「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】相馬直樹監督「目標を達成したいという思いや気持ちを込めて選手たちは戦ってくれた」+京都・布部陽功監督、仙頭啓矢、本多勇喜、小屋松知哉【京都サンガF.C.戦/監督・選手コメント】

■明治安田生命J2リーグ開幕戦・2月25日(日)15:00キックオフ
京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場/6,225人
京都サンガF.C. 0-2 FC町田ゼルビア
【得点者】町田/5分 鈴木孝司、42分 深津康太

 

■布部 陽功監督(京都)
ーーまずは試合の総括をお願い致します。
「開幕戦ということでたくさんのお客さんの方々に詰め掛けていただきましたが、結果を残せずに残念です。立ち上がりのセットプレーと終了間際でのセットプレーから喫した、この二つの失点がわれわれにとっては痛い失点となりました。前半は良い流れで後ろからの組み立てでチャンスを作ることもできました。その中でチャンスを決め切れなかったこと、後半も少しずつ攻めながらゴールを割れずにいたことで少しずつ焦りが出たと思います。最後は交代カードを3枚切って攻めたのですが、町田さんの体を張った守備に守られてしまい、球際の争いでも町田さんが上回っていたのかなと思います。でも自分たちがやっているスタイルは継続し、より良く改善していきたいです」

ーーセットプレーからの2失点ということで、セットプレーの守備に関しては、どのような修正をしていきたいですか?
「危険な位置でセットプレーを与えないことはキャンプの中でもそういった練習はしてきました。また1失点目のように一瞬の隙を突かれてやられたので、そういったことはなくさないようにしないといけません。あとはボールをもっと動かして、中央とサイドから攻める時間をもう少し長くしたいと思います。セットプレーの守備の形はこのままでやろうと思っていますし、もう少しボールに対しての強さなどを見直していきたいです。根本的なやり方を変える必要はありません」

ーースタートは[4-4-2]でしたが、途中からフォーメーションを[4-3-3]に変えたかと思います。変えた狙いは?
「一つの意図は湯澤(洋介)のボールをキープしてからのボール運びが良かったですし、何度か中央突破してチャンスを作れていたので、少し彼を落として、そこからの打開を図りました。左サイドに回した岩崎(悠人)もそこからの仕掛けが相手にとって脅威だと思ったので、実際にチャンスも作りましたし、それで変更しました。後半になってからはまた[4-4-2]に戻しています」

ーー湯澤選手の今日の評価は?
「戦術も日に日に理解していましたし、チャンスも作りました。交代はさせましたが、全然悪くはなかったです。次の試合でも今日のようなパフォーマンスを発揮してもられえばと思います」

ーーCBで出場した闘莉王選手を途中で前線に上げました。
「もう少し前線でプレーする時間を増やしたかったため、前線に上げました。CBでスタートしましたが、調子も上向きでCBは彼本来のポジションですし、後ろからの声はチームに必要です。今後もFW起用と併用しながら起用していきたいと思います」

ーーレンゾ・ロペス選手や重廣卓也選手を途中から起用しました。
「レンゾもコンディションは上がっていますが、まだ90分間できる状態ではなかったので、途中から起用しました。今日は0-2という試合展開の中、縦に速い攻めになったことで彼の特徴は出しにくかったかもしれません。もう少しグラウンダーのボールを使いながら、自分たちがやっていることを出せれば、レンゾも生きると思います。今後も期待して使っていきたいと思います。

重廣に関しては、どのタイミングで起用するか、と考えていました。キャンプ中もキャンプ後も彼のプレーで流れを変えたり、トレーニングマッチでも良いプレーを見せてくれていました。もう少し時間を与えられればとは思いました」

 

■MF 14 仙頭 啓矢(京都)
攻撃の選手のビジョンが一致していなかった
「セットプレーからの2失点でしたが、それ以外の部分で取り組んできたサッカーができなかったことが問題かなと思います。今までつなぐスタイルをやってきましたが、まったくと言っていいほど発揮できず、課題の残る試合でした。僕個人としてもミスが多かったですし、チームとしても距離感があまり良くなくて、どうしても裏へ長いボールを蹴ってしまいました。チームとしてもっと合わせていかないと。

(ボールを持っている中で相手のプレッシャーはどう感じていましたか?)速いなとは感じましたが、その中でもつなぐスタイルをするならば、ワンタッチなりでプレッシャーをかいくぐっていかないといけません。全員がパスコースを作ることやトライアングルを作ることのイメージを共有しながら戦わないと難しいので、そういう意味ではビジョンが一致していませんでした。

(昨季よりは組織的になったのでは?)昨季は前線に背の高い選手を置いて、というサッカーをやってきましたが、今季は地上でしっかり回して、キャンプからこの位置に立ってこう回して、とやってきましたが、なかなかそれがうまく噛み合わずに、形として出せなかったことはふがいない思いでいっぱいです。

(町田がボールサイドにプレスをかけてきた中で、サイドチェンジなどは有効でしたが……)逆サイドへの展開は有効だったのですが、SBにボールが入った時に裏へのパス一本だけという単調な攻撃になってしまいました。ボランチの選手がもっとサポートに入ったり、チームとして逆サイドを意識して展開したりすることが最後のほうはできていたので、それをもっと前半からできていればチャンスも増えていたのかなと感じています。

(個人的にはシュートチャンスもありました)結構シュートチャンスもあったので、それをフカしてしまったことはもったいなかったです。精度を上げていかないと、上の順位を狙う上では厳しいなと感じました」

 

■DF 6 本多 勇喜(京都)
技術的なミスもあって狙いを表現できなかった
「あと少しですが、連係をもう少し合わせることができれば、チームの調子は仕上がっていくと思います。あと少しの差を選手で話し合って、細かい部分を突き詰めれば、どんなチームにも通用するサッカーができると思います。次のトレーニングからやっていきたいです。

ユザ(湯澤)もアタッキングサードや中盤で絡めるように、型にハマらず、彼の良さを出す形を作れればと思います。

相手の分析もしていたし、分かっていた上で裏へのロングボールを使いつつ、スペースを突いてボールを回していく意図でしたが、技術的なミスもあったので、それができずにいました。パスを回すにしてもワンテンポ遅いというか、奪われる場面もありましたし、攻撃の起点を作れるようにやっていければと思います」

 

■MF 22 小屋松 知哉(京都)
決定機を逃し、チームに迷惑をかけてしまった
「セットプレーからの失点は、仕方のない部分と修正しないといけない部分があります。早い時間帯で失点すると試合運びが難しくなってしまうので、そこは修正が必要です。(9分に小屋松選手がシュートまで持ち込みましたが)ああいう攻撃は町田のようなチームには有効で、チームとして狙っていたことでもあります。個人として、シュートを決めないといけない場面でした。チームに迷惑をかけてしまいましたし、それ以外にも決められる場面があったので、そこの精度は今季の前線の選手の課題かなと思います。その出来でチームの出来は変わってくるので、しっかりと取り組んでいきたいです。

町田さんは同サイドに寄ることが特徴だったので、サイドに寄せてそこで剥がして逆サイドに展開する形が有効でしたが、町田さんのプレッシャーに負けたことと技術面を発揮できなかった前半だったと思います。後半は僕と岩崎悠人で打開できる場面もありました。ただ打開できる場面をもっと増やしていかないといけません」

 

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願い致します。
「まずはわれわれゼルビアにとっては久しぶりのアウェイでの開幕戦となりましたが、われわれを応援するためにたくさんの方々に京都まで来ていただきました。一緒に戦った結果、勝ち点3を町田に持って帰れることを非常にうれしく思っておりますし、まずはありがとうございましたとお伝えしたいと思います。

ゲームのほうですが、開幕戦ということで両チームともに硬さもある中での試合になりました。またピッチ状態も少しボコボコしている部分もあった上に、水を撒いた影響でピッチもスリッピーな状況だったため、少しボールの収まりどころがない立ち上がりだったと思います。ただその中で選手たちが前への出足を意識して、相手を押し込みつつ、セットプレーから点を取って、そこからリードする展開に持ち込み、2点目を入れる状況にまで持ち込んでくれました。

やはり後半は京都さんもメンバーを代えて、最後は闘莉王選手を前線に配置し、少し押し込まれる時間帯もあったと思いますが、最後の場面で粘り強く守ってくれました。相手が前がかりになっている中でもう1点を取って試合を終えることが一番良かったことではありますが、やはりそれは次への課題ということになります。

やはり開幕戦は自分も選手時代に経験がありますが、緊張感や不安、気持ちがワクワクしている部分もあります。そういういろいろな感情がある中で試合に臨み、選手たちはミスがあった中でもチャレンジする姿勢を発揮してくれましたし、周りの選手がカバーする姿もたくさん見られる試合になったのかなと思っています。

次はホーム開幕戦となります。ぜひ町田の地元の方々に選手たちがチャレンジする姿勢を見ていただき、また応援したいなと思ってもらえるような試合ができるように1週間、準備をしていきたいと思います」

ーー鮮やかなセットプレーからの2発だったと思いますが、京都のゾーンの守備を崩すためにセットプレーではどのような狙いを持っていたのでしょうか?
「CKもFKもゾーンの守備を敷いてくることはスカウティングで情報が入っていましたので、その中でセットプレーの時に、ショートCKなどで少しボールを動かして相手がどう出てくるかを見たいという狙いは持っていました。先に点を取った場面はセットプレーの流れのままではなかったのですが、やはり多少相手を揺さぶったことで特に2点目の深津康太が点を取った場面では、シンプルにボールを入れた形であっても、相手をうまく揺さぶったことが良かったのかなと思っています」

ーーポジショニングの部分で相手をうまく揺さぶったのでしょうか?
「京都さんにしてみれば、意識として何かを仕掛けてくるのではないのかなと、多分感じていたのではないかと思います。その結果、真ん中にクロスボールが入ってきた時に少しそこに対する反応が遅れたことにつながったのかなと思っています」

ーー昨季はリーグ戦で勝ち切れない試合が続いて、その中で2-0と良いシーズンのスタートが切れたのではないかと思いますが、いかがでしょうか?
「京都さんも本当に力のあるチームですし、今日も勝てるか分からない状況の中で、今季のわれわれはJ2に定着する、J2に残留するという目標から、J1を狙える位置までステップアップするという姿勢をどれだけ見せられるか。それにかかっていました。選手たちは一つひとつのプレーで相手よりも、目標を達成したいという思いや気持ちを込めて選手たちは戦ってくれたかなと思っています。そうした姿勢は、昨季の勝ち切れなかった時よりも、今日はそういったものを出してくれたシーンがたくさんあったのかなと思います。

今日のような戦いをわれわれのスタンダードにして、またそのスタンダードを上げていけるようにすることが、その先につながっていくと思っています。まず今日勝てたことは良いことですが、今日の試合のことを反省しながら、ピッチでは思い切って戦えるように、またトレーニングをしていきたいと思います」

ーー新戦力で先発メンバーに起用したのはロメロ・フランク選手と小島雅也選手でした。彼らのプレーぶりやチームコンセプトを表現するという部分に関して、監督はどのように感じられましたか?
「正直なところ、けが人が非常に多いという事情はありますが、その中でこう動いてほしいということをすべてではないにせよ、二人とも思い切ってやってくれたなというのが正直な感想です。リスクはあるにせよ、安全運転ではなく、思い切ったプレーを重ねてくれたなと思っています。既存の選手たちがいる中で、新しい選手たちがその中でも決して遠慮することなく、前向きなエネルギーを発揮したことでいろいろな部分に生きたことがあったと思います」

ーー後半は少し押し込まれた時間帯がありましたが、前半の守備の部分ではどのように評価されていますか?
「もう少し高い位置でボールを取れる回数を増やせたら言うことはないのですが、相手を制限しようとしている中で、われわれのプレッシャーを回避して長いボールが増えてくるだろうと想像していた通りの展開になりました。京都さんの長いボールに対してチャレンジ&カバーができていたこともそうですし、前からボールを追いかけて、もう一度後方に戻る作業は大変ですし、きついものですが、選手たちは本当にそういったプレーをよくやってくれたと思っています」

 

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