「ゼルビアTimes」郡司聡

【コラム】MF 6 リ・ハンジェ『節目の主将』

▼支えられてたどり着いた“300試合”

それは決して一人ではたどり着けなかった記録だった。

J2第32節、敵地でのツエーゲン金沢戦に先発出場を果たしたリ・ハンジェは、J3を含めたJリーグ通算出場数が300を数えた。2013年シーズン限りでFC岐阜を退団した折、現役を続けるかどうか悩んでいたこともあったという漢が積み重ねた記録。第34節・東京ヴェルディ戦のキックオフ前に、記念セレモニーを終えていた彼の口から出た言葉は、彼を支えてきた人たちへの感謝の念ばかりだった。

「いろいろな人に支えられてここまで来られたと思っています。苦しいとき、ツラいときもありましたが、周りの支えがあってこそ、いまの自分がいると思っています。僕は毎試合、そういう人たちに対して恩返しができるように、そういう気持ちでサッカーをしています」

もちろん、指折り数えて300試合出場をカウントダウンしてきたわけではなく、チームスタッフからその数字を知らされた。実際、選手に関わる数字は「自分が現役を辞めたあとになって振り返ること」として自認しており、目の前にやってくる公式戦に向けて、準備を重ねる中で一つひとつ積み重ねてきただけだった。「一つでも多くの試合に出て、町田のためにプレーをすること」。プレーする居場所を与えてくれるFC町田ゼルビアというクラブに感謝し、その恩返しをチームの勝利という形で、ゼルビアに関わる人たちに届けることが背番号6の切なる願いでもある。

「この数字を400、500試合まで増やしていけるように、1試合1試合を大事に積み重ねていきたい」

300試合出場は単なる“通過点”に過ぎない。町田が誇る偉大なるカピトン(主将)は、まだまだピッチに立ち続ける。

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