「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】相馬直樹監督「このメンバーが一番勝利に近づくかなという直感や考え抜いた末の決断でこの11人を選択した」+大分・片野坂知宏監督、後藤優介【監督・選手コメント/大分トリニータ戦】

■明治安田生命J2リーグ第27節・8月11日(金)19:00キックオフ
大分銀行ドーム/9,525人
大分トリニータ 1-3 FC町田ゼルビア
【得点者】大分/75分 後藤優介 町田/11分 オウンゴール、43分 井上裕大、71分 鈴木孝司

 

■片野坂 知宏監督(大分)
ーーまずは試合の総括からお願いいたします。
「今日は久しぶりのホームゲームとなりましたが、夏休みやお盆休みの中でトリニータの試合を楽しみにたくさんの方に足を運んでいただきました。ご来場いただいたみなさんは、町田さんを相手に勝つ試合を期待されていたと思うのですが、こういう結果になってしまい本当に申し訳なく思います。敗戦したのは私の責任でもありますし、残念な気持ちと悔しい気持ちでいっぱいです。選手たちも最後まであきらめずに戦ってくれたのですが、ひっくり返すことができずに本当に申し訳なく思っています。

試合のほうは前半から町田さんが非常にアグレッシブにわれわれに対してチャレンジをしてきて、そのプレッシャーをうまく回避することができずに、町田さんの狙いどおりの前半の戦いだったと思います。そういう中でFKから失点し、終了間際にも町田さんの狙いどおりのカウンターで素晴らしいミドルシュートを決められて、0-2という痛いリードを喫することになってしまい、後半が非常に難しくなりました。

前半にやれなかったことを後半ではどのように攻撃のスイッチを入れ、パワーを持って戦うかという意味でも、非常に難しくなったのですが、町田さんのあのようなプレッシャーの中で、われわれも割り切って戦うしかないなということを選手たちに伝えました。後半に入って選手たちもそういう狙いを持ってやってくれて、なんとか1点を返すことや、チャンスを作ることができたと思うのですが、最後のところのクオリティーや判断の部分でなかなか得点できずに、逆にミスから3点目を奪われてしまい、非常に難しいゲームになりました。

こういう試合展開は避けたかったのですが、自分たちで招いた試合でもありましたし、この試合に関しては町田さんがわれわれに対して準備してきたことを町田さんの狙いどおりにやられてしまいました。本当に町田さんのゲームでしたし、素晴らしい試合をしたと思います。われわれはこの試合をひっくり返せるか、逆転できるか。それによって真価が問われる試合になると、後半に臨んで戦った中で、われわれがそれを成し遂げられなかったのは、まだまだわれわれの力不足ということだと思います。

ファンの方々の中でも、大分銀行ドームでの2年前のJ3降格、そして町田さんのJ2昇格につながったJ2・J3入れ替え戦のゲームのリベンジに値するゲームを期待されていたと思うのですが、私も、われわれも、なんとかリベンジをしたいと思っている中でこういう結果になってしまい、本当に残念で悔しく申し訳なく思っています。

ただ、すぐにまたホームでの東京V戦があります。短い時間ですが、しっかりと準備をして連敗をしないように、ホームでは必ずまた勝ち点3を取れるように切り替えてやっていきたいと思います」

ーー後半の途中から4バックに変えられたと思います。システムとしては[4-3-3]だったでしょうか?
「そうですね。後半のスタートに、少し中盤の配置を変えました。前半は町田さんの平戸選手、戸高選手がわれわれの中央の位置でセカンドボールも含めて、嫌なところでボールを受けるなど、どうしても川西(翔太)と鈴木惇の位置でうまく対応できなかったので、小手川(宏基)を下げてトリプルボランチという形にして[5-3-2]の形で守備を作りました。

攻撃の部分は、川西と小手川も前線に関われるような形でスタートしました。ただ山口(貴弘)が警告を受けましたし、町田さんの前線からのプレッシャーをうまく動かせない中で、どうしても背後へパワーを持っていきたかったので、山口に代えて伊佐(耕平)を投入しました。前線の迫力を持ちたいなという意図で[4-3-1-2]という形に変更し、三平をトップ下、伊佐と後藤(優介)を2トップにするという形を採用しました。

選手も狙いを持ってやってくれたと思いますし、決して準備していた形ではなかったのですが、伊佐の迫力、後藤のスピード、三平和平のトップ下での起点を作る、あとは小手川、川西がセカンドボールを含めて前線に絡むことなど、そういう部分では、ゲームの中で選手の判断とバランスを取りながらしっかりやってくれたと思います。

ただ、準備をしていない中で、選手は最後まで戦う姿勢を持って戦ってくれたのですが、本当に町田さんの3点目が痛かったです。そして早めに1点を取りたかったですし、チャンスがあった中でチャンスを決め切れていればまた違う展開になった可能性もあるかもしれませんが、これをひっくり返せない、同点に追い付けないのは自分たちの力のなさが原因だと思います」

 

■FW 9 後藤 優介(大分)
もっとポジショニングを工夫しないと
「相手のプレッシャーが早い中で後手に回っていた部分があったので、3ボランチ気味にしてうまくボールを受けられるようにして、2トップで背後やサイドのスペースを狙う形はできていました。後半はうまく戦えましたが、それを前半からできるように、ピッチの選手たちで話してやらないといけません。それは課題だと思います。

4バックはやっていないわけではないので、やりにくさはなかったですし、中央に人数をかけられるようになった中で良い形も作れました。前半は前と後ろの距離が長過ぎて相手に狙われていました。相手も研究してきている中で、ポジショニングを工夫してやらないとうまく相手をはがせません。それを課題として取り組めばもっとチームとして良くなっていくと思います」

 

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「まずは東京の町田から遠い大分まで、われわれをサポートしにたくさんの方々に来ていただきました。一緒に喜べることを非常にうれしく思いますし、今日は最後に倒れ込むくらい選手たちが頑張ってくれましたが、その足をファン・サポーターの方々の声援が後押しをしてくれたと思います。まずはありがとうございましたとお伝えさせてください。

ゲームのほうですが、大分さんとは天皇杯を含めて2試合を戦い、今日のゲームが3試合目となりますが、これまでは自分たちのゲームにならず、天皇杯では敗退という結果になっていました。われわれからすると、今年の借りを返す意味でもこの試合に向けて準備をしてきました。その中で試合のスタートから自分たちのスタイルを出していく戦いができましたし、関東から比べると暑い九州の気候の中でも、怖がらずに前から走って相手のスタイルを出させずに、良い形を作ることができました。

そうした自分たちの時間帯に点を取るのは大事なことですが、その中で2点を良い形で取れたことが大きかったです。前半から飛ばしているぶん、後半も同じスタイルで戦いたかったのですが、相手もシステムなどを変えてきたことで後手に回るシーンもありました。

シンプルな形から1点を取られましたが、後ろの選手たちが粘り強く戦ってくれましたし、苦しいときに3点目を決めてくれました。そのゴールを決めた孝司ですが、彼は前節けがから復帰こそ果たしましたが、ストライカーとしてスコアをできなかったことが悔しかったと、そういうコメントを残している中で、今回のゴールは彼にとって大きな一歩になったと思います。彼のゴールがチームを助けてくれましたし、最終ラインの選手たちへ大きな勇気を与えてくれたゴールだったと思います。次の試合までにあまり時間はありませんが、体力を回復させてしっかりとしたファイティングポーズを取れるように準備していきたいと思います」

ーー先発メンバーはいろいろな選択肢があったと思います。その中でセンターバックに藤井航大選手、サイドハーフに平戸太貴選手を起用しましたが、彼らに対して期待していたことと、彼らを起用することでチームにどのような波及効果があることをイメージしていたのでしょうか?
「チームへの波及効果までは考えていませんでしたが、彼らを今日のピッチに立たせる中で、このメンバーが一番勝利に近づくかなという直感や、考え抜いた末の判断でそういう選択になりました。航大は(深津)康太の出場停止中にゲームに出る機会を得たのですが、その2試合は勝ち切れずに苦しい思いをした中でも戦ってくれていましたし、チームとしての結果は出なかったものの、彼自身のパフォーマンスとしては非常に良いものがありました。

ただ、一緒にプレーした仲間のことも含めて考えると、彼は少し性格的に優しく、そういう面で大事なコミュニケーションの部分を少し遠慮してしまったり、そういうところから相手にリズムを渡してしまい失点につながっていました。とはいえ、コンディション自体は非常に充実していると感じていましたので、今週のトレーニングを見て起用を決断しました。すごく良くやってくれたと思います。

太貴に関しては、暑い中での運動量と、前からプレッシャーをかけるということにおいて、走れる選手ですから、そのあたりのことを非常に期待していましたし、実際にそういうプレーをしてくれたと思います。ただボールを取った後の場面で彼はもっとできると思います。1点目はちょっと微妙なオウンゴールという形でしたが、彼のキックから生まれています。そういった意味ではリスタートの場面でも実際に彼は一つの仕事をしてくれたと思っています」

ーー町田のストロングポイントが十分に出た試合だったと思います。これまでの2回の対戦で大分の戦術に苦しんだ場面もあったと思いますが、その中で今日の試合に向けて、大分対策をアレンジした部分はあったのでしょうか?
「そこまではないですね。勇気を持てるか。それが大事だとは思っていました。今までやられているシーンを振り返ると、今日の後半も少しずつやられる展開になったときにそうなったのですが、少しずつラインが下がってしまっていましたから、怖がらずに戦えるかという話はしていました。トレーニングの内容を含めて特別なことはしていません。

最初の対戦から天皇杯の試合までのプロセスと同じですが、自分たちの戦いを貫こうという姿勢で戦いました。特に天皇杯は失点するまでは、今日の前半に近いゲームだったのですが、少しもったいない形での失点を喫してからはラインが下がってしまうという経緯がありました。われわれからすれば、勇気を持って自分たちの戦いをやり切れるかがどうか。その中でチャンスは必ず作れると思っていましたから、あとはその時間帯に点を取れるかどうかだと思っていました。

今日も実際にチャンスは作れていましたし、その一方で大分さんにもチャンスがありました。その中でどちらが点を取るかということが大きかったと思いますが、今日はウチが自分たちの時間帯に点を取ることができました。今日はそういうゲームでした」

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ