「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】相馬直樹監督「チームとして臆することなく、粘り強さと前へ出る姿勢をよく出してくれた」+岡山・長澤徹監督、椎名一馬、福元 友哉【天皇杯全日本選手権・ファジアーノ岡山戦/監督・選手コメント】

■天皇杯全日本選手権・2回戦・6月6日(水)19:00キックオフ
シティライトスタジアム/1,986人
ファジアーノ岡山 0(EX)1 FC町田ゼルビア
【得点者】町田/119分 平戸太貴

 

■長澤 徹監督(岡山)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「平日の試合で小雨がパラつく中での試合となりました。トーナメントの大会は勝つか負けるしかないのですが、今日集まっていただいたファン・サポーターの方々に対しては、勝てずに申し訳なく思っています。

前のゲームから含めて、エネルギーのあるメンバーのほうが勝てる確率が高いと読んで先発メンバーを送り出しました。ここ最近は枠内シュート1本で失点を喫するとか、90分が終わって2本しかシュートを打たれていないのに、2点を取られているとか、リーグ戦ではそういう隙の出る試合が続いていたため、隙をなくしていこうとチーム内で共有している中で、このゲームでどう出るか見ていましたが、隙なくゲームを進めることができました。

その意味では序盤戦のバランスが良かった頃のファジアーノを取り戻せましたと思っています。最後の最後はFKが抜けたボールでゴールが入ってしまいましたが、ゲーム全般では最近の課題が払拭されたことはポジティブに捉えています。ただこれでわれわれはリーグ戦しかなくなったので、リーグ戦に集中して、自分たちの目標を追いかけていきたいと思います」

ーー出場機会の少ない選手が多く出場しましたが、目立った選手などはいましたでしょうか?
「勝つためにこだわるメンバーで戦いましたし、サッカーは11人しか出られないので、出場機会が少なかったことをエネルギーに転化してほしいと思っていました。またトーナメント戦でもありますから、一発勝負でリーグ戦とは空気も違いますし、こういうリミットのある戦いをすることで、能力が開花する部分もありますし、それが勝利につながるという読みでもありました。初めてピッチに立った選手もいましたし、トモヤ(福元)もワイドのポジションにチャレンジするなど、自分にできることをやっていたと思います。

お互いにそうですが、チャンスがある中で決め切るとか、アタッキングエリアに入ったあとの精度などは課題です。とはいえ、今後は土壇場でチーム全体の力が必要になる中、準備時間もなかったですが、こういうゲームを経験することでチーム全体には大きな経験となりました。勝ち負けは采配を振るっている私の問題ですし、あまりこういう言い方はしませんが、今日出場したメンバーは力を出してくれました。今後も上昇していけるようなゲームをできたと思っています」

ーー10日前に対戦したリーグ戦を踏まえて、今日の試合に向けて選手たちに強調したポイントは何ですか?
「町田さんは特殊なチームですが、縦方向の30メートル以上のロングボールが1試合で50オーバーの60本程度あるチームです。そのボールに対処する上で、前半はスキルの問題と割り切りが足りなかったのか、クリアボールが相手のSBに渡ってしまうケースが多かったです。前回対戦は割り切って、相手を次第に押し下げて、自分たちのペースを取れたのですが、今日の試合はそうなるまでに少し時間がかかった印象です。立ち上がりの戦術的な部分はスキルを上げていくことと、もう少し徹底が必要だったかなと思っています。それができれば、もう少し相手を押し下げて試合を進められたかなという反省点が残りました」

ーー交代枠は一つしか使いませんでしたが、それはある程度事前に想定していたのでしょうか?
「左サイドのバランスを崩したので、武田を入れて手当をしましたが、全体的には素晴らしい集中力で戦えていたので、僕の選手交代で邪魔をするような状況ではなかったです。また彼らもプライドを持って試合をしていたので、僕の判断では出ていたメンバーが120分の中で決着をつけてくれるだろうと読んでいました。ピンチであってピンチでないようなFKでゴールが入ってしまったことは置いておいて、流れの中で誰かが決着をつけるという計算で試合を進めました」

ーー延長戦に入ったことで選手たちに伝えていたことは?
「押し込んだ時の逆サイドが空いていることを伝えました。それで何度かチャンスを作りましたが、点は取れませんでした。また中途半端なことをせずにゴール前に伊藤(大介)や大竹(洋平)が前を向いて入っていけば狙っているサッカーはできると話しました。先ほども話したクリアボールの影響でなかなか自分たちの思うような展開になりませんでしたので、戦術的な不徹底な部分があったなと思っています」

 

■GK 1 椎名 一馬(岡山)
最後の失点が自分たちの甘さを表している
「単純に勝ちたかったという思いがあります。ここ最近のチームは失点が続いている中で無失点でいけていたのに、最後の最後で失点したことが今の自分たちの甘さ、チーム状況を表しているのかなと思います。単純にGKというポジションはなかなか出られる機会の少ないポジションなので、チャンスがきたなという思いで試合に臨みました。

周りを引っ張っていこうという意識はなく、僕自身は最年長でしたが、試合になれば年齢も関係ないですし、若い選手に助けてもらいながら、若い選手が下を向いている時は上を向かせる声がけをしようとしていました。チーム一丸となって戦えていることは感じましたし、自分一人で守っているわけではないなと思いながらプレーできました。

(失点の場面について)集中が切れたわけではないですし、絶対に勝つぞ、ゴールをさせたくないという気持ちが隙を生んでしまったのかもしれません。そういう気持ちが裏目に出たのかもしれません。あとで振り返ると、僕自身も少し舞い上がっている雰囲気がありましたし、周りが見えずボールしか見えていなかったのかなと思います。天皇杯は終わりましたが、目指しているJ1に向けて、みんなの気持ちを一つにして、チーム一丸となって戦っていきたいです」

 

■MF 32 福元 友哉(岡山)
率直に言って勝ちたかった
「120分の最後で失点しましたが、体を張って失点を防ぐことができたので、次の山口戦につなげられるゲームができたのかなと思います。上下動を繰り返しできていることもある中で、前半は裏を取られるケースもありましたし、決定的な場面を作られるケースがあったので、反省点が残っています。延長戦では集中力を切らさないことを意識していました。最後に失点をしてしまいましたが、継続して集中力を保って戦うことができたと思います。

勝ちたかったのが率直な思いですが、ただシーズンはこれで終わりではないので、きっちりとJ1昇格という目標につなげられたらなと思っています」

 

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願い致します。
「水曜のナイターである上に、このような雨という状況の中での試合となりました。その中でファン・サポーターの数としては少ないかもしれませんが、力強く選手をサポートしてくださった方々にまずはありがとうございましたとお伝えさせてください。

天皇杯は上のカテゴリーのチームもある大会のため、J1のチームがいることもそうですが、われわれはまだ岡山さんに勝ったことがなく、岡山さんに対して、われわれの立場はチャレンジャーとして臨む、そういう大会となりました。そのチャレンジャー精神を持って選手たちはスタートからそういう姿勢を出してくれたかなと思っています。

直近のリーグ戦での対戦は、良い時間帯に点を取れず、徐々に相手のチャンスが増えていく展開でした。今日もそういったゲームになってしまったのですが、今日に関してはチームとして臆することなく、粘り強さと前へ出る姿勢をよく出してくれたなと思っています。

先ほど、公式の記録ではないのですが、19本のフィニッシュを打ったというスタッツを見ました。もちろん岡山さんがそれを許してくれなかったこともありますが、決められるチャンスが少なからずあったと思っていますし、そういった場面でもう少し早く点を取る力をつけていかないといけないと思います。ただ一番最後の苦しい展開の中でも、選手たちはセットプレーでまさに点をもぎ取ってくれましたし、本当に選手たちはよく戦ってくれたなと思います。

天皇杯は少し間が空きますが、またチャレンジの戦いになると思います。その前にまた4日後に徳島さんとのリーグ戦もありますので、そこに向けてまずは目の前のこと、中3日でのゲームに向けてしっかりと切り替えていきたいなと思います」

ーー今日は公式戦今季初出場の選手もいるメンバーで戦ったと思いますが、選手たちにメンタリティーの面以外で強調されたことを教えてください。
「ただ強調したことはメンタリティーの部分が一番大きかったと思っています。実際にメンタリティーの話になりますが、まず一つは岡山さんに対してチャレンジャーとしてどこまで戦えるかということ。もう一つはわれわれが徹底してやっているボールの動かし方をしていくこと、相手の陣地に侵入していく形のことなどを話しました。

そういった中で、良い形も作れていたのですが、やはり少し違う形が出た場合には、相手にカウンターのチャンスを作られることもありました。誰が出ても同じような戦いをできるかどうか、という面においては、非常に選手たちはそのあたりの理解をしながら戦ってくれていたと思います。ただ90分の中で点を取り切れるチャンスがあったと思いますので、今後はそのチャンスで点を取り切れるようにしたいとは思っています」

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