「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】相馬直樹監督「決め切る部分での違いを見せつけられるような形になった」+鹿島・大岩剛監督、遠藤康、鈴木優磨、安西幸輝、内田篤人【天皇杯全日本選手権・鹿島アントラーズ戦/監督・選手コメント】

■天皇杯全日本選手権3回戦・7月11日(水)18:30キックオフ
町田市立陸上競技場/5,589人
鹿島アントラーズ 5-1 FC町田ゼルビア
【得点者】鹿島/10分 西大伍、20分 鈴木優磨、61分 オウンゴール、64分 鈴木優磨、81分 遠藤康 町田/75分 戸高弘貴

 

■大岩剛監督(鹿島)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「中断明けの公式戦一つ目の試合でいろいろなプレッシャーがある中、選手たちが前向きにアグレッシブに入ってくれた結果、非常にいいゲームができたと思っています。1週間後に始まるJリーグに向けて、しっかりと準備をして臨みたいと思います」

ーー中断明けの公式戦となりましたが、この中断期間中に選手に対して強調した部分は何でしょうか?
「中断前までのわれわれの成績における課題は、得点が少ないことです。中断期間中のキャンプやトレーニングを含めて、ビルドアップ、ポゼッション、フィニッシュまで自分たちが意図的に攻撃を構築していくことに取り組んできました。

またボールを奪われた後の切り替え、攻撃をするためにボールを奪い返すことにフォーカスして取り組んできました。今日は前半の入り方で町田に少し勢いを与えてしまいましたが、修正してゲームの中で状況判断をして、90分間アグレッシブにプレーできたと思います。取り組んできたトレーニングの成果が、少し結果として表れたと思っています」

ーー先ほどの話の中で中断期間に取り組んできたトレーニングの成果が少し結果として表われたとの話でしたが、大量得点を取れた中で「少し」という言葉を選んだ意図を聞かせてください。
「積極的にやってくれたことは評価しています。ただゲームの中でミスもありましたし、もっと精度を上げなければいけないです。またボールの奪われ方、そして失点したことは修正しないといけません。Jリーグに向けて修正していくべきことを踏まえて、全般的に評価を下したいがためにそういう言い方になりました」

 

■遠藤康(鹿島)
続けていくことが大事
「勝てたことがなによりです。どこにでも勝てる自信はありますし、周りが騒がしくても自分たちのことができれば、勝てると思っています。(3人目の動きや中に入っていく人数とか前半戦に比べてだいぶ整理できているのでは?)今回の相手が特殊なチームであったこともありますし、それでも中に入っていく人数が増えるのは良いことなので、続けていくことが大事なのかなと思っています。

つなげる場面とつなげない場面もありましたが、ボールを失ったあとでもすぐに回収できる状況を作っていくことが大事かなと思っています。ビルドアップの成功・不成功よりも失敗したあとにどうするか。そのことのほうが大事だと思います」

 

■鈴木優磨(鹿島)
崩しの形が素晴らしかった
「前半の早い時間帯に点が取れたことが大きかったです。ゴールシーンはそれまでの崩しが素晴らしかったので、当てるだけでした。W杯は全部が刺激的です。見るものすべてが刺激でいっぱいです。どのチームにも素晴らしい選手がいるので、盗めるものを盗むことを考えています。(中断期間中から)攻めに比重を置いて、練習ができています。ゼルビアさんがボールサイドに寄って守備をしてくるので、サイドチェンジを多用しながら戦うことはある程度できたのかなと思っています」

 

■安西幸輝(鹿島)
リーグ戦に向けて、良い弾みになった
「(昨季ヴェルディで対戦しているため)町田のことはイメージしやすかったですし、片側に寄せてくることがわかっている中で(内田)篤人さんから良い形でのサイドチェンジのボールがきました。アシストの場面は中をしっかりと見て、合わせることができました。Jリーグ再開に向けて、良い弾みになったと思います。まだこれから体が慣れてくると思います。天皇杯でも良いゲームができましたし、リーグ戦につなげていきたいですね」

 

■内田篤人(鹿島)
後半戦は試合に絡めるようにしたい
「やっぱり日本の夏は暑い。日本、すごいよね。キャンプもすべてをこなしましたし、前半戦はなんだかんだでけがあったので、後半戦は多少押さえる部分はあっても試合に絡めるようにしたいですね。頑張るチームに対しては少し引いてこぼれたところを狙ったほうが効果的です。外国籍選手と対戦するわけではないですしね。1点目を取れたことが大きかったですし、相手の問題はありますが、どんなJ1の相手でも、暑くても、涼しくても、優勝争いに絡んでいる時期でも、とにかく点を取らないと勝てないですから。守備の強さは最低限あるので。

特にトシ(田中稔也)はずっとテンションを落とさずに練習に取り組んできたから(出場機会があって)うれしいね。結果は出なかったですが、結果を出さないといけないし、僕たちが結果を出せるようにしないといけません。誰が見ても頑張っているので、彼のような選手がチャンスをつかんでほしいです。また1週間、ちゃんと練習してリーグ再開に臨みたいです」

 

■相馬直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「水曜のナイトゲームで、素晴らしい鹿島アントラーズというチームがこの野津田にやってくる中、たくさんの方々に集まっていただいたことをうれしく思っています。ファン・サポーターの方々には力のある鹿島さんに対して、食らいつく姿をもう少しお見せしたかったのですが、早い時間帯に失点を喫したことも影響しましたし、先に失点をしたことで前に重心が行きにくい展開となりました。相手はやはり素晴らしい相手でしたし、リーグ戦を翌週に控えた中で相手も良いメンバーで戦ってくれた影響もありますが、私自身としては、120%の力で選手たちを戦わせることができなかったことを悔しく思っています。

実際の試合に出ているメンバーやベンチのメンバーは強いな、うまいな、速いなと思ったかもしれません。それでも、そう思う前に自分たちから仕掛けることで、逆にこいつら嫌な相手だなと思わせることができませんでした。それができなかったのは、早い時間帯に失点を喫していたことも影響しました。

試合全体を通して、ひっくり返す展開も作れましたし、自分たちらしい時間帯も作れたと思います。ただ一番最後で簡単にやらせてくれないこと、そして決め切る部分での違いを見せつけられるような形になりました。下のカテゴリーにいるチームとして、スタートから挑戦できるメンタリティーを作れるようにしていきたいです。でも選手たちは最後まで戦ってくれました。頭が下がる部分はありますが、また顔を上げて、次の試合に向けての準備を進めていきたいと思っています」

ーー今日のスタートの11人は、栃木戦から残した部分と変えた部分はありますが、その狙いを教えてください。
「2回戦の岡山さんとのゲームは、僕の中で非常に心が震えるゲームをしてくれたと思っています。120分を戦い切り、今日の挑戦権を勝ち取ってきてくれたことで、この野津田に鹿島アントラーズという素晴らしいクラブを迎える機会を得ることができました。その選手たちをすべてピッチに立ってもらったわけではないですが、彼らが勝ち取ってきたことに対してはリスペクトと言いますか、そういう意識を持って試合に入っていくことにしました。

もちろんその中でその試合には出ていましたが、コンディションが悪かったり、実際その時、けがをしている選手もいました。また、もちろんわれわれがリーグ戦の間という状況でもありますし、そういうことも踏まえて、メンバーを代えた中でも、なんとか自分たちのチャレンジするパワーを出せるのではないかという考えの下、ピッチに立ってもらいました」

ーーメンバーをいろいろと代えた中で、チームとしてやるべきことをどの程度、表現できたのか。そういった観点で試合を振り返るといかがでしょうか?また、実際に相手のクオリティーの高さを感じたことは、具体的にはどんなことでしょうか?
「一つひとつの止める、蹴るという部分、もう一つはボールを奪った瞬間に前へ出ることや、動き出しも含めて、普段のJ2では見られないスピード感であることを痛感しました。もちろん、動きながらスピードが上がった中で、しっかりと動いている選手の前にボールが入っていくことなどがしっかりとできていました。

ただトランディションの部分で多少そういう現象が起きることは仕方がないのですが、そうでない部分で彼らが余裕を持ってプレーできれば、そういうプレーができるので、余裕なくプレーできるようにする、そういう状況を作りつつ、決定機で仕留める機会を作りたかったです。重心が下がったことで相手の頭を下げさせることがなかなかできませんでした。逆にわれわれのほうが構えさせられるような展開になってしまったのかなと思っています」

ーーそうなった原因はメンタリティーでしょうか?
「もちろん早い時間帯に失点をしたことは非常に大きかったですし、われわれはこの大会において、失うものがないチームです。もっとやれたと思いますし、そういうことができる選手たちだと思っています。そういう意味ではたとえ先に取られたとしても、へこたれないというか、そういうものをゲーム前に植え付けて試合に送り出せなかった、僕の力不足です」

ーー1点を返せたという意味を、今後のチームへのプラスの効果について、いま監督はどのように考えていますか?
「0じゃなくて、やはり一つ取れたことはまったく違うと思っています。ただもし点を取れるにしても、われわれらしい形で点を取れたら良かったなという思いは正直あります。ただそういう形もいくつか作れたと思っていますので、大差がついたとはいえ、そういう流れで点を取れたら、選手たちはもっと自信がついたのかもしれません。今日出た選手たちは、相手の力を感じた部分はあったでしょうが、これぐらいやれば通用するんだと感じることもあったと思います。それをぜひともリーグ戦に生かしてもらいたいですし、個人個人が高い目標を持ってもらえたらなと思います」

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ