「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】「新たなスタート」の2018シーズン。J1基準のチーム作りを目指してーー【コラム】

▼相馬直樹監督の“所信表明”

1月11日、FC町田ゼルビアの2018シーズンがスタートした。

始動日には新加入選手10人と二種登録の橋村龍ジョセフを含む全28選手が参加し、約1時間汗を流した。例年の始動日に比べて、ボールを使ったメニューが多く、全体練習の最後はタッチ数に制限が加えられた恒例のミニゲーム。パスを出した後にはしっかりと動き出すことやパスを出す際には受け手となる選手の名前を呼ぶことなど、「チームとしての積み重ね」(中島裕希)を大事にしながら、ミニゲームが実施された。そして全体練習を打ち上げたあとは、各選手が思い思いに居残り練習に取り組み、初日のトレーニングを終えている。

2018年は町田にとって、J2復帰3年目のシーズン。昨年からクラブは2020年の東京五輪の年をJ1で戦うという青写真を明確に打ち出している。他チームのマークも厳しくなる中、J2定着を果たし、その先のJ1を見据えて戦うことは決して容易ではない。しかし、そうした“青写真”を掲げている以上、その目標に向かって突き進むことがプロ集団としての責務だろう。始動日を終えた相馬直樹監督は、次のように“決意表明”を語った。

「降格を経験したクラブとして、J2残留を果たすのは大事なことですが、2020年に向けてJ1にチャレンジしたいという意思を持っている以上、違った切り口も必要です。今年は新しいスタートになります。そのために来てもらった選手、残ってもらった選手たちがいます。今年は2020年に向けて大事な年です。クラブとしては街に出て行くことを発信していますが、J1をにらんで戦えるものをピッチ上でも出せるように、J1基準のチームを目指して、今年がスタートします」

J1規格のホームスタジアムや天然芝を有した練習環境の整備など、J1クラブライセンスを取得する上での大きなハードルはあるものの、まずはピッチ上で果たせるものを目指していく。近未来のJ1昇格を視野に捕らえたピッチ上での試行錯誤とアプローチが始まった。

近未来のJ1昇格を見据えて、“リスタート”と位置付けた2018シーズン。それは、第二次政権5年目の指揮権を引き受けた相馬監督にとっても、一つの“チャレンジ”である。

「東京の3番目のクラブという状況の中で、無理をしないといけない部分もあると思いますが、その覚悟を持ってやります。ただそれは悲壮感ではなく、あのチームは選手が楽しそうにサッカーをやっている、地域が熱を持っている。(周囲に対して)町田には楽しそうな船があるなと思ってもらえるような状況を作りたい」

1月12日現在、新加入選手10名を含む28選手が18シーズンを戦う。小野路グラウンドでの日々で1年間を戦うコンディションのベース作りに取り組み、宮崎キャンプを通じて新加入選手の個性を見極めながら、既存選手との融合を図っていく。これから少しずつ、新チームの骨格が見えてくるはずだ。

始動日を終えた時点で、今季の“設計図”はまだ白紙に等しい。それでも、過去4シーズン、コレクティブな集団を作り上げてきた指揮官は「選手とコミュニケーションを取りながら、チームとして力を発揮できる、勝利に近づくチームを作っていきたいと思う」と話し、新シーズンの“所信表明”を締め括った。

Photo&Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)

 

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