「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】“ホームジャック”したサポーターへ。守護神から感謝のメッセージ【横浜FC戦/コラム】

■明治安田生命J2リーグ第13節・5月12日(日)14:00キックオフ
ニッパツ三ツ沢球技場/5,581人
横浜FC 1-1 FC町田ゼルビア
【得点者】横浜FC/52分 オウンゴール 町田/6分 森村昂太

▼「ホームのような雰囲気を作ってくれたことに感謝」

ピッチ中央で整列を終えた両チームの選手たちが、それぞれのエンドに散っていく。迫るキックオフの瞬間。その時、隣にいた横浜FC担当記者がこう呟いた。

「ホームジャックされた感じですね」

“隣町”とも言っていい横浜市のニッパツ三ツ沢球技場には、約900人のゼルビア・サポーターが詰めかけたという。バックスタンドに陣取っていたファン・サポーターに対しては、ゴール裏の中心部が働きかける形でゴール裏で声援を送ることを彼らに呼びかけ、チームの勝利を後押ししようと、最高の雰囲気作りに努めた。

負傷離脱中の中島裕希ら、ベンチ外のメンバーもスタンドに駆けつける中、経験豊富な李漢宰ですら、「アウェイだけど、ホームのような雰囲気だった」と吐露している。ゼルビア・サポーターの大声援が、歯を食いしばって戦う選手たちの背中を後押しした。

1-1で迎えた終了間際、足をつっているロメロ・フランクが、愚直に決勝点を目指して、敵陣深くまで入り込む。ボールに追いつき、体をピッチに投げ出してでも、ボールを味方につなごうとした。間違いなく、ゴール裏に集い、声を枯らすサポーターたちの声が、選手たちの背中を突き動かしていた。

サポーターの声援を背に戦ったGK増田卓也は言った。

「今日は何よりも、サポーターのみなさまがアウェイゲームでも、ホームのような雰囲気を作ってくれたことに感謝しています。その中で勝てなかったことは残念ですが、大声援で支えてくださってありがとうございました。本当に勝ちをプレゼントしたかったです。この悔しさは次のホームゲームでぶつけたいと思います」

サポーターという人種は、自分たちの声でチームを勝たせられると、本気で信じている。かく言う自分も、(驕りかもしれないけど)自らが枯らした声でサポートチームが勝ったと自負できる瞬間に何度も立ち会ってきた。横浜FC戦後、チームを率いる相馬直樹監督は「選手たちが最後までファイトして戦い続けられたのも、サポーターの方々のエネルギーが大きかった」と話していた。

横浜FC戦はあと一歩勝利へ届かなかったが、ホームをジャックしたサポーターの声援が、最後の最後まで選手たちの足を動かす原動力となった。指揮官による前述の言葉は、決してお世辞ではない。

Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)
Photo by ©︎FC町田ゼルビア

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