「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】相馬直樹監督「ファン・サポーターのみなさまの思い、エネルギーは選手たちにとって大きな力になった」+熊本・渋谷洋樹監督、安柄俊【ロアッソ熊本戦/監督・選手コメント】

■明治安田生命J2リーグ第23節・7月16日(月・祝)19:00キックオフ
えがお健康スタジアム/3,571人
ロアッソ熊本 2-3 FC町田ゼルビア
【得点者】熊本/31分 安柄俊、47分 安柄俊 町田/9分 中島裕希、19分 中島裕希、70分 藤井航大

 

■渋谷洋樹監督(熊本)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「西日本豪雨で復旧・復興に向けて今でも大変な思いをされている方もいらっしゃると思いますし、被害にあわれた方、残念ながら亡くなられた方へ、お見舞い、お悔やみ申し上げます。2年前には熊本地震もありました。今はそういう方々もいる中でJリーグが開催され、われわれは今日ホームで戦いましたが、残念ながら今日はスタートから本当に戦いを挑んでいるのかなというほど、選手たちがプレーをやめるというか、プレーをしないように見える非常に残念な戦いだったと思います。

これはもう、最初の15分間は、ファン・サポーターの方々がお金を払って見にくるような試合ではないなと思いました。こういう試合を見せてしまったことは監督として、申し訳なく感じています。選手たちは0-2になってから気持ちを盛り返してプレーしていましたが、0-2になる前からボールへの出足を早くすること、前へ出て行くこと、一歩二歩でも早くプレーする、タフに戦うことはもっともっと早くからやらないといけないと思います。ただそうやって選手たちが戦ってくれた姿を見て、私自身も思うことがありました。

ハーフタイムには最低限戦う気持ちを出して、同点に追いついてほしいと話して選手たちを送り出しました。また被害にあった方がいる中でサッカーができる幸せを噛み締めながらプレーしてほしいと伝えて後半に入りました。その中で後半の早い時間帯にエンジン全開で追いついたことは誇りに思います。彼らは0-2から2-2にまで追いつく力を持っているんだと思えました。ただ3点目が試合を決定づける中、われわれが押し込めている中で3点目を取るべきでしたが、それを取れなかったことが大きな敗因となりました。

もちろん、試合の入りや2-2になってからもっと勢いを持って3点目を取りに行く気持ち、前への推進力がなかったことがこの結果につながりました。今日の結果を真摯に受け止めて、相手の一番の強みであるセットプレーから3点を奪われたことはとても悔しいことです。われわれはつなぎながらボールを動かして点を取るサッカーをやりましたが、その中で2点しか取れずに3点目、4点目を取れなかったのはもっとトレーニングが必要ということです。

タフに戦い、われわれがクイックネスを持って戦いたい中で相手がうまく抑え込んでいた部分もあります。われわれが良いポジションを取って、攻めようとする中で、そこを相手が抑えてきましたが、駆け引きの部分でも負けていたのかなと思っています。この結果を糧にして、来週から3連戦があるので、来週に向けて準備をしていきたいです。

繰り返しになりますが、最初の15分で戦う姿を見せられなかった。このことに関しては、ファン・サポーターの方々に申し訳なく思っています。残念なゲームを15分を見せてしまったことは、ほかのゲームの結果でお返ししたいと思っています。ありがとうございました」

ーーシステムを3-5-2に戻した狙いと手ごたえを教えてください。
「得点が取れたことは良かったんじゃないかと思います。でも失点したので……」

ーー先ほどのお話に出たプレーをやめる、しないように見えたというのはどういうことでしょうか?
「ボールを動かすためにポジションを取っている選手と、前に蹴りたいという選手のチグハグさでそういうふうに見えたということです。ボールを持った時に、前に蹴ってほしい選手と、ポジションを取ってサイドチェンジしてほしいという選手の意思疎通が、最初の15分はなかったと思います。

前に蹴ったは良いけど、セカンドボールを取られて背後に蹴られて持っていかれるとか。そういうところで相手のペースになってしまったので、戦っていないように見えるというのはそういう部分です。

あと、0-2になってからエンジンがかかるまで、相手のプレッシャーに対してもっとボールをプロテクトしてもいいのに、プロテクトしていなかったです。早く自分からはじくような感じでプレーをしていたので、もっと自分でキープできるのに、早く味方に渡してしまうとか、プレッシャーを受けていないのに違う選手へ出してしまうので、相手は楽に守備ができてしまいます。

プレッシャーのかかっていない選手がボールを持って時間を作ってほしいのに作れずにボールを持った時に戦っていないように見えるというか。攻撃をしない、相手に挑まないというか。前に挑まないから相手も下がらない。パスを横に出してカットされるという形があったんじゃないかと思います」

ーー後半のスタートから坂本選手を入れました。黒木選手と交代した理由は?
「1失点目で中島(裕希)選手をマークしていて、セットプレーのマンツーマンでやられてヘッドダウンして、その後もボールを触れないというか、立ち位置を取れないとか、いろいろなことを思いながらプレーしていたんじゃないかと思いました。(黒木)晃平にしては珍しく、なかなか自分のリズムでプレーできていないなということを感じました。あとは前半に1点を返したのと、坂本選手もずっと調子が良く、彼はそういう力を持っていますから、少し攻撃的にするという意図で交代しました」

ーー勢いのある時に3点目が取れなかったことも敗因とおっしゃいましたが、3点目を取るには、具体的に何が必要でしょうか?
「冷静さだと思います。2-2になって、その後も勢いを持って取りに行くのか、2-2になったのでコントロールしてサッカーをやるのか、その部分ではベンチワークもあるかもしれません。

町田さんはサイドにコンパクトにするのでサイドチェンジが有効である、という中で、やっぱり冷静に戦うということが必要です。もっとサイドチェンジを多くして、相手を広げてから決着するということをやらなきゃいけません。勢いよく(田中)達也のところや(坂本)広大のところへボールは行ったけど、クロスを入れて相手に取られる、それでまた守備に回るという時間が続いて、最終的に失点に至りました。

もっと落ち着いてゲームをコントロールして、3点目を取りに行くという作業に今度はなると思います。まずは1点を取りに行くために100%、120%の力をかけて取れたので、本来ならそこで冷静に落ち着いてゲームを進めていけば、3点目を取られずにバランスよく攻撃して、1点で仕留めて、ということになっていくんじゃないかと思います。

勢いを持っていってチャンスはあったと思うので、そこで3点目を取る、勢いを持った時に取ることも一つですし、ダメだったらゲームをコントロールして、相手の弱点についてもトレーニングでやっているので、そこをしっかりと、トレーニングでやってきたことをやってもらえればというところもありますし、やらせなければいけません。

勝っていないことで勝ちたい、前に急がなければいけない、そういうものも最終的には失点につながってしまったかなと。強いチームというのは、2-2になった時に自分たちのリズムに変えられるし、相手は少し疲弊してきているということを感じることがあると思うんですけど、そういうところを突けなかったのは、まだまだやっぱり、いまのこの順位にいるということが私自身、残念ですが、そこをしっかりとやっていかなきゃいけないなと思います。

ただ10人になってもチャンスは作ろうとしていましたし、下がらずにプレーしていたことは評価したいと思います。選手たちは勝ちたいという気持ちで、ホームでの勝利を目指してあきらめずに戦ってくれたことは次につながると思いますし、選手たちのこの頑張りを次の甲府戦につなげていきたいと思います」

 

■安柄俊(熊本)
ゴールが勝利につながらず、もどかしい
「坂本のクロスに対して、ニアでミナ(皆川)がつぶれてくれたおかげで決めることができました。久しぶりのゴールがチームの勝利につながらなかったのはもどかしいところです。今後、続いていく試合でもっとゴールを決められるようにしていきたいです。(2トップについて)久しぶりではありましたが、前半戦でもやっていたことですし、不安はなかったです。良い距離感でやることは意識していました。(2-2に追いついて勝ち越しまで持ち込めなかった原因は?)0-2という状況になってから押し込める形になりましたし、2-2になってからイケイケの雰囲気にはなりましたが、セットプレーから失点しない集中力とか、攻撃陣がチャンスで決め切る力とか、そういうプレーが必要だったかなと思います」

 

■相馬直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「今日は3連休の最終日でしたが、非常に遠い熊本での試合に足を運んでくださって、われわれをサポートしてくださったことにまずは感謝したいと思っております。非常にタフなゲームになりましたが、最後まで走り切って勝ち点3を持って帰ることができました。ファン・サポーターのみなさまの思い、エネルギーは選手たちにとって大きな力になったと思います。ありがとうございました。

われわれにとっては初めて30度を超える中でのゲームになりましたし、非常にタフな暑さの中でのゲームでした。ただ立ち上がりから前へ出ることを狙っていましたし、熊本さんはわれわれの前へ出て行く勢いを抑えたいという意図があったと思いますが、われわれとしては前から奪いに行くという狙いから取ったリスタートで幸先良く先制することができました。

ただやはり次第に出足が遅れ始めていたように、われわれは天皇杯を挟んでのアウェイゲームにやってきたことを含めて、コンディションの差が、前半の途中から少し出始めていました。その中で次第に剥がされるようになってきて、1点を取られて後半へ折り返す形となりました。

後半に入ってもう一度、自分たちのボールを奪いに行く部分のメリハリをつけようという話をして選手たちを後半へ送り出したのですが、後半の立ち上がりに点を取られてしまい、追いつかれてしまったことは予想していなかったことでした。ただ追いつかれてからは、熊本さんも少しペースが落ちたと言いますか、お互いにキツさが出始めた中で、前半の途中はほとんど攻撃の時間を作れませんでしたが、後半の途中からは少しわれわれの時間を作ることができるようになって、そういった中からセットプレーという形でしたが、勝ち越しゴールを奪うことができました。

最後は相手が一人少なくなった中、足をつるウチの選手が多かったのですが、非常にコンディションの差があったなと感じています。ただそういった中でも最後までタフに戦い、よく勝ち切れたと思っています。そうした中、また次も中4日でホームに戻りますが、今回のことをまた一つの糧にしてと言いますか、参考にしながら、次のゲームはもう少し全体のパワーを良い方向に持ちながら勝ちを続けていけるようにしたいと思っています」

ーー2点あります。週中の天皇杯の鹿島戦では悔しい結果となりましたが、今日の試合でも2点差を追いつかれる中で最後はタフに勝ち切ることができました。この試合で勝つためにチームに対して働きかけてきたこと、選手たちに強調してきたことは何でしょうか?
また戸高選手をトップの位置で先発起用しました。その意図や狙いを教えてください。
「まずはこの前の天皇杯のこともありますが、われわれにとってはリーグ戦のゲームで、後半戦のスタートとなったホームの栃木戦が栃木さんも9戦ほど勝ちがない時のゲームで、今日も熊本さんも7戦勝ちがない状況でした。リーグ戦の前節は、栃木さんのどうしても勝ちたいというエネルギーに正直飲み込まれた部分もあったゲームだと総括しています。選手たちにもそう伝えていますし、そういうことはやはりあってはならないことです。

天皇杯では対戦相手とのカテゴリーも違っていますし、いろいろな条件を踏まえると、難しい部分もあったのが正直なところでしたが、それとこれとは別の話です。まずはその1試合に勝つことにかける思いで栃木さんには負けていました。今日の試合でそれは絶対にやってはいけないという話をして選手たちにはピッチに立ってもらいました。

選手たちは立ち上がりから非常に勝ちたいという思いを良く出してくれたと思いますし、最後は非常に苦しい状況の中、全員がファイトしていたと思いますが、なんとか勝ち点3に結びつけてくれたと思っています。そういった意味では本当に栃木戦の反省をきちんと消化してくれましたし、これはわれわれの今後の力となるのかなと思っています。

二つ目の質問ですが、(戸高)弘貴のトップでの起用は、天皇杯のゲームで非常に良いプレーをしてくれたことが先発起用の理由の一つです。またチェイシングの面でもそうですし、スペースへ出ていくという部分で機動力がある程度は必要になるだろうという意図で、弘貴にはそういったことを期待してピッチに立ってもらいました。

立ち上がりはチェイシングをすることでディフェンスの面で大きな活躍してくれたと思いますが、少し頭上へボールが行ってしまう形が多くて、彼の良さをなかなか出しづらい状況だったとは思います。もう少し落ち着いて、下でピッチを使って、もう少し前へ出て行けるシーンを作れれば、弘貴がもっと生きるシーンが増えてくるのかなと思ってます」

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