「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】J2第13節・町田vs北九州/町田・相馬直樹監督、北九州・柱谷幸一監督、本山雅志選手、前田和哉選手コメント(5,238文字)

■明治安田生命J2リーグ第13節・5月15日(日)16:00キックオフ
町田市立陸上競技場/4,722人
FC町田ゼルビア 0-1 ギラヴァンツ北九州
【得点者】北九州/56分 原一樹

 

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「今日はホームに戻ってきて、5,000人に迫ろうというたくさんのサポーターの方々に来ていただき、われわれをサポートする雰囲気を作っていただきました。まずは本当にありがとうございましたとお伝えしたいですが、一緒に喜ぶことができませんでした。それでも、われわれに大きなエネルギーをいただけたと思っていますので、これに懲りずに今後も一緒に戦ってくだされば幸いです。試合のほうは、何と言っていいのか分かりませんが、われわれは今、チャレンジャーという立場として、自分たちが持っているものを全部ぶつけますという姿勢で戦っていこうと、選手たちに話してピッチへと送り出しています。そういった意味では今日の選手たちは出せるものをすべて出してくれたんじゃないかと思っています。そのことに対しては感謝をしたいと思っています。ただ、みなさんがご覧になったとおり、1点を失い、勝ち点を取ることができませんでした。今日に関しては選手たちがよく戦ってくれたと思っていますが、今日に至るまでの間で、どこか甘いところがなかったかなと振り返っていますし、それは僕自身に対してもどこか甘い部分があったんじゃないかと思っているところです。トレーニング中における1本のパス、1本のシュート、1本のスプリント、一つのチェイス、一つの競り合い、それらを心を込めてできたのかどうか。今日に関しては頑張ってくれたと思っていますが、一つひとつのプレーに心を込めるという積み重ねがあることで、ボールが良いほうに転がってくるか、転がってこないか決まるものですし、少し今週の準備では、それらが足りなかったのかもしれない、という話を選手たちにしました。チャンスはあったのですが、ゴール前での迫力が足りずに、その中でポストに当たり点を取り切れず、あと少しのところで結果が分かれる形になりましたが、(準備期間でのトレーニングにおける)姿勢の部分を見直しなさいといけないよ、と言われた試合だと感じています。次節の松本戦に向けて、選手たちと1週間しっかりと向き合って、準備をしていきたいと思います」

ーー契約上の都合で出られなかった東京V戦を除いた試合で先発出場をしていた畠中選手ではなく、ヨン・ア・ピン選手とキム・ソンギとのCBコンビを選んだ意図を教えてください。
「もちろん今週のパフォーマンスだけで決めたわけではなく、チームに与えるエネルギーを含めて、今日の二人(ヨン・ア・ピンとキム・ソンギ)で行くほうがいいかなという判断をしました。その結果、1点を失う形になりましたが、全体を通してはよく守ってくれたと思っています」

ーー北九州戦に向けてのトレーニングでは基本的な戦術の部分を確認したとのお話でしたが、今日の試合では取り組んできたことをどれだけ表現できたのでしょうか?
「前半は相手の徹底したワンタッチで背後を突くプレーによって、最終ラインを破られそうになるシーンや実際に破られるシーンもありました。徹底してきた相手に対して、どこまでできるかという意味で言えば、もう少し必要だったことはありますが、その場面で失点をしなかったということは最後の場面を守り切ったということだと思います。攻撃面ではチャンス自体は作れていたと思いますし、きちんと前へボールを運ぶ、前へ出て行くことはできていました。ただ先ほども申しましたとおり、点を取ることの迫力と言いますか、ゴール前で点を取り切るという意思の強さを、特に前半は感じなかったかなと思います。前半は相手もそこまで下がらずに戦ってきましたから、今日は前半のほうが点を取るチャンスが大きかったですし、前半で点を取れなかったことがミスからアンラッキーな形での失点につながり、リカバリーできなかったゲームになってしまいました。チャンスが来たときにこの1本を決めるという意思が必要で、まだ90分ある、まだ80分ある、次もチャンスが来るだろうではなく、1本を決めるという意思の強さは、ゲームの中だけで考えるべきことではなく、それはトレーニングのときから必要なことです。今後もトレーニングの中で一つひとつのプレーに対して心を込められるようにしていきたいと思っています」

ーー開幕戦以来、勝ち点を取れなかった試合となりました。今後はどのように立て直していきますか?
「このあともそうですし、明日もそうですが、しっかりと顔を上げて、次の試合に向けての準備をしていきたいと思います。選手たちは今日できることを出してくれたと思いますが、1週間の準備期間の中で、北九州に勝つために足りないことがあったのかなとも思います。われわれは22番目のチームですから、負けがないことのほうが不思議なことです。いまからがスタートになりますが、そのちょっとの部分を突き詰められるように、選手たちと前を向いて、今日出し切ったことに関しては自信を持ち、少しでも勝つチャンスを増やせるように、日々のトレーニングで詰き詰めていきたいと思います」

 

■柱谷 幸一監督(北九州)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「まずサポーターの方に感謝したいと思います。これまでは今日のような展開で追い付かれることが非常に多かったので、サポーターの方々のためにも勝つことができて本当に良かったと思います。また次、ゲームが続くのでしっかりと良い準備をして次の試合に向かっていきたいです」

ーー町田に対しての狙いは?
「コンパクトにラインを押し上げてくるので、背後のスペースを使いたいと思っていた。それはうまく使えたと思う。相手の高い位置からのプレッシングに引っかからずに逃げ切れれば、背後には大きなスペースがあるので、そこを突けばチャンスを作れるとは思っていた」

ーー今日のゲームはより一層球際の激しさを感じたのですが、いかがですか?
「今日はお互いにシステムが[4-4-2]同士なので、ミラーゲームになると思っていました。そのために目の前の相手に勝とうということで対人のトレーニングを多く取り入れて、球際で強く行けるように働きかけてきましたし、そういった準備をしてきたので、その意識は高かったと思います。ただファウルをしないと止められない、ファウルも多かったし、警告ももらった。1対1の弱さが警告の数に表れていると思います。やはりファウルをもらわずに相手を止める守備力はもっと付けていかないといけないと思っています」

ーー今日はチーム全体が非常にコンパクトだなと感じたのですが、その狙いは?
「今週は球際の練習をしてきたので、いつもより10メートルラインを高くして、高い位置からボールを奪って攻撃をしかけようと、ラインを高くしてコンパクトに戦おうと考えていた。そういうトレーニングをして、この試合を迎えた。何度か良い形でボールも奪えていたし、そういう意味では選手たちはこの1週間で良い準備をやってくれたと思う」

ーー開幕戦以来の勝利となりました。久しぶりの勝利の味はいかがですか?
「5試合アディショナルタイムで失点をして、勝ち点1を失ったり、勝ち点2を失ったりしてきたが、そういうゲームを続けてきた中で、勝つことができてうれしい。悔しい思いをかなり多くの試合で経験してきたので、サポーターの皆さんとともに勝つことができて良かった。今日の勝利は本当にうれしい」

ーー決勝点を奪った原一樹選手について。監督の原選手への評価はいかがですか?
「カズキはキャンプでけがをして開幕戦にも出られない状態で、苦しいリハビリをやりながら、悔しい思いで過ごしてきたと思う。そこから試合に出始めて点を取るということは、ストライカーの力はあるんだなと思う。チームが勝てない時期でも、天真爛漫の性格なので、どんなときでも明るく前向きにやってくれる。チームにとって非常に大きな存在だと思う」

ーー今日の勝利を受けて、今後はどのように戦っていきますか?
「勝てていない時期もそんなに戦い方を大きく変えてはいない。細かい部分は変えたけれども、ベースは保ちながら、ブレずに自分たちのスタイルを保って、相手や自分たちの調子を調整しながら、チーム力をビルドアップしていくことが大事。いろいろ変えると、選手に迷いが生じるし、逆にうまくいかない部分が増えていくので、しっかりとベースを作りながら今後もやっていきたい」

 

■MF 43 本山 雅志(北九州)
練習でやってきたことを出せた
「やるべきことをブレずにやり続けることが大事だし、それはみんなが分かっていた。何が原因で引き分けているかというのも(映像を)見て、一人ひとりが理解して、1週間を過ごした。最後にやられそうになった場面があったけれども、それは減らしていけば良い。先制できていることは大きいし、2-0にしてディフェンスをラクにすることも大事。みんなでそういう場面を作っていきたい。(水戸戦の同点劇はショッキングだったのでは?)点を取られたあと、すぐに試合が終わりましたからね。僕たちが勝ってもおかしくない試合を続けてきたし、今日勝ったことで次の試合がすごく大事になってくる。同じようなパフォーマンス、今日以上のパフォーマンスも出していかないといけない。(今まで守り切れなかった試合と、守り切れた試合との違いは?)違いはみんなが最後まで集中してやる、声を掛け合ってやるということだけ。ただ、最後に何本か危ない場面をいつもどおり作られてしまった。根本的にはそこを改善していかないといけない。そこは体を当てる、競り合いやボールに向かう意識で解消できると思う。それはみんなで話し合っていきたい。

(堅守の町田を崩すイメージは?)まずはきちんとボールを動かすこと。最初は相手の背後に蹴る形が多かったけど、(町田の)CBが高い位置を取るので、その裏を前半もあったように横からの縦へのパスで抜く形を今週は練習した。そういう場面は出せた。ボールをキープしたときにもう少し動かして、僕はドリブルを使って、(相手を)一人くらいはがすことは考えてやった。個人的にはもう少しボールを動かして、キープして周りを助けられれば良かったとは思う。次の試合が大事になってくる。勝ち点は伸びていないけど、引き分けが多いので、それをぜひ勝ちに持ってくるように前は点を取り続けること。後ろは守り切ること。1失点は仕方がないので、2点を取れるようにしたい。無失点で抑えればディフェンスの勝利なので、今日はよく頑張ってくれたと思う」

 

■DF 5 前田 和哉(北九州)
1点を取ったら勝てる試合を地道に増やしていく
「決起集会をやって、一人ひとりがやるべきことをやろうと話した。小さい練習でもポゼッション練習やパス回しでも笛が鳴るまで集中を切らさずにやること。そういうことをやらないと試合に出てしまう。今週は少しずつだけど、声を出してハードワークをするようになってきた。それを続けていきたい。それが今回の試合で少し出た。意識と行動を変えることで大きく試合でのプレーも変わってくる。そこから頑張っていこうと決起集会をやって結果に持ってこられた。ポストに当たって入らない場面も気持ちでそういう場面に持って行ったと思う。今日の勝利を巻き返しの第一歩にしたい。今日だけは喜んでいいけど、僕たちは喜んでいる暇はない。これを続けないといけない。後半の残り20分はキツかったし、ボールをキープするか、相手をいなすことで守備をする時間も減るし、失点の可能性も減る。そういうことにこだわっていきたい。

モトさん(本山雅志)や選手会の風間(宏希)を中心に決起集会は焼肉に行きました。隣の席も決起集会をやっていたようで、うるさくて身の入った会にはならなかったけど(苦笑)、言いたいことがある選手は発言をして、選手全員で一緒に食べることで結束を深めた。でもそういうことがなくても、チームが一つになれば良い。でも良いきっかけにはなったと思う。これ以上負けたらマズイという危機感が漂っていた。これを糧に進んでいくしかない。まだまだ順位は下だし、上のチームなので、チャレンジャーの気持ちでやらないと勝てない。自信にもなる。町田は自信を持って戦っていると対戦しても感じていた。内容はどっちに転がってもおかしくない試合だった。それを勝ちに持ってこられたことは大きい。(次は京都戦です)厳しい相手だし、この勢いが続くか分からないけど、改善すべきことは点を取ったあとにボールを奪われないようにいかにボールを回していくか。攻撃陣が1点を取ってくれたら勝てる試合を地道に増やしていくしかない」

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