「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】無念の敗北。ペスカドーラ町田、2年連続のプレーオフ準優勝【マッチレビュー/Fリーグプレーオフ決勝第2戦・名古屋オーシャンズ戦】

■ペドロ・コスタ監督(名古屋)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「昨日同様に今日も選手たちはファンタスティックなゲームをしてくれました。もうこれ以上、要求できないほど、ピッチで表現してくれました。選手たちが一丸となって戦った結果、ここに優勝トロフィーがあると思っています。

もうこの2試合は、われわれにとっては戦争でした。昨日と今日の試合は別物と考えていました。そしてレベルの高いフットサルをして両チームが勝ちたい気持ちをぶつけ合った結果、素晴らしい試合が生まれたと思います。

このゲームに関しては、われわれの色を出せた時間帯が多くありました。相手もわれわれに対する対策をしてきた中でゲームの時間帯によっては苦しむことも想定していました。そういう時間帯も我慢強く乗り越えようという精神的な準備までできたことで、この結果があると思っています。

試合のポイントは先制点を取ることができて、よりアドバンテージを広げて、われわれの流れを作ることができました。その意味では先制点を取れたことが大きなポイントになりました。

もう感謝の気持ちでいっぱいです。フットサルを盛り上げていただいて、メディアのみなさんの力があってのFリーグです。チームでは選手、スタッフが全員努力をした結果、ここにたどり着きました。最も頑張ったのは選手たちです。苦しい時期もありましたし、本当に苦しいシーズンだったと思います。その中でもいろいろな壁を自分たちで乗り換えたことでこういう結果にたどり着きました。選手たちがヒーローでした。

ラファがリーグMVPを獲りましたが、おめでとうと伝えたいです。ただチーム全員がMVPです。星選手はキャプテンとしていろいろな役割がある中で、相手のエースである森岡薫選手を止めた選手が隣にいるキャプテンです。彼もプレーオフ決勝のMVPだと思います。選手たちがすべてを出し切ってこの結果を勝ち取ったことがうれしくて、幸せでもあります」

ーーシーズン中にゴレイロを関口選手から篠田選手にスイッチしていました。この大舞台でも引き続き、篠田選手を起用した意図を聞かせてください。
「まず初めにレギュラーシーズンでも悪い時期を乗り越えたことは一つの基準として判断していました。おかげさまでレベルの高いGKの定位置争いをしていました。毎回の試合で良い意味で頭を抱えていました。どちらが出てもおかしくないというレベルを保っていますし、二人のことはすごく信頼しています。

一つの決め手はシーズン終盤に出た試合で篠田選手が良いパフォーマンスを発揮していました。このタイミングで代えることはなく、そのままの流れでいきたいと、篠田選手を起用しました。そして彼に懸けました。GKの出場時間としては、トータルでは関口選手のほうが多かったですが、同じぐらいではありました。レベルの高い競争で難しい判断でしたが、先ほど話した内容が決め手となりました」

ーー今日のゲームでは計8ゴールが生まれました。吉川選手のゴールを除くと、外国籍選手か、日本に帰化した選手がゴールを決めた格好になりますが、このような事態があって、日本人選手のフットサルはどうなのか。その点、監督はどのように感じていますか?
「フットサル界ではゴールシーンに魅力を感じてしまうものです。点を取って勝つことがポイントなので、そこがクローズアップされるのは致し方がないことです。でもここにいる星選手など、アシストをする選手やゴールが生まれるまではいろいろな選手が関わっています。ゴールまでのプロセスに多くの日本人選手が絡んでいることを忘れてはいけません。トータルで考えると日本のフットサル界は進化していると思います。

昨季、われわれは優勝を逃したことでチームの色を変えようと、攻撃の選手を多く連れてきました。ゴールに絡む選手を獲ってきましたが、ゴールを決める選手を望んできた結果、このような結果が勝ち取れたということは、たくさんのゴールを決めるという役割を果たしてくれたことを意味しています。外国籍選手に投資をして、彼らは求められる役割を果たしましたし、ほかの日本人選手も外国籍選手が点を取れるような状況を作るという役割をしっかりと全うしてくれたと思っています。

進化しているかどうか? という意味では、リーグ得点王は日本人選手です(府中アスレティックFCの渡邉知晃)。日本のフットサル界において、点を取る力が欠けている、点を取ることを強化しないといけない点でしたが、日本人選手でも点を取れる選手が出てきていますから、日本のフットサルは進化していると思います。もっとゴールを決められる日本人選手が出てきてほしいと私は願っています」

ーー2年間スペインで経験を積んできた吉川選手の存在は、今季のチームにどんな影響を与えましたか?
「吉川選手に関してはスペインに行く前からこのチームに大きな役割を果たしてきた選手でした。2年間、スペインに行ったことでより大きくなって帰ってきたことは確かです。彼はスペインでは今日のような緊張感のある決勝のゲームを毎週のように戦ってきたことで、ハートの強い選手として、こういうゲームでこそ、彼の色が出るのかなと思いました。彼がモチベーションを出して戦える時が彼の真の姿なのかなと。そういう姿を今日の試合で見ることができました。フィジカルも別格ですし、走っても走っても疲れない。持久力も優れています。彼に関してはもう少し出場時間を引っ張っても良いかなと長い時間で起用をすることになりました。

彼だけではなく、ほかには目立たない選手もいますが、チームの一人ひとりが役割を果たせたゲームでした。吉川選手に関しては、フィジカル面でも優れた選手で守備もできて、戦術理解力もありますから、ゴールを決め切る力がつくと、世界に出てもおかしくない選手なのかなと思っています」

 

「(ペドロ・コスタ監督自ら)いまの質問が最後になると思いますが、どうしても私のほうから一つコメントしたいことがありますので、お時間を頂戴できますでしょうか。勝ったタイミングで幸せな気持ちを伝えることもありますが、こういう時こそ、厳しいコメントを残したいと思います。勝ったあとだからこそ、現実を見て冷静にコメントをすることも大事です。

今後のことを考えてほしいというメッセージですが、いろいろな事情があった中で言わせていただきます。リーグ戦で1位だったことのアドバンテージ、すなわちホームで戦えるというアドバンテージがなかったというプレーオフのレギュレーションに関して、コメントさせてください。

私もいろいろなチームで指導をしてきましたが、世界の例を見ても、1位のチームがホームで戦えないレギュレーションは、ほかにはないのではないでしょうか。これは私の個人的な見解ですが、いろいろな困難を乗り越えて、リーグ1位という成績を勝ち取った中、ホームで戦えるというアドバンテージがないというレギュレーションは、1位のチームがアウェイに等しい状況で戦うことに意味はあったのでしょうか? いろいろなことを考えている方々がこのレギュレーションは正しいのか、一度あらためて考えていただければ幸いです。

メディアのみなさんにはお時間をいただいた上に、後味の悪いコメントを残してしまい、恐縮ですが、今回のプレーオフのレギュレーションで感じたことをコメントさせていただきました。アリガトウゴザイマス」

■FP 5 星 龍太(名古屋)
「うれしいという一言に尽きると思います。細かいことを言うと、修正点はありますが、この2試合は結果がすべてです。勝たないと、歴史にもこのトロフィーにも名を刻むことはできません。そういった意味でチーム全員で最高の結果をもたらすことができました。昨季の悔しさを晴らせたという意味でも、言葉が出てきませんが、うれしいという一言に尽きます。それぐらいこの優勝はうれしかったです」

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