「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】J2第31節・町田vs横浜FC/町田・相馬直樹監督、横浜FC・中田仁司監督、小野瀬康介選手、佐藤謙介選手(4,059文字)

■明治安田生命J2リーグ第31節・9月11日(日)18:00キックオフ
町田市立陸上競技場/5,101人
FC町田ゼルビア 1-1 横浜FC
【得点者】町田/38分 中村祐也(PK) 横浜FC/75分 小野瀬康介

 

■相馬 直樹監督(町田)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「まずは雨の予報が出るような天候でしたが、われわれの応援のためにたくさんの方々に集まっていただきました。まずはそのことに感謝を申し上げたいと思います。われわれが天皇杯でつまずいたことにより、予定していなかった中断期間が入るような形になりましたが、久しぶりのホームでの勝利を目指して、インターバルの間にわれわれの原点とも言うべき、アグレシブなサッカーを取り戻そうという準備をここまでしてきました。

週中には未消化分の試合で横浜FC戦が勝ったことにより、順位でも一つ上に行かれることになりましたが、ここ最近、あまり負けていない横浜FCさんを迎えるにあたって、われわれはチャレンジャーとして試合に臨みました。アグレッシブなサッカーを見せるというわれわれの姿は、ゲームを通して見せることはできたと思いますが、ドローという結果となりました。

アグレッブに戦った中で、前半は良い形を作れていましたが、後半に関してはファーストボールに対してもそうですし、セカンドボールも含めて、横浜FCさんがギアを上げてきた中で、マイボールを前に運ぶことがなかなかできない苦しい展開になってしまいました。その過程で、一本抜け出される形で追い付かれてしまう流れだったと思っています。

全体としてボールを奪いに行くことはできていましたし、後半に関しては攻撃の場面で1本目のパスがなかなかつながらないことで、攻撃の時間を作れませんでしたが、前半はまずボールを前に運ぶ形は出せていたと思っています。あとはできていた時間帯をどれほど長くできるようになるか、ということになりますが、判断の部分を含めたプレー精度を見直して改善していきたいと思います。

今日の試合が終わったことで、われわれにとっては残り11試合になりましたが、成長していく11試合にできるように、まずは来週に向けて、選手たちとしっかりと準備をしていきたいと思います」

——加入後、即先発で起用した仲川選手について、何を期待して彼を先発で起用したのでしょうか?
「彼の持っているクイックネスやボールコントロール、そしてスピードに乗った中でボールを扱える部分に関しては、特に前半は数多く彼の持ち味が生きたシーンは作れていたと思います。

ただ前半もそうですが、後半はやはり、われわれの出し手にプレッシャーがかかっていたと感じていたこともあって、仲川だけではなく、中島に関してもそうですが、良い形で彼らにボールの入る回数が減ってしまいました。その一方で特に前半は(仲川が)背後を抜け出す形を作れても、後ろがボールを配給し切れない場面がありました。

ただやはり、それはチームの中で彼の持ち味を共有できていない部分が原因でもあると思います。とはいえ、パスを受ける、パスを出す、裏へ抜け出すという回数も、今後はもっと増えていくのではないかと期待しています」

——さまざまな可能性がある中で、先発でカルフィン・ヨン・ア・ピン選手を最終ラインに起用した狙いを教えてください。
それだけではないですが、ヘビー級と言いますか、相手の大久保選手とイバ選手が2枚前線に並ぶ可能性がある中で、キャラ(ヨン・ア・ピン)がフィジカルコンタクトに強いので、起用した部分もありました。また、トレーニングマッチやトレーニングを含めた中で、キャラのエネルギーが全面に出てきていたことも加味して上で、先発で起用しました」

 

■中田 仁司監督(横浜FC)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「われわれとしては勝ち点3が欲しいという思いで、このスタジアムまでやってきました。ドローという結果に終わり、われわれも上の順位には行けませんでしたが、順位の近い相手である町田さんにも勝ち点3を与えることはありませんでした。これでまた次からのゲームに望みを託そうという思いでいます。

内容としては町田さんのコンパクトなプレスをかいくぐろうという狙いで、シンプルに裏を狙うときは狙う、サイドに散らすときは散らそうと、明確な狙いを持って試合に臨みましたが、相手のプレスが速いという感覚を持ったことで、プレーの判断が微妙にズレて、前半はなかなかうまくいきませんでした。

ハーフタイムにはもう一度同じことを徹底しようと選手たちに話して、後半を迎えました。その中でかなりサイドに振れるようになり、最後の15分ほどは足が止まったので、選手交代をしながら、裏とサイドを突いてゴールを狙いに行きました。結果的にクロスボールの質が良くなく、ゴールにはつながりませんでした。サイドからのクロスボールは質が悪く、点を取れるボールではなかったですし、クロスボールを上げる選手に対しては、やはり中で合わせるほうが飛び込めるような状態のボールを入れられるようになってほしいと思っています。これはトレーニングでも言い続けてきていることなのですが、なかなかうまくいきませんでした。

終盤に逆転まで持ち込みたかったのですが、連戦の最中でもありますし、われわれとしては悔しいですが、今日のゲームに関しては引き分けでも仕方がないと思っています」

——途中出場の小野瀬選手にはどんな指示を出したのですか?
「ゴールを決めるための指示を出しました。(同じ右サイドハーフの)野崎選手は守備で頑張れるけど、攻撃では少しリズムが入っていなかったし、われわれもヨン・ア・ピン選手のサイドを突きたかったので、小野瀬選手がドリブルで突っ込んでいくことやボールをキープしてシュートまで持ち込み、点を取ることが仕事だと伝えた。狙った攻撃の形の中でミスをするぶんには構わないと。バックパスをして絶対に弱気になるなと話して、送り出しました。よく指示を果たしてくれたと思う」

——良いクロスボールが入らなかったというお話でしたが、大久保選手が入ってからはなかなかクロスボールが入らなかった印象です。監督としてはいかがでしょうか?
「右サイドでは野崎選手にもう少しクロスボールを上げてほしかったが、先ほど話したとおり、攻撃でリズムに乗り切れていなかった影響があったと思うし、守備に回されたこともその原因になったと思う。終盤に関しては、そこは小野瀬に期待して、クロスを上げるか、自分でしかけるようにと指示を出していた。

大久保選手を入れると、どうしてもクロスボールへの意識が強くなるが、相手はコンパクトな陣形を敷いてくるので、大久保にも裏を狙うように指示は出していた。左の永田が良いクロスを上げてくれたけど、中で合わせる選手が飛び込むようなボールでないと、いくら大久保選手がヘディングに強いと言っても、どの世界でもゴールに入れることは難しいと思う。それは次なる改善点になると思う。単調にクロスボールを上げ過ぎることがないように、相手がコンパクトにしてくる中で隙間を作りたかったので、足元へのボールも要求していました」

——相手のドリブルなどでかき回されたことでかなり守備にエネルギーを使ったなという印象なのですが、監督の視点ではいかがでしょうか?
「特に前半はそうですね。一番はこぼれ球を拾えなかった。相手はコンパクトフィールドを敷いてくるので、セカンドボールは拾いやすい。普段どおりならば、同じようにコンパクトフィールドにしないといけないのだが、隙間を作ってしまった。ここはあまり言いたくないのですが、体を置く位置を修正したら、後半は逆にセカンドボールを拾えるようになって、サイドを使えるようになってきました。選手が途中で気付かなくてはいけないが、それは今後(選手たち自身でできるように)段階を踏んでいきたいと思う」

 

■MF 19 小野瀬 康介(横浜FC)
同点ゴールはチームとして取れたゴール
「攻撃の部分で、ボールを持ったら勝負することと、前で起点になるようにという指示を受けて入った。相手がすごくコンパクトになるので、サイドにボールが入ればフリーになれるし、サイドチェンジからの展開もずっと狙っていた。そうスカウティングで言われていたし、練習でもやっていた形だった。ゴールの場面はボールも良くて、最後は珍しく冷静になることができたので(笑)、入って良かった。SBの裏は狙っていた。(冷静になれた要因は?)涼しかったからですかね。(7日に開催された延期分のJ2第9節の試合会場である)熊本はだいぶ暑かったので、今日は全然疲れなかった。

(ここ野津田では2試合で3ゴール。相性の良さはありますか?)考えたことはないですけど、そうなりますね。サイドチェンジからの展開は前半もそれでノザさん(野崎)が惜しいチャンスも作っていたので、入ったら狙えるなと確信していた。たまたま僕が点を取りましたが、チームとして取れた点だと思う。次の京都戦はどんな形で出番が来るか分かりませんが、先発で出られるような準備はしてきているし、いまは普通にチーム状態が良いので、僕以外のノザさん(野崎)や野村さんに相手のSBを疲れさせてもらって、僕が出たあとにそこを狙っていきたい。ここ何試合か途中で使ってもらって、コンディションはゲームでしか戻せない。次第にコンディションは良くなっている。まだ90分出ていないから、あとはそうなったときにどうなるかだと思う。

試合の展開は引き分けに持っていけたことは良かったけど、前半も決定機はあったし、チャンスは決めないと、PKだけど、相手にチャンスを与えることになってしまう」

 

■MF 8 佐藤 謙介(横浜FC)
次の京都との直接対決に勝ちたい
「2点目を取れなかったけど、負けずに試合を終われたことは勝ち点1がプラスになるし、次は京都との直接対決だからしっかりと勝ちたいと思う。次にまた引き分けになったら(今日の引き分けの)意味がないので、次は勝ち点3を取れるように頑張っていきたい」

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