「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料掲載】“東京ダービー”で府中アスレティックFCを粉砕。ペスカドーラ町田、2連勝で昨季のリベンジマッチへ【マッチレビュー/Fリーグ・府中アスレティックFC戦】

▼圧巻の前プレス

6クラブ共同開催2日目の8月6日(日)、ペスカドーラ町田は府中アスレティックFCとの“東京ダービー”に臨んだ。

前日のバサジィ大分戦に2-1で苦しんで勝ち切った町田は、前日の反省点を踏まえて「守備からしっかりと入ろう」(室田祐希)というゲームプランを標榜。ときには前線から厳しくアプローチし、府中のプレーを制限していた。待望の先制点は4分13秒。横江怜によるフィニッシュは一度相手に阻止されたが、そのこぼれ球を室田が押し込む。たたみかける町田は6分3秒。これまたシュートのこぼれ球を宮崎貴史が押し込み、町田が追加点を奪った。

さらに“前プレ”を持ち味とする町田は、6分58秒に圧巻のプレーを披露する。府中のゴール前でのパス回しに猛然と前から中井健介と宮崎が“ダブルアプローチ”に行くと、相手のパスを中井が引っ掛けて、そのボールを再び宮崎が押し込んだ。

3点をリードしたあとは、8分31秒にサイドからのワンタッチプレーで1点差に詰め寄られたが、前半の終盤には森谷優太のパスから森岡薫を経由し、最後は中村充がフィニッシュ。終了間際の19分41秒にも、ピレス・イゴールの素早いスローイングから最後は篠崎隆樹が決めて、町田が5-1で前半を折り返した。

比較的余裕のある点差で迎えた後半は、追いすがる府中の猛攻にあい、やや防戦一方の展開に。そして府中の猛攻を守護神のファインセーブでしのぎながら、時計の針を進めると、ときおり“返す刀”で何度かカウンターを繰り出した。

しかし、なかなか追加点を奪えずに不穏な空気もやや漂ったが、33分26秒にカウンターから森岡が冷静に仕留めてほぼ勝負アリ。そしてマルキーニョにゴレイロのユニフォームを着せた府中のパワープレーに耐えながら、カウンターでチャンスをうかがい、終盤には2点を追加。最後の最後で府中に1点を叩き込まれたものの、町田は8-2の大勝を飾った。

前半は十八番の“前プレ”を軸に守備でゲームを作り、前半で5点を量産。後半は相手の猛攻をカウンターでいなしながら効果的に加点した。「けが人や2連戦の影響で均衡した相手との戦いをこなし切るのは難しかった」と谷本俊介監督がゲームを振り返った府中を町田が寄せ付けず。次節のシュライカー大阪戦に向けて弾みを付ける、地元・町田での2連勝となった。

Photo&Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)

 

■FP 11 室田 祐希(ペスカドーラ町田)
2連勝で上位に食らい付けた
「(ゲームプランについて)昨日は苦しい試合になって、ディフェンスでも全然プレスに行けていなかったので、前半は守備から入ろうというプランでした。それはチームでも話していましたし、個人としても前からのプレスを意識していたので、そこで流れをつかめてこういう結果になったのかなと思います。後半は次の1点が重要だなと思っていましたし、追加点を取れたことでそのあともゴールを重ねることができたので、その点は良かったのかなと。

共同開催で2日連続の試合日程とはいえ、自分たち次第だと思っていました。みんなで一つになって戦うこと。苦しい時間帯でも声をかけ合いながら一つになって戦おうと話してきたので、それが試合の中で次第に出てきました。この2連戦で2連勝できたことで上位に食らい付いていくこともできました。

チャンスをしっかりと決め切れると8点とか入るのですが、昨日のように決定力がないような試合でも点を取れるようにしていかないと。今日もチャンスがありましたし、もっと決め切る力を付けていかないといけません。決定力はまだまだ足りないと思います。

(週明けからの代表での活動について)代表でやるべきことも変わりますから、しっかりと代表モードに切り替えて、代表でも全力でプレーをして結果を残さないと次はないので、リーグ戦のことは忘れて代表に臨みたいと思います」

■FP 19 宮崎 貴史(ペスカドーラ町田)
ホームアドバンテージがあった
「(チームを勢い付ける2点目と3点目でした)チームメートがゴール前までボールを運んでくれて、ゴレイロがいない中で蹴り込むだけだったので、チームメートに感謝したいです。府中が相手だから厳しい試合になることは分かっていました。しっかりとディフェンスから入って、1対1の守備も厳しく入ろうと戦っている中でユウキ(室田)が先制点を決めてくれてチームを楽にしてくれました。気持ちを出して、前からディフェンスに行くアプローチだったので、そこでパスを引っ掛けて点を取れたことは良かったです。昨日の試合に出ていなかったぶん、ほかの選手よりもしっかりと走るなど、ハードワークをいつも以上に意識しました。

点を取りたいなとは思っていますが、1試合で2点も取れるとは……。いつもシュート練習はしているのですが、なかなか取れていないので、今日は良かったです。後半はある程度リスク管理をしようと話している中で戦いました。カウンター返しのカウンターが怖いね、という話はしていたので、そのあたりはチームとして意識してプレーしている中でチャンスも作れました。そこで決め切れずに試合が進んだことは反省点です。次のシュライカー大阪戦は強くてうまい選手が多いので、球際の部分や1対1の部分に強いピヴォの選手もいるので、その対応をしっかりとトレーニングしたいと思います。

6クラブ共同開催でも今回はホームで戦えたので、すごくアドバンテージがありました。ウチはホームで強いですし、応援の力を感じます。いつも熱い応援に感謝しています。次のホームゲームでも熱い声援をよろしくお願いします」

【試合後会見コメント】
■岡山 孝介監督(ペスカドーラ町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「序盤は少しリズムをつかめずに苦しみましたが、次第にリズムをつかんでからは町田らしい攻撃ができたと思います。ただ前半の中盤ぐらいまでは、府中にチャンスを作られましたし、危ない場面は多々あったので、そういった部分を修正して、次節も上位との対戦(シュライカー大阪戦)なので、そこに向けてトレーニングをしていきたいです」

■FP 99 森岡 薫(ペスカドーラ町田)
「監督が言っていたように、前半はうまくいかない部分がありましたが、今日はボールのないところでのハードワークが先制点や追加点につながったと思います。8-2のスコアはハードワークの結果です。何かが決まったわけでもないですし、順位が上がったわけではないので、次の試合でも良い状態で戦えるように準備をしていきたいと思います」

 

■谷本 俊介監督(府中アスレティックFC)
ーーまずは試合の総評からお願いします。
「結果のとおり、一番やってはいけないゲームをしてしまったと思っています。自分たちのすべて悪い部分が出てしまったことでこんな結果になってしまいました。ただ選手たちはハードワークをしてくれましたし、2連戦やけが人の影響も含めて均衡した相手との戦いをこなし切るのは難しいのかなと思っています。それを埋めるための戦略や準備がいま考えると少し甘かったのかなと思います。でもリーグ戦はこれで終わりではありません。まだまだ先は長いので、取り返していけるように落ち込み過ぎずに、反省すべきことは反省して、切り替えて第1クール最後の試合をなんとしても勝って一巡目の対戦を終えられればと思います」

ーー先ほど監督は戦略的に甘かった部分があったとおっしゃっていましたが、もしもう一度対戦する機会があったとしたら、戦略的にどの部分を修正しますか?
「まず今日は前半から守備の部分で自陣で引いて守るやり方を選択しました。ただ後半は点を取り返すために前からのプレッッシングを選択して、そこそこ良い感触を得られたと思っています。それが続けれれば、また結果は違ったものになったと思いますが、ただ2連戦で前からのプレッシングをしかける戦い方をやり切るのは難しいので、一回の勝負ならばその形に変えてやれるのかなと思います」

ーーゴレイロの飛騨龍典選手はサテライトから32歳で上がってきた苦労人かと思います。彼の評価を聞かせてください。
「彼にはシーズン初めの時点で三番手のGKとしての役割を伝えていました。練習の活気を上げて、質の高いものにしてほしいと。常に一生懸命にプレーできる選手であることは評価していますし、明るいキャラクターでもあるので、ピッチ外での貢献度も高い選手です。プレーについては精度はまだまだですが、長くフットサルに携わっているぶん、経験の部分でそれは大きいのかなと思います。例えば第2PKを駆け引きをして2回連続で止める技も見せてくれました。そこは評価したいですね」

 

■FP 5 皆本 晃(府中アスレティックFC)
「良くないプレーが続くとこういう点差のゲームになってしまいます。とはいえ決して下を向く必要はない試合内容だと思います。これまでもすべてのゲームで良いゲームができていたとは限りません。引き続き、良いゲームをして毎試合勝てるようなゲームを続けることができるようにしたいです。今日は相手に運もありましたから、次の試合に向けて良い準備をしていきたいと思います」

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