「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】相馬直樹監督「誰が出ても質が変わらないサッカーでいろいろな選手がゲームを戦えたことは今後につながってくる」+山口・カルロス・マジョール監督、星雄次、小塚和季、小野瀬康介、渡辺広太、岸田和人【レノファ山口FC戦/監督・選手コメント】

■明治安田生命J2リーグ第41節・11月12日(日)14:00キックオフ
町田市立陸上競技場/5,478人
FC町田ゼルビア 0-1 レノファ山口FC
【得点者】山口/31分 星雄次

 

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「今日はホーム最終戦でしたが、ホームゲームで久しぶりに良い天気となり、たくさんの人が集まってくれました。スタジアムの入りから、ホーム最終戦という特別な試合の雰囲気を作ってもらいました。先ほども挨拶をさせていただきましたが、1年間支えていただいてありがとうございました。

今年はホームで4つしか勝てていない状況でしたので、なんとか勝ちたいと思って試合に臨んだのですが、結果的に負けてしまいました。立ち上がりはコンパクトに戦いながら、ボールをしっかりと奪う状況を作り出し、良い時間帯もあったのですが、少し攻撃のところで最後まで行き切れませんでした。山口さんは立ち上がりにまず守備から入ってきたと思うのですが、そこで攻め切れない状況で徐々に間延びをしてしまいました。そして、自分たちの攻勢の時間帯ではなくなってきた中で、相手の最初のチャンスで失点をしてしまいました。

良くあることなのですが、序盤は自分たちのリズムで前にエネルギーを持てた後、ひと段落してしまい、非常に危ない位置でリスタートからやられてしまい、非常にもったいなかったと思います。それが結果的に最後に苦しむ原因になってしまいました。

後半に関しては勝ちに行くこと、そして早い時間帯に1点を取るためにメンバーを早めに代えて、ハーフタイムにもより攻撃に出るための立ち位置を取ることを強調しました。その中で押し込む時間帯もできましたし、攻撃も前半よりも良い形が増えていたと思いますが、一方で相手の攻撃もカウンターから点を取られてもおかしくないシーンがいくつかあったと思います。今シーズンは特にホームでは、ずっと競っているゲーム展開できているのですが、最後に自分たちが押し込んで追いつきそう、あるいは勝ち越せそうというところで相手に引かれてこじ開けられないという展開が本当に多かったと思います。

まだもう1試合あるのですが、ホーム最終戦ということで振り返ると、ホームの試合の後半残り15分間は押し込みながらも点を取り切れずにドローという結果や負けてしまうことが多く、今日もそういった形で終わってしまいました。私自身も、選手たちも、一つひとつの取り組みのことを含めて、そこを勝ちに持っていけるかどうかということに対して、ここから目をそらさずにしっかりと積み上げていかなければいけないと思います。

敗戦は運が悪いのではなく、足りないものがあるから負けてしまうのであって、もう少しのところで点を取れないという中で、まずは残り1試合に向けて、1週間で少しでもなんとかなるようにしたいと思います。そして、これは選手である以上みんな一緒ではあると思いますが、そこで結果を出せる選手、チームになっていくことにこだわってやっていきたいと思います」

ーー最後はサポーターから厳しい声もありましたが、その声に応えるべく来季に積み上げていきたい部分を教えてください。
「まずはホームで勝ちたいということです。サポーターの方々がそういう言葉を発して、そういう想いを出してくださったのは真摯に受け止めなければいけないと思っています。当然、われわれも負けたくてやっているわけではないのですが、そこを何とかしていくのがわれわれの仕事だと思っていますので、しっかりとやっていきたいと思っています。

ただ、いくつかの面はあると思いますが、単純に止める、蹴るという部分がもっと上がらなければ難しいと思いますし、当然ですが、そこにこだわって日々トレーニングをやっていかなければいけません。もちろん個人戦術として、頭の中の連続性を高めていかないと最後の部分で崩し切る、取り切るということは難しいと思いますし、毎試合攻勢の局面になるわけではないのですが、そういったことにはこだわっていかないといけないと思います。

もう一つは、選手たちには今日は必ず勝つとプレッシャーをかけました。いまのわれわれの順位からするとプレッシャーをかける必要は正直ありませんし、もしかしたら今日、プレッシャーをかけずに試合に臨めばもっと伸び伸びやって勝っていたかもしれませんが、プレッシャーがかかった中で勝つということがすごく重要になってくると思っています。

ホームで勝てず、もちろんチーム自体が勝利から遠ざかっていますが、プレッシャーがかかった中で楽しめるか、アイディアを出せるかということが大切だと思っています。必死に頑張ることは当たり前ですが、その中で突拍子もないようなことを見せていかないと、頑張るだけではダメだと思っています。メンタルを含めて、そこのところをよりタフにやっていけるようにしたいなと思います」

ーーセレモニーで李漢宰選手がJ2昇格2年目の難しさを感じたとおっしゃっていました。相馬監督はどのようなところに難しさを感じましたか?
「昨季に関しては正直、昇格の仕方も良かったと思っています。その勢いの中で選手たちはもちろん、サポーターも含めて熱が何割か増した状態であったと思います。さらに相手チームが多少油断してくる部分もあって、いろいろな部分でわれわれのほうが戦いやすい状況でした。22番目のスタートでしたが、チャレンジャーとして戦う中で、昨シーズンは終わってみたら7位でした。

今年の順位はまだ分かりませんし、本当に7番目の実力があったかと言えば決してそうではないと思っていますが、7位まで行けるということも事実だったと思います。もう少し上も可能だったかもしれませんが、そういった中で2年目は、相手からもそういう目で見られます。自分たち自身も22番目でチャレンジャーだという気持ちになれるかといえばなかなか難しいということが、2年目の難しさだと思っています。

周りからの期待として、頑張った中でたとえドローだったとしても、『何をやっているんだ』と昨年のことを言われてしまい、ネガティブになるということは、選手としてもチームとしてもありました。昨季であればこんなことはないよなという話がロッカールームで出てしまうことも多分にありました。ただ、そういった中でJ2残留を決めたということは、僕は評価しても良いと思っています。残留争いをせず、ある程度早い時期に残留を決められたことで、選手たちはよく戦ってくれたと思っています。上も下もないという中で、目の前の試合に集中するということは言い続けていますが、僕の力不足もあってさらにプラスαを出すことが難しくなってしまいました。そこを戦ってもらえるようにしないといけないと思います。

来季、私は監督を続けさせていただくので、繰り返し積み重ねていき、その先に私たちクラブとしては、上に上がっていくという道筋を用意してもらえるという中で、来季すぐにどうというという話ではないですが、しっかりとベースを作っていかなければいけません。それはチームもそうですし、町田の地元の人たちに期待してもらい、応援してもらえるようにしていかなければいけないと思っています。

シーズンはもう1試合残っていますので、来季のことを話し過ぎるのは違うと思いますが、今週も応援してもらえる状況にしないといけないことについては何も変わらないと思います。残り1試合、来シーズンJ1で戦う湘南さんにどれくらいできるかということに向けて、しっかりと準備をしていきたいと思います。(上に上がる道筋を用意してもらえるということはスタジアムのことでしょうか?)それも含めてです。周りから応援してもらえるような状況を作っていくこと。スポーツ、サッカーの力で人の心を動かしていければ良いなと思っています」

ーーJ2の2年目は順位も入場者数もネガティブな点が目立った一方、誰が出ても質が変わらないサッカーをされていたと思います。監督としての手ごたえとして、成長したと感じる点など、良かったことを教えてください。
「いまは結果がネガティブなものではありますが、一つは夏場に五分以上勝っていることです。われわれはどうしても運動量が要求されるサッカーをしている中で、今後に向けて非常に大きな手ごたえをつかんでいます。

やはり代表戦もそうですが、よりインテンシティの高いサッカーが現在の潮流だと思っています。世界の潮流に流れずに、日本の夏だから足が止まっても仕方がないというJリーグのままでは、世界で戦うには難しいと思います。いまはJ2ではありますが、インテンシティの高いプレーを見せて、こういうこともできる、その上で結果も出せるということを示していきたいと思います。その意味では夏場に勝利を多くつかんでくれたことはすごく大きなことだと思っています。

いまの時期は相手の足も止まらないですが、相手の足が止まったから自分たちの足が生きたという話ではなく、通年で差をつけていくためには、それだけではなく、クオリティーやアイディア、気持ちの強さといったものをその上に積んでいくことが必要になってくると思います。ただ、自分たちがやっていることに対してはネガティブな部分だけではないことは示せたと思います。あとは先ほどお話があったとおり、誰が出ても質が変わらないサッカーをやる中でかなりいろいろな選手がゲームを戦えたということは今後に向けてつながってくることだと思っています」

 

■カルロス マジョール監督(山口)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「とても厳しい試合でした。ただ、試合前から相手はダイレクトに、身長の高い前線の選手を狙ってくることは分かっていました。その中で相手の攻撃をしのいで自分たちの攻撃に移り、ゴールチャンスを作ることができました。前半や後半の一部の試合内容を踏まえると、この試合の勝者にふさわしいのはわれわれだと考えています」

ーー今日の勝利により、得失点差ではありますが降格圏を抜け出しました。その点についてはいかがでしょうか?
「現時点ではそういう状況ですが、大事なのはホーム最終戦です。そこに向けて自分たちができることをすべてやって、一番良い形で最後の試合に臨み、残留できるように頑張っていきたいと思います。またチームや選手たちはここ数試合特に良いパフォーマンスをしています。ピッチで良いパフォーマンスを発揮してくれているということは、とても良いことだと思っています」

ーー前節の後半のメンバーが今日のスタメンでした。今日のゲームプランはどのようなものだったのでしょうか。
「やはり自分たちのプランとしてはヴェルディ戦とは異なり、試合開始から攻撃に転じて、自分たちのゴールチャンスを多く作っていかなければいけないといったプランでした」

ーー今日の勝因を教えてください。
「身長のある相手選手に入ってくるロングボールに耐えることができました。それがわれわれにとって重要なことでした。そして、その後のセカンドボールを自分たちのボールにすることができました。セカンドボール争いに勝つことができたことで、佐藤、宮城、小塚の中盤3人から、両サイドの選手を広く使って攻撃に移ることができました。その上で選手たちが本当に頑張ってくれました。特に前線の選手が走ってくれましたし、ディフェンスでもGK村上が良いプレーを見せてくれました」

ーー次節・愛媛戦に向けての意気込みを教えてください。
「次の試合はとても大事な試合になってくるので、自分たちが今までやってきたこと、ここ数試合で見せている集中力を持って臨まなければならないと思います。ここ数試合でやっていることは間違っていないと思いますので、そこから逸れることなく続けていくことが大事になってくると思います」

 

■DF 19 星 雄次(山口)
冷静に決めるだけだった
「負けられない状況でしたし、勝てたことが一番良かったと思っています。相手はプレッシングに来る相手だったので、まずは球際で負けないことを意識していました。あとは自分たちの良さを出そうと戦っていました。ゴールシーンはクロスボールがすごく良かったことと岸田選手などが前でつぶれてくれたので、スペースができました。あとは冷静に決めるだけでしたね。小野瀬と小塚のコンビで崩せるシーンを作れましたし、あとはゴール前でボールを受ける選手のポジション取りを考えれば良い形でシュートを打つことができます。(大石と岸田の2トップは)スピードなどそれぞれの特徴があるので、彼らの特徴を生かすことを考えました。次の愛媛戦は勝って残留を決めたいです」

 

■MF 40 小塚 和季(山口)
この勝ち点3は大きい
「アシストがつくのは決めてくれる選手がいるからです。ゴールを決めてくれた選手に感謝しています。今日はアウェイまでたくさんのサポーターが駆けつけてくれてうれしかったですし、サポーターの声援も聞こえていました。サポーターのためにも勝って良かったです。最終節はホームで戦えるので、今日の試合での勝ち点3は大きいです。チームはいま2連勝をしていますし、期待に応えられるように良い試合をして残留を決めて、シーズンを終えたいと思います。最終戦は自分たちの力を示す良い機会になります。最終戦で自分の力を発揮したいです。スーパープレーを見せたいと思います」

 

■MF 8 小野瀬 康介(山口)
最終的に残留が決まったわけではない
「まだ最後まで分かりません。今日の勝利の喜びは今日だけにして、まだ来週に試合があるので最終節で勝てるように準備をしたいです。今日に限らず、自分が出たときには違いを見せようと思っています。それが少なからずピッチで表現できたと思います。まずウイングバックで出たときは攻撃が好きなので、攻めのときに思い切って出て行くことと守備でやられないことを考えて試合に入っています。(野津田でたくさん点を取っていることは)たまたまです。とにかく勝てたことが良かったです。まだ最終的に残留が決まったわけではないので、ホームで勝ってファン・サポーター、スポンサーのみなさんを喜ばせられるように準備をしていきたいです」

 

■DF 3 渡辺 広大(山口)
勝利は全員でハードワークをした結果
「今日の勝利は全員が攻守にわたって、ハードワークした結果です。最後のホームになんとしても勝って自力で残留を決めたいです。ハードワークをしている姿勢を見せないといけません。激動の1年でしたが、終わり良ければすべて良し、という結果ではありませんが、1年の集大成として最後に勝利という結果で終わりたいです。ゲームに出ている11人、ベンチメンバーを含めた18人、ベンチに入れなかった全員の選手を含めて、みんなの力が必要です。このメンバーで戦うのは最後です。一つになって勝利に向けて頑張ります」

 

■FW 9 岸田 和人(山口)
確実にチーム状態は向上している
「勝ったことで降格圏を脱出できましたし、そういう結果を得ることができて良かったと思っています。ツグさん(大石治寿)とはコミュニケーションを取らなくても息が合う部分がありますし、キャンプのときからそう感じていました。一人が引いたら一人が裏を突くとか、違う動きをして、二人で味方のボールを引き出すことは話し合ってきたことです。良い形で作れたと思います。

個人の出来としてはシュートチャンスがあるのに、パスを狙ってしまうシーンがありました。まずはシュートを打つというファーストチョイスを狙っていきたいと思っていたのに、パスを選択していましたことが反省点です。シュートを打つことよりも自分よりも良いポジションを取っている選手を見てしまうので、ゴール前でもパスを出すシーンが多かったと思います。

以前、自分が良かったときはどんなときでもシュートを選択していましたし、何が何でもシュートを打っていました。上野さん時代の良い位置取りをしている選手にパスを出せと言われていたことの名残が出てしまったと思っています。まだまだ抜け切れていない部分があります。シュートをもっと打つ選択をしないといけませんし、個人という意味ではあまり良いパフォーマンスではありませんでした。外したとしてもシュートを躊躇なく打てれば良かったのですが、まだ迷いを抱えながらプレーしていたことは本当に反省点です。

後ろが頑張って押し上げてくれることで2トップの僕たちも前から行けましたし、連動して戦えたことでセカンドボールを拾えました。チームとしてゴールも決められていますが、2点、3点を取れるチーム状態になっていくとより良いのかなと思います。1点しか取れないときは無失点で抑えて、2点を取れたときは1失点でしのぐとか、そういうことがいまはできているので、確実にチーム状態は向上しています。

(野津田でプレーすることで古巣と対戦するという意識はまだありますか?)もうあまり古巣という感覚は少なくなってきているのですが、このスタジアムでプレーするときは良いイメージしか残っていません。決められれば良かったですが、良いイメージで試合を終えることはできました」

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ