「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】J2第14節・松本vs町田/松本・反町康治監督、高崎寛之選手、田中隼磨選手、飯田真輝選手、飯尾竜太朗選手、町田・相馬直樹監督コメント(4,606文字)

■明治安田生命J2リーグ第14節・5月22日(日)13:00キックオフ
松本平広域公園総合球技場/12,462人
松本山雅FC 1-0 FC町田ゼルビア
【得点者】松本/60分 飯田真輝

 

■反町 康治監督(松本)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「今日もたくさんの方に集まっていただき感謝しています。観衆が多いから、こうやってノドが枯れるわけであって(苦笑)。ボールはサイドチェンジしても声はサイドに届かなくて苦労しました。思いどおりの試合をしてくる町田に対して、われわれとしては思いどおりのサッカーをしつつも、思いどおりのサッカーをさせないという二つを前提に、この1週間準備してきた。そうした意味で成果は出たかなと思う。ただ全体的に体が重くて、それに伴ってボールコントロールも良くなく、つまらないミスの多い試合だったかなと思う。ただ、そういう試合でも勝つことが重要。最低限の結果をしっかりと出せたことはうれしく思っている。これだけ暑い中でも後半ロスタイムまで相手GKにプレッシャーに行けるだけの体力は持っているし、そのこともうれしい。とはいえ連勝しないと意味がないので、次の試合は大事になってくると思う」

ーー3試合連続無失点となりましたが、守備面での評価はいかがですか?
「鈴木孝司が決めたか、飯田が決めたかという試合でしたね。まだまだ、あそこでボールウォッチをして背中を取られる点は反省点だと思う。ただ、ピンチはあれくらいだったし、ペナルティーエリアで決定的というのは、ほとんどなかった。それだけ帰陣も速かったし、町田さんのラインコントロールに負けじとコンパクトな状況を作れたので、向こうもなかなか思いどおりの展開にはならなかったですよね。このあたりはシーズン序盤に比べると改善されているし、選手たちも手ごたえをつかんでいるので、より平均点を上げていきたい。やはり失点の少ないチームが上位に行くことは間違いないので、ゼロの試合を増やしていければと思う」

ーー前半はやや苦しい展開を余儀なくされたが?
「前半だけに限ると、相手のコンパクトなところでボールをもらうことを恐がってしまった。サッカーはミスのスポーツだし、ハーフタイムには『ミスを恐れるな。ボールをもらうこと、触ること、受けることを恐れては何も始まらない』と言った。思ったよりも相手が近付いていないにもかかわらずプレッシャーになった部分もあって、ボールの落ち着きどころがなかった。イシ(石原)は1回良いチャンスを作ったが、そこで収まらないと次のアクションを起こせない。そういうところは反省点」

ーー長いボールが多かったと思いますが……。
「今週も練習でやりましたが、狭いエリアの中で自由にボールを動かせるのであれば、そうやりますよ。ただバルセロナもレアル・マドリーだって、最終的には長短のパスを使いながら薄いところを攻めるんですよ。長いボールを使うことで向こうの最終ラインは下がり、重心が後ろに行くと。今度はラインの前にスペースが開くわけだから。攻撃の順番を間違えずにやると。それは当たり前のことで、今日は長いボールになったと。例えば讃岐に長いボールを使っても意味がないですから。そこは優位性を持たないといけないし、われわれには高崎がいる。彼はスペースランができて、ヘディングも強く、ボールキープもできる。山本はその反対だけど。それを武器にしなければ意味がないわけだから」

ーー飯尾竜太朗選手の投入について。
「石原は悪くなかったと思うが、この暑さの中で少し肉体的に疲れもあったので、ここは一つ勝負しようと。向こうは6人で守って4人で攻めるチームなので、その4のところに戻る力がないと厳しいということですよね」

ーー上位の相手に勝利したことについて。
「われわれのいまの立場からすると、目の上のタンコブと勝負しないといけないですから。とはいえ、J2はどのチームもレベルは一緒。毎試合良い準備をして、連勝を目指していく。その意味で次の試合は本当に大事になるでしょうね」

 

■FW 29 高崎 寛之(松本)
内容はどうあれ、上位に勝てたことは良かった
「町田さんはコンパクトに戦ってくるので、サイドチェンジの練習をしてきて、意識し過ぎて、サイドチェンジのミスや無理にサイドを変えようとすることで前半の流れも良くなかった。後半はもっと真ん中を使って、自分たちのサッカーをしようとリズムが出てきた。内容はどうあれ、上位に勝てたことはチームにとって良かったと思う。これからはナイトゲームもあるし、運動量の質も高めないといけない。今日も自分のチャンスで決められなかったので、決められるともっと優位に試合を進められる。思ったよりも向こうのディフェンスラインは高い位置まで来ずに前半は深かったけど、もっとディフェンスラインの前でタメを作ったりとか、そういう動きが必要で、裏を取る場面や足元で攻める場面を使い分けながら後半はやれたと思う。押し込めば押し込むほど、ラインは下がる。相手にとって苦し紛れのサッカーにさせたことも運動量などで向こうのディフェンスを下げられた部分があったからだと思う」

 

■MF 3 田中 隼磨(松本)
とにかく勝つことが重要
「決して内容は良くなったという話もあるけど、僕はとにかく勝つことが重要だと思っている。今日はみんながロッカールームで勝っても反省していたし、勝ちながら反省をすることが大事。勝って反省して修正していくことが一番良い。そういったことは前向きにやっていきたい。結果的に勝てたけど、ハーフタイムで前半のことを修正できたとは言えないし、セットプレーの展開から点を取れたけど、流れの中ではなかなかチャンスを作れなかった。それは課題。ただ守備は安定しているし、それは全員が守備をしているから、点を取れないことも全員のせいなので、どっちが悪いとは言えないけど、こうやって1-0で勝つことは大事だと思う。リーグ戦は残り3分の2試合、まだまだ試合があるという言い方もできるけど、あっと言う間という表現もできる。少しでも勝ち点を重ねられるときに取らないと終盤で痛い目にあう。しっかりと勝ち点を積み重ねていきたい。(町田とは)勝ち点5差があって、縮めることができた。上のチームには絶対に負けられないという気持ちがある」

 

■DF 4 飯田 真輝(松本)
勝ててホッとしている
「まずは勝ててホッとしている。得点場面については、ある程度がスカウティングできていて、狙っているところにボールが来て、狙ったところを突くことができた。試合内容については今日は自分たちのサッカーがうまくいかず、前半からロングボールに頼ってしまった。ただハーフタイムに反町(康治)監督から『最後まで足を止めるな』、『切り替えを速くしてチャンスを生かしていこう』と言われ、セットプレーで決着をつけられたことも大きい。うまくいったところといかなかったことが両極端だったが、また自分たちのサッカーを見つめ直しながらやっていきたい」

 

■MF 17 飯尾 竜太朗(松本)
左サイドから相手を揺さぶれるようにと思って試合に入った
「前半は良い流れではなかったので、左サイドから相手を揺さぶれるようにと思って試合に入った。個人的には得点を入れたかったので、ゴールへの執着心などをもっと出していきたかった。点を決められたら乗っていけると思うし、自分を表現する上でもゴールという結果は必要なので」

 

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「まずは町田からたくさんのサポーターの方々に来ていただきました。残念ながら一緒に喜びを分かち合えなかったですが、素晴らしい松本さんを相手に、この素晴らしいアルウィンで良い戦いをする環境を整えてくれたことに感謝を申し上げたいと思います。ゲームのほうは一言で言うと、昨年J1で戦ってきた松本さんに対して、昨季はJ3で戦ってきた町田が立ち向かうというゲームでしたが、少し力の差を見せられたゲームになってしまったかなと思っています。前半、われわれは良いゲームの入りをして、松本さんとしては思ったような試合の入りではなかったのではないかと思うのですが、われわれが風下になった部分を含めて、後半は前半以上に縦の長いボールで深いところを取ってくる松本さんに対して、次第にブロックを下げられてしまい、セカンドボールを拾えないゲーム展開になってしまいました。

その中で実際に公式記録を見てくだされば分かると思いますが、われわれのファウルの数が多く、松本さんのほうがファウルは少ない展開となり、出足を含めて、前向きにプレーする時間は松本さんのほうが長かったと思います。そしてその中でよく耐えていたと思いますが、警戒していたセットプレーの流れから失点をしてしまいました。我慢強くそこを乗り越えていれば、後半の苦しい流れの中でも勝ち点1を持って帰ることが可能だったと思います。

失点の場面に関して言いますと、セットプレーの守備の部分で駆け引きをして、少しリスクを冒す守備をする中で失点をしてしまいました。この結果はそういった采配を振るった僕の責任だと思っていますし、戦ってくれた選手たちに申し訳ないと思うのですが、敗戦という結果になってしまいました。選手たちは最後まで、22番目のチャレンジャーとして、力を出し切ってくれたと思いますが、今日の段階ではそれを勝利に持って行く力が僕自身に足りなかったなと思いますし、実際にその力で負けたと思います。今日の結果によって、連敗となりましたが、選手たちがチームで戦う姿勢やチームで助け合う姿勢をたくさん見せてくれたゲームだと思っています。いまは勝利がない状況ですが、また次節に向けて、勝てるように準備をしていきたいと思います」

ーー前・後半を通して、前線でボールを持つ、攻撃に厚みを作ることが難しい展開でしたが、攻撃で厚みを作れなかった理由は?
「前半に関しては、それでも前向きにボールを持って行く形は作れたんじゃないでしょうか。ただボックス内に入り切る回数は少なかったと思います。普通に考えれば、松本さんに対してわれわれのほうが守備の時間が長くなるのは当然ですし、その中で良い形でうまくボールを運べるシーンを前半は作れていたと思います。そしてコンパクトなブロックも作れていたと思います。相手に長いボールを蹴られる展開になりましたが、後ろが我慢できる展開にはなっていたと思いますし、セカンドボールも拾える展開になっていたと思います。ただ前半だけではなく、運動量の部分で松本さんのほうが前に出て戻る、そして(前に出て戻って、さらに)前へ出て行くという回数で相手に上回られたと思います。われわれの選手に対して、相手の選手が3人、4人来るという回数が総じて松本さんのほうが多かったです。それによって、対応が遅れた中でファウル気味のプレーが増えてしまいました。相手は2人、3人がわれわれの選手を囲む中で、ボールを奪っていくシーンが多かったと思います。どこでポイントを作るかという意味では、もちろんもっと相手の背後で作りたいですが、その前段としてわれわれとしてもボールの近くに人が入ってこられるような状況にならないと、あれだけボールの近くにいる(人数が多い)相手に対しては、そんな展開になっても仕方がないのかなとは思っています」

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