「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料掲載】J2第35節・清水vs町田/清水・小林伸二監督、竹内涼選手、チョン・テセ選手、町田・相馬直樹監督コメント(3,898文字)

■明治安田生命J2リーグ第35節・10月8日(土)15:00キックオフ
IAIスタジアム日本平/10,607人
清水エスパルス 2-0 FC町田ゼルビア
【得点者】清水/21分 大前元紀、90分 チョン・テセ(PK)

 

■小林 伸二監督(清水)
ーーまずは試合の総括をお願いします。
「攻守の切り替えが速く、テンポの良いサッカーができたと思います。その中で、良いタイミングで点が取れたことは良かったと思います。

ただ、直線的な動きがすごく多く、ボールを奪うと(相手ディフェンスラインの)裏が簡単に取れそうなので、ついつい簡単に裏へ蹴る形が多くなり、それがつながれば良い攻撃になるのですが、単調な攻撃になってしまったと思います。

もう少し幅を使いながら攻撃ができたり、3人目の動きを生かすような形で攻撃を作れれば、落ち着いた攻撃になったと思います。ただ動けているという事実が大きく、球際でも、攻守の切り替えでも負けていませんでした。そういった部分を大事にしながら、もう少し幅を使った攻撃やタメのある攻撃をできれば、もっと良かったと思います。

結果的には2-0ということで、久しぶりの無失点ゲームができたので良かったと思います。一戦一戦良い準備をして、次も厳しいゲームになると思いますが、その中でもしっかりと勝ち点を獲りに行きたいと思います」

——1点目のシーンは大前選手がバックパスの一瞬の隙を突いた形でした。チームとして狙っていたのでしょうか?
「(狙いとしては)バックパスというよりも、ボールを取られた後の切り替えを速くするという狙いは持っていました。その中で(相手の)あのような確認をしないでバックパスをしたことに対して、大前がボールを奪えたことはラッキーでした。

でも、あの1対1を決められるか、それが大きなことです。グラウンダーのシュートなのか。浮かせたシュートなのか。場合によっては、ゴールの上を越えてしまうこともあります。(大前選手は)ワンチャンスを決められるプレー精度を持っています。相手も攻守の切り替えを速くすることを狙っていましたから、“キワ”の戦いになる場面が多かったと思いますが、今日のダブルボランチが高い位置からプレッシャーをかけてくれたことが効果的に働いたと思います」

——本田選手がリーグ戦では久しぶりの先発でしたが、その評価は?
「(彼が入ることで)ボランチの守備が堅くなるので、チームの狙いどころでボールを奪えたことは良かったと思います。また彼がいることで、後方に下がったときにステイではなくて、今日は本田からのアプローチが高くて、(ディフェンス)ラインが引くのではなくて、ラインが上がるという意味でも良かったと思います。

あとは右サイドでボールロストが多かったので、左サイドでビルドアップしながら、真ん中にいる本田に展開して、中央の位置からクサビを前線に入れたり、左右にパスを展開する形を作るように指示を出していました。相手からのプレッシャーはあるけど、トライしていこうと伝えていました。

(これから厳しい戦いになるが)状況を見て、厳しい場面で本田の経験を発揮してくれることが大事です。その一方で、いろいろなことを考えるのもベテラン選手なので、それにより(責任などが)重たくなることもあるので、若い選手も融合させて戦っていくことも大事だと思っています」

——今回は大前選手が交代していたことでPKはチョン・テセ選手が蹴る形になりました。もし二人が出場していた場合は、誰がPKキッカーを務めることになるのでしょうか?
「どうしましょうかね。今回は結果的にテセが蹴ることになりましたが、テセと大前選手二人が点を取っていないといろいろ言われたり、考えたりするものですが、個人的にはそのぶん、ほかの選手が点を取れば良いと思っていますので。ほかの選手が点を取っている間に、ストライカーはいつしか点を取れるようになるものです。ストライカーが点を取れるときは取れますが、マークされると、ストライカーが取れなくなるぶん、ほかの選手が点を取るようになってきます。今回のPKキッカーに関しては、テセで良かったのかなと思います」

 

■MF 20 竹内 涼(清水)
町田は一度も引くことがなかった
「守備の面では真ん中を空けずにガッチリできたと思います。そんなに悩んでやっていなかったし、それぞれの良さを出すイメージで戦っていました。町田は前から全部来て、一度も引くことがなかったぐらい。前の選手は結構裏が空いているなと思っていただろうし、裏を突くボールが後ろから、サイドから、多かったと思うけど、それが一歩つながれば得点になる。でももう少し回す時間を増やせたと思う。ボールをもっと持てれば、取って取られての展開にならずに、自分たちのペースで消耗せずに、良い立ち位置のときにパワーを出す形を作れればと思っていた。そうやって崩すような展開を作りたかったです。ただ攻守の切り替えの速い展開に町田は持って行きたかっただろうから、仕方がない面はあったと思います」

 

■FW 9 チョン・テセ(清水)
プランどおりになって良かった
「2、3試合前の良い内容のゲームを求めるのではなく、僕たちはしたたかに戦って、少ないチャンスで先制点を決めて、試合を支配しようというプランでした。そのとおりになって良かったです。後半はGK植草さんをはじめ、体を張ってディフェンスが相手の攻撃を防いでくれました。なによりも逆転勝利の試合も多いですし、僕たちにはいま運が付いていると思います。昇格することやタイトルを獲るためには地力と運が必要です。その運が付かないと上に行けないです。ただやるべきこともやれていると思います。

PKはずっと練習していた形。熊本戦以降、毎日練習するようにしています。どんどん残り試合が少なくなる中で、勝ち点3を取っていきたいと思います。取りこぼす試合を減らして、全試合でできることを尽くしていきたいです。アイスタは常に雰囲気がよく、足もよく動くし、ここは力が湧きます」

 

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願い致します。
「このような雨が降ったり止んだりの天候でしたが、東京町田のほうからわれわれを後押ししていただくために、ここまで多くのファン・サポーターに来ていただきまして、うれしかったです。完全なアウェイではなく、町田のサポーターの声援が届きましたし、選手たちも心強かったのではないかと思います。その中で勝利の喜びを味わえなかったことは残念ですが、そういうサポートをしてくれたことに対して、ありがとうございますとお伝えさせてください。

試合のほうですが、選手たちはよく戦ってくれたと思っています。けが人もいろいろと出てきている中、選手たちは今できることをやってくれたのではないかと思っています。今回の試合も早い時間帯に失点をしましたが、札幌戦でも同様に立ち上がりでの失点を喫する試合がありました。それよりは、勇気を持った立ち上がりではあったと思いますが、最初の失点もミスから生まれました。その判断のミスに至るまでには、どこかで自信を持てずに、見えない部分によるものやスタジアムの雰囲気があのようなプレーにつながってしまったのかなと思います。

そういうミスが起きたということは、ピッチに送り出す私自身やコーチングスタッフを含めた課題でもありますので、その点ではもっと成長しないといけないと思っています。判断ミスによる早い時間帯での失点によって、難しいゲームになりましたが、その影響により、前半はリズムに乗り切れずにいました。後半はそれを修正して、前へ出ることを表現してくれましたが、点を取り切れませんでした。ゴールを決めるという部分は、今後選手たちと詰めていきたいと思います。

ただ選手たちの戦いぶりや勇気のある戦いを最後まで見せてくれたことに感謝しています。今年のリーグ戦7試合で自信を持って、前へ進むプレーを続けて、一つでも多くわれわれをサポートしてくれるファンとともに喜び合いたいと思います」

ーー試合前には自分たちが成長したきた部分をぶつけていきたいというお話でしたが、実際に戦ってみて、その成長できた部分をどこまで表現できたのか。この試合における収穫を聞かせてください。
「指導権を取ってゲームを支配することができたことだと思います。ただ、それはわれわれが先に失点してしまい、清水さんがリードを奪ったことも当然影響しているでしょうが、前半は攻撃で仕掛けることは、なかなかできずにいましたが、その一方で前半の守備はアグレッシブにできたと思います。

われわれが攻守両面において、自分たちから仕掛けるプレーを後半は特に攻撃でもできていたと思います。前回の対戦もリードされた中で、ボールを持たされるような展開になりましたが、今回もまさにアウェイのような戦い方を相手にされました。前回のスコアは1-2で、今回は0-2でしたが、今回の試合のほうがわれわれの狙いを共有して戦えたと思います。ただこれをどう結果につなげていくか。それが大事なことですので、選手たちと頑張っていきたいと思います」

ーー清水が裏を狙ってきていましたが、やらせていなかったと思います。その出方に対しては、どういった狙いを持っていましたか?
「自分たちがそういうプレーをしたいということをできていたと思います。特に前半の守備面に関して言えば、よくやってくれたと思っています。狙い通りのところはたくさんありました。ただ特に前半は守備から攻撃に移ったときにアタッキングサードで少し勇気がなかった部分が出てしまったと思います」

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