「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】【コラム】下川浩之社長や相馬直樹監督らが石阪丈一町田市長を表敬訪問。スタジアム改修など、2020年のJ1入りへ光が射し込む

▼表敬訪問後の歓談では野津田改修の話題に

東京都町田市でも初雪が観測された11月14日、クラブは下川浩之代表取締役社長以下、唐井直GM、相馬直樹監督、リ・ハンジェチーム主将といったクラブ首脳陣らが石阪丈一町田市長を表敬訪問し、2016シーズン終了の報告を行った。

表敬訪問の席上でまず挨拶に立った下川社長は、J2復帰初年度を6位で終えたことと、ホームゲームの総入場者数が10万人を超え(10万7,591人)、1試合平均観客動員でも5,000人を上回ったことを報告。下川社長からの報告を受けた石阪市長は、「6位の(ファジアーノ)岡山さんと並んで勝ち点65という数字は、大健闘の成績だと思います」とコメントするなど、ピッチ内外での“好成績”により、表敬訪問は終始和やかなムードで進行していった。

22日に行われた定例記者会見の場で、石阪市長は現在の町田市立陸上競技場をJ1仕様である1万5,000人収容規模のスタジアムに改修するプランを視野に入れていることを言及したため、表敬訪問後の歓談の席でも、スタジアム改修の話題が触れられたという。

スタジアム改修はJ1ライセンスを所有するための大きなハードルの一つ。現在の野津田はバックスタンドを拡張する建設上のベースが整っており、行政の支援・協力次第では、スタジアム問題が解決の方向に進む。そのため、唐井GMは「クラブの成長と町田市の支援がシンクロしているという光が見えて、具体化しつつあるという思いを強くしました」とコメント。2020年の“東京五輪イヤー”をJ1リーグで戦うというクラブの“青写真”実現に向けて、行政側の支援プランに対して感謝の意を示している。

町田市は現在、2019年に日本で開催されるラグビーW杯に向けて、参加国のキャンプ地誘致を進めている。とはいえ、町田市内には大規模な天然芝のグラウンドは野津田以外の選択肢に乏しく、野津田を活用しないとなれば、19年までのキャンプ誘致国のための環境整備は一つの課題となっている。ゼルビアにとっても、J1ライセンスを所有するためには、常時使用可能な天然芝の練習グラウンドを有する環境整備が必要な状況で、年間予算6億円規模の現在のクラブの体力では自前の環境整備は現実的ではない。

「J1仕様のスタジアムがあるということは天然芝グラウンドの練習場・クラブハウスも含まれたプロジェクトになりますので、それが進むと信じています」と唐井GM。スタジアム改修とともに、練習環境の整備にも行政の支援が必要であるため、今回のスタジアム改修に向けての機運はクラブ側にとって、朗報以外の何物でもない。

もちろん、ゼルビア側もJ1クラブに見合った体制作りに勤しむ所存だ。唐井GMは言う。

「クラブとして明るい将来を描けるように、現場は今季以上のパフォーマンスを発揮して、恩返しをすること。集客に関しては今季1試合平均5,000人を突破できましたが、まだキャパシティ(収容人員)の約半分でもあるため、1万人クラスの集客を繰り返すことで、1万5,000人、2万人へのスタジアム改修という機運は高まります。それはクラブの責任として、重く受け止めてやらなければならないことだと意を強くしました」

J2定着から夢のJ1昇格へーー。当のゼルビア、そして行政側も、2020年の悲願達成に向けた中期的なビジョンを見据えている。“ゼルビア・J1プロジェクト”とも言うべき、近未来のプランが、いよいよ本格的に動き始めた。

Photo&Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)

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