「ゼルビアTimes」郡司聡

増田卓也/長崎在籍時代から不変の姿勢。新天地に懸ける決意【期間限定・東風平便り】

今オフの移籍市場で町田に加入した増田卓也。一昨季はV・ファーレン長崎でのJ1昇格に貢献するなど、実力者が町田にやってきた。沖縄でキャンプを張る現在。長崎在籍時代を知る記者が、沖縄でトレーニングに励む増田の下を取材に訪れた。

▼「J1昇格をもう一度」

変わらない姿がそこにあった。

全体練習が終わると黙々とジョギングをこなす。長崎でも毎日、見られた光景だった。全体練習後に自身で決めた体幹トレーニングとジョギングをこなすことが増田にとってはルーティン。この継続する力が、選手としての増田を支えている。

V・ファーレン長崎ではJ1の昨季こそ、徳重健太に先発の座を譲ることも多かったが、決して実力に大きな差があったわけではない。J1昇格を決めた2017年には42試合すべてでゴールマウスを守り抜いたように、その実力には確かなモノがある。派手なビッグセーブを見せるタイプではない。ただ、それはGKとしての波の少なさ、ピンチをピンチに見せないように事前の予測で防ぐというプレースタイルが大きく影響している。

今季は2年を過ごした長崎から町田へと移籍。町田の雰囲気について「練習から全員が集中して、素晴らしいトレーニングができています。そのチームの一員として、しっかりと勝利に貢献できるように今までと変わらず、頑張っていきたい」と話し、引き締まった表情を見せた。ただ、「今までと変わらず」と話したところは表情を崩した。長崎での練習、試合でのプレーを見ていた記者に対して、話していたからだろう。

確かに誰よりも実直に練習に打ち込んでいたのが増田だった。その姿勢は若いGKが多い町田にとっても、ピッチ内外で好影響をもたらしてくれるはずだ。サンフレッチェ広島で鍛えられた足元の技術、長崎でのシーズンを通して試合に出続けるという経験は、町田の戦術の中でも生きるだろう。

「全員攻撃、全員守備でハイラインで前からボールを奪いに行く、ゴールを仕留めに行くのが町田のサッカー。GKとしては最終ラインの背後のケアは必要になる」とすでにイメージは作り上げている。町田で迎える今季、「サッカー人生を懸ける気持ちですし、J1昇格をもう一度、違うチームですけど、達成できるようにやっていきたい」と強い決意で新天地へとやって来た。

練習からの一つひとつに全力。それを継続する力が増田にはある。増田が増田らしさを貫くことに疑念はまったくない。その存在は必ずや、町田の大きな力になるはずだ。

Text&photo by 杉山文宣(現地特派)

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ