「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】相馬直樹監督「この試合にかける気持ちを持って、敵地に乗り込んできた思いが最後に結果となって出た」+松本・反町康治監督【松本山雅FC戦/監督コメント】

■明治安田生命J2リーグ第29節・8月18日(土)19:00キックオフ
松本平広域公園総合球技場/15,841人
松本山雅FC 0-1 FC町田ゼルビア
【得点者】90+5分 平戸太貴

 

 

■反町康治監督(松本)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「サポーターのみなさんには、たくさんアルウィンに集まっていただいてサポートしていただき感謝しております。残念ながら勝利することはできませんでしたが、みなさんの気持ちが乗り移った試合だったかなと思います。われわれは5つ連続して勝っていましたが、果たして内容と結果が一致しているかというと必ずしもそうではなかったので、この結果を真摯に受け止めて仕切り直しをしてやっていくしかないと思っています。

町田さんは見てのとおり実に分かりやすいチームなのですが、それでも対応するのは難しいというか逃げられるというか、そういう展開になりましたよね。驚きはありませんでしたが、結局チャンスで決めるか決められないかという差が結果に出たのかなと正直思っています。それがサッカーの世界では大事なことであって、同じようなFKであっても決められなかったのと決められたという対比を見ても、われわれはまだトレーニングも含めて力不足ということを感じました。この段階で出てきたことを逆にうまくキャッチして、これからやっていかないといけないと思います」

ーー今日は普段以上に長いボールの多かったゲームとなりました。
「結局、町田さんはハイプレッシャーのチームなんですよね。唯一、時間ができるのはサイドしかない。今日でいうと(岩上)祐三と石原(崇兆)のところですね。もし同じようなシステム同士でやっていれば、もっと時間のできることなく良いところのなく進んでいくような試合なのですが、そこで違いを見せるには、そこからアクションを起こさないといけないということです。

前半は悲しい話かもしれませんが、結局サイドでボールを奪って、そのボールを一つつなごうとしてファーストパスを奪われて、ショートカウンターを食らう形になりました。ボールサイドで奪っても、向こうは人数が過多なので逆に逃げることができません。逃げればチャンスになりますけど、そうじゃないときには一つ越して高崎の位置でチャンスにしたほうが向こうの前への圧力を避けることができます。後半はそれを実行して、良くなりましたよね。傍から見ているとボールが行ったり来たりする、バレーボールのような試合だったかもしれませんが、それは勝つための手段ですから止むを得ないです。それが奏功した部分もいくつかありましたから

町田と試合するときには、大体こういうゲームになります。だからセットプレーが大きくゲームを左右すると考えていました。これで町田さんのセットプレーからの得点は23点目ですからね。FKから9点、CKから10点。素晴らしいですよ。ではウチはCKから仕留められたかというと、溜息で終わってしまったというゲームだったかもしれません」

ーー本来であればプレッシャーを逃げて、自分たちが主導権を握るサッカーをしたいはずだが?
「そうですね。でも、そのクオリティーは少しないですね。ワンタッチ、ワンタッチ、ワンタッチ、ワンタッチで向こうのプレッシャーをはねのけて、4回パスがつながれば最終ラインで勝負できます。ただいまのわれわれの力であると、残念ながら少し難しいです。J1上位の川崎や鹿島であればできるかもしれません。町田さんも鹿島と対戦して1-5ですか?そういうふうになるわけです。

そういうプレッシャーを使いながら逃げられるチームと、それができないチームの差です。それを戦術でカバーしないといけないのがJ2ですから。能力差、技術差はほとんどないですよ。そういう意味では後半はそれほど悪くなかったですけど、ラストパスの精度やシュートの精度は残念ながら高くなかったです。それはウチが特別高くないわけであって、ほかのチームも同じですからね」

ーー後半15分のセルジーニョのシュートから松本に勢いが出てきたように見えたが?
「ハーフタイムにかなり修正して良くなったので、それがそのまま中盤でボールを拾えるようになった一つの理由だったかもしれません。それで前で起点を作って越していって、そういう意味でわれわれも町田さんと同じようにバイタルエリアでの攻撃がなくて、どうしてもボールがサイドに行ってしまうわけですから、そのサイドから逃げるには同サイドしかないわけですよ。逆サイドにも2、3本あってチャンスは作れましたけど、向こうも走れる選手が多くて、スライドのスピードも速いですよね。

それも分かった上でゲームをしていましたが、走力には感服させられました。われわれも負けずに走りでは勝たないといけない部分はありましたが、特別負けているとは思わなかったですけれども、スピードという意味では最後にちょっとファウルしたのは、そういうことも影響しているのかなと思います。全体的には前節の讃岐戦に比べれば、キレやパフォーマンスは良かったですよ」

ーー今日の敗戦を踏まえて、これから残り試合に向けての決意を聞かせてください。
「われわれは首位にはいますけども、あぐらをかいているつもりはないですし、選手もそうです。みなさんが一つ負けたくらいでワイワイ言うのもおかしいと思います。あくまでも実力の問題であって真摯に受け止めますし、これから発奮して頑張らないといけません。言い方を変えると勝利が続けば、どうしても足元を見られない部分があります。その意味では良い薬になったと思うし、そうじゃないといけません。例えば後々に振り返るとすれば、このゲームに負けたことがターニングポイントになったと言えるかもしれません。そこから何ができるかを、もう一度見直していきたいですね」

ーー交代枠を2枚残す形で試合を終えたが、けが人がいたことも理由だったのでしょうか?
「0-0という試合展開でもありましたし、今日は涼しかったこともあってみんなのパフォーマンスが落ちているわけではありませんでした。向こうはセットプレーの高さのあるチームですから、高崎も代えづらかったですし、いろいろなことを判断した結果です。けが人うんぬんは理由にはならないと思いますし、ゲームが動いていれば選手を入れる時間帯も当然変わってきますから、0-0という試合展開でそうなったということは間違いありません」

 

■相馬直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願い致します。
「東京・町田から2,000人ほどの方々がわれわれのサポートに来ていただきました。本当に最後の最後まで非常にタフなゲームだったのですが、最後に勝ち切って一緒に勝ち点3を喜べることは非常にうれしいですし、われわれの戦いを最後までアシストしてくれたみなさんにはまずお礼を言いたいなと思います。

なお、ゲームのほうですが、非常にタフなゲームとなりました。お互いに長いボールが多く、ロングボールでの競り合いでしっかりと勝つか、そしてそのセカンドボールをどちらが拾うかという展開になりました。そういった意味では前半はわれわれのほうが少し競り合いで勝つ回数やセカンドボールを拾える回数が多く、相手の(陣地の)奥に入っていけましたし、その中でチャンスも作りながらゲームを進めることができたのではないかなと思っています。

ただ、後半はやはり首位の松本さんが相手ですので、前半から修正をしてきたことも含めて、もう一つ前で長いボールを収められる、そして前でセカンドボールを回収される回数が、後半は相手のほうが多く、われわれのほうは逆に減ってしまいました。そういったことが、自分たちの時間帯が少なかった原因になったゲームだったかなと思っています。

その中でも前でボールが収まった時には、前・後半ともにチャンスを作れていたので、そういう中で得点が生まれるかなと期待していました。ただ後半の残りの時間というのは、なかなか前のポイントで自分たちが良い形でボールを持ち出すという回数を作れずにいました。そして、松本さんのほうにそういうシーンがいくつか訪れたこと、さらに相手のセットプレーを含めて、本当に我慢の展開だったと思っていますが、本当にそこをよくしのいだことが大きかったです。そして松本さんもホームですので、前がかりになる中で、ひっくり返してチャンスを作れるかなと思っていましたが、最後の最後、もう少しで試合が終わるという時間帯に、あのような形でゴールに迫るシーンを作れた中で得たFKを(平戸)太貴が決め切ってくれました。

粘り強く戦ったことで、そこまでのゲームを作ってくれた選手たち、また最後のココというところで、集中してチャンスを作り出した他の選手たち、そして実際に点を取ってくれた太貴もそうですが、前節のわれわれは3-0から3-3に追いつかれるという、なかなかないゲームをしていた中で、この試合にかける気持ちを持って、敵地に乗り込んできた、そうした思いが最後に結果となって出たのではないかと思っています。われわれは1試合少ない状況ですので、今日で3分の2が終わって、残り3分の1になりますが、また目の前の1試合に向き合いながら戦っていきたいなと思います」

ーー3枚目の交代のカードはアディショナルタイムに入って2分ほど経った後だったと思いますが、そこまで交代をカードを切らなかった、もしくは切れなかった理由を教えていただきたいのと、最後にドリアン・バブンスキー選手を選択した理由を教えてください。
「今までのお話させていただいたことと付随する部分もあるのですが、まずは一つ序盤にわれわれのキャプテンである井上をけがで欠かなければいけなくなったことで、交代カードを一枚切っていました。土岐田はリーグ戦自体もそうですが、久しぶりの公式戦で90分実際に持つのかということも考えると、ギリギリまでもう一枚をなかなか切れませんでした。

もう一つの理由は、もう少し地上戦で勝負をしたかったですし、もう少しオープンな展開になって地上戦で勝負できるかなと思っていたのですが、松本さんの圧力が非常に強くて、なかなか地上でボールを運ぶシーンを作れず、長いボールを蹴らされて、セカンドボールを回収される形が続いていました。

セカンドボールを回収したいという意図があったので、セカンドボールワークができる選手を抜きたくなかったというのも理由の一つですし、プラス一番最後にドリアンを入れたのは、少し高さの部分でセカンドボールを取るのにマイボールになりやすくなるかなという可能性もありました。あの流れの中ではやはりワンチャンスがくると思っていましたので、そういう意味ではセットプレーという部分で太貴を残すという選択をしました。ドリアンを入れる選択をしたのも、本当に時間がなかったのでワンチャンスを作りたいというつもりで入れました」

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