割り切って少し下がるのか。うまくコントロールすることが必要で、その間をうまく感じながら戦えると、取ったあとに攻める、攻める時間を作りながら、リードした中で追加点を狙うことがもう少しできたのかなと思っています」

——前節からヨン・ア・ピン選手が入った効果というのはいかがでしょうか?
「あらためて映像で振り返らないと分からないことですが、個の強さは発揮してくれていると思います。ただまだコミュニケーションのところで、シン(畠中)と組むのは初めてですし、そのことも含めて、よりコミュニケーションやすり合わせが必要で、まだあうんの呼吸というものは当然ない状況ですので、そこはやっていかないといけません。でも個の部分で危ない場面を察知するとか、相手をしっかりと抑えることに関しての強さは出してくれていると思います」

——特に粘り強さという部分で、過去3試合の成功体験が今日の結果につながった部分はあるかなと思うのですが、その点監督としてはいかがでしょうか?
「1-0でリードしながら押し込まれる展開になって、一番頭に描いていたことは、成功体験というよりも、開幕戦のセレッソ大阪戦で、自分たちの時間をたくさん作りながら、相手に間延びされてしまった状況の中でセットプレーからワンチャンスで決められて失点して負けてしまったことが思い浮かびました。その開幕戦の課題・反省を選手たちがどの程度解消できたか、それが見えたゲームだったんじゃないでしょうか。先ほども言いましたが、開幕戦にキャラはいなかったですし、もう少しコンパクトにするために必要なことはあります。また我々にとって勝利の確率が高いゲームをできたわけではないと思っていますから、今日の試合を経験したことによって、同じようなシチュエーションになったときに、勝利する確率を高められるか。その一方で勝利の確率を高めたからといって、勝てるかどうかは別の話ですが、今後も勝利の確率を高められるようなゲームができるようにしていきたいと思います」

——今日の札幌は3ボランチ気味の3バックではなく、トップ下を置いた3バックでしたが、中盤の争いという点で影響したことはありますか?
「システムありきではなく、前半はわれわれのほうがセカンドボールを拾う数は非常に多かったかなと単純に思います。ただもう少し攻撃の部分でボールを取ったあとに、攻撃に厚みを持つことや一つのパス、ボールの持ち出し方はさらに高めていかないといけません。前半のようなボールの取り方をできているのであれば、奪ったボールをもっと良い攻撃の形につなげられたのではないかと思っています」

——今日のピッチコンディションについて、それは今日特有のものですか? それともこのスタジアムの芝生の特徴なのでしょうか?
「乾燥した日は、今日のような形になることが多いです。普段のトレーニングは人工芝でやっていますので、同じ状況を作ることはできませんし、想定しているわけではありません。ですから後半の立ち上がりのように、ボールが芝生に食われて、ミスにつながる場面は出てきてしまいます。ミスはどこであっても最後はフィールドに11人いるので、ワンラインを突破されようとも、最後に高原が止めてくれたシーンのように、しっかりとやるべきことをやってくれていれば、簡単には失点しないと思っています。同じように、相手のミスを突いても簡単には点が入らないことも我々の現状ですし、もっと相手のミスを突けるように、やっていきたいと思います。ピッチ対策というよりも、プレーの一つひとつの精度を上げていく必要があると思っています」

 

■四方田 修平監督(札幌)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「アウェイにもかかわらずたくさんのサポーターの方々が来てくださった中、勝利という形で感謝の気持ちを伝えられずに申し訳ない気持ちです。まず前半に関してはサイドチェンジという狙いは良かったのですが、そこから突破するのか。もう一度やり直すか。その場面でミスがあって、ボールを奪ったあとの相手のボールの奪い返しでミスが起きて、流れとしてはうまくいかない、良くない流れでしたが、相手の素晴らしいFKもあって先制されてしまいました。後半は流れを変えようと思い、2人の選手を交代させましたが、決して交代したヘイスと稲本(潤一)が悪かったという話ではなく、90分は恐らく続かないだろうから、動かないといけないということで、早めの交代をしました。後半は点を返すという意識が出て、たくさんチャンスも作れましたが、最後の場面で決め切れずに、得点できなかったことでカウンターから失点をしてしまいましたが、もう終わったことなので、切り替えて次の試合に向けてしっかりと準備をしていきたいと思います」

——2種登録の菅大輝選手が途中出場でトップデビューを果たしました。プレーの評価はいかがでしょうか?
「彼は非常にシュート力があるので、決定力や左足でのシュートやクロスボールを期待していたのと、フィジカルも強く走れる選手なので、終盤に周りが消耗してきた時間帯に彼が動いてそこをカバーしながら攻め続けたいという意図があって起用した。短い出場時間だけれども、よくやってくれたと思っている」

——後半に良くなった部分は具体的にどのあたりでしょうか?
「サイドを変えながら崩すという意図は変わらなかったが、そのあとの突破に移るところでの変なミスが減ったこと、そしてサイドを変えることだけではなく、途中出場の内村(圭宏)を筆頭に背後の意識を持ってうまく突いてくれたと思う。こぼれ球への意識も良くなって後半はチャンスを作れたと思う」

——前節の3ボランチ気味の布陣から、トップ下を置いた布陣にした意図を教えてください。
「町田さんはサイドハーフが中央に入ってくるし、ボランチも一人上がって、中央に5人がいる状況が多いことと、そのパスの出どころであるリ・ハンジェ選手のところ、その両方を埋めた中でつぶしたいという意図で、ダブルボランチとトップ下を置くフォーメーションで戦った」

——町田と対戦して、戦いにくかった部分やここは強みだなと感じたことは何でしょうか?
「町田がボールを奪われたあとの切り替えが速いこと、そこからボールを奪い返してカウンターをしかけてくる。セカンドボールの反応も良く、運動量も多く良いチームだと思う」

 

■MF 17 稲本 潤一(札幌)
チームとして少し受け身になった
「(久々の先発出場になりました)僕もそうだし、チームとして少し受け身になった印象。横横への意識ばかりだけでなく、縦に入れたりする必要があったし、横へ展開しながら相手の守備に引っかかる場面が前半は多かった。後半は修正できたと思うけど、前半から裏のスペースを狙って相手のラインを下げさせる作業が必要だったかなと思う。(横への展開が多くなったのは、サイドチェンジで相手の手薄なサイドを突いていくという意識が強かったことが影響したのですか?)相手のサイドが空いているという意識がすごく強かったし、サイドチェンジをしたあとにうまく攻め切れなかった。アイディアも足りなかったし、相手の前からのプレッシャーもすごかった。そこをどうかいくぐるか。裏へロングボールを入れることも一つの作戦だし、サイドチェンジをしたあとに選手同士の距離も遠かった。あれだけプレッシャーが速いと、一つのミスがチーム全体のミスにつながっていくし、そのあたりの質やチームとしての攻め方はもっと改善していかないといけない。個人的にはあまりコンディションが良くなかったので、個人としては反省することが多い。もっとチームに貢献できるようなプレーをしていきたい」

 

■DF 38 進藤 亮佑(札幌)
悲観することなく戦えていた
「(途中交代について)ジャンプをしたときにふくらはぎを痛めた。できれば続けたかったけど、動けない選手がピッチにいても意味がないので交代した。今までは全試合ほぼ足をつりかけた中で試合をしてきたけど、足がつりかけているときは、ヘディングのシーンでジャンプをせずに体を当てる感じだったんだけど、その直前のプレーで負けていて、次は負けられないとジャンプをしたときに痛めてしまった。(事前のゲームプランとそれをどれほど表現できたと思いますか?)相手の守り方は分かっていて、サイドチェンジをうまく使いながら戦えていた。それは問題がなかったと思うけど、セットプレーで先に点を取られてしまった。ただセットプレーからの失点だったのでそれほど崩されたわけではないし、悲観することなく戦えていた。でも個人としては判断ミスをしてピンチを迎えることもあったので、個人的なプレーでは足がつっていなくて、交代していても仕方がないプレーの内容だった。(サイドチェンジが出ても、最後の一線は割らせない町田の守備の堅さのようなものはあったのでしょうか?)個人のプレーだったらウチが上かもしれないけど、チームとしてはセカンドボールを拾えなかったし、そういうところのしぶとさは相手の個人個人の意識はあったし、すごくやりづらさはあった。ウチはイージーなミスがあり過ぎた。相手の守り方を見て、ボールを大事にすることを前提としながら臨機応変に攻めていくことは続けていきたい。すべてやられたわけではないし、今日ぐらいは反省して、次のホームではアグレッシブに戦えれば勝利は近付くと思う。どちらかと言えばチームのパフォーマンスは良くなかったと思うけど、次の試合がまだある。ホームで戦える次の試合はアグレッシブにプレーをして、セカンドボールを拾い続けていくことを今日はできなかったけど、次はそういうことを意識してやっていきたい」

 

■FW 38 菅 大輝(札幌)
ユース年代の選手でもプロでやっていける姿を見せていきたい
「(Jリーグデビューを果たした率直な感想は?)高校年代とプレースピードが違ったし、判断の速さが必要であることは今日分かった。(遠征メンバーに選ばれた感想は?)全然練習でもそんなにアピールできていなかったので、(遠征メンバーに)選ばれたときは信じられないなという気持ちだった。(監督からはどういう指示が出ましたか?)クロスボールが入ったときに中に入っていくように言われていた。緊張して腹痛もあったり……。初めてこういう経験をできて良かった。自分の特徴である左足を出したかったし、何回か出す場面はあった。そこをしっかりできなかったことは課題。(何回かシュートシーンがありましたが、やりたいことはできましたか?)やれた場面もあればやれなかった場面もあるので改善していきたい。デビュー戦は勝利が欲しかった。サポーターに自分の左足がすごいと分かってほしいので、その左足を前面に出して、ユース年代でもプロでやっていける姿を見せていきたい。(多くのサポーターの声援を受けて)ユースでもサポーターは応援に来てくれるけど、トップはそれ以上にすごかったので、雰囲気に呑まれそうになった。(次節以降の意気込みを)自分はFWなので途中出場でチームの流れを変える存在になりたい。得点という結果を出していきたい」

 

■MF 31 堀米 悠斗(札幌)
運動量の部分で町田に負けてしまった
「スライドは相手のほうが速くて、サイドを変えられたとしても孤立してしまうイメージだった。ウチさん(内村)が裏に流れて起点を作ってもらって、相手を裏へ引っ張れるようになった。それでジュリ(ジュリーニョ)が相手の手前でターンをするシーンを作った。でも運動量の部分で町田に負けてしまった。失点の場面は直接FKだったり、最後は前がかりになった中でのカウンターの場面だったけど、そこ(局面)で負けてしまったことが敗因の一つ。後半は戦い方を大きく変えたわけではなく、サイドチェンジが有効だと意識してやっていた」

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