「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開】ランコ・ポポヴィッチ監督「われわれにとっては、モチベーションでしかありません」【FC町田ゼルビアクラブハウス完成お披露目会レポート】

2月11日、クラブは新拠点となる東京都町田市三輪緑山のクラブハウス完成お披露目会を実施。ここではお披露目の会の様子や、各参列者挨拶をお伝えする。

○藤田晋オーナー(サイバーエージェント代表取締役社長)
「社内では「いつクラブハウスは完成するの?」と何度も聞いていたくらい待ちわびた完成でした。完成お披露目のこの日を迎えられたことをうれしく思います。一番のサッカークラブになることを目指そうと、2018年に経営権を取得して、クラブ運営に携わっているわけですが、すでに出来上がったような状態にあるところから始まったメルカリやミクシィには負けられないと思っております。ポポヴィッチ監督体制も3年目ですし、全員の心を一つにして、J1昇格という目標に立ち向かっていきたいです。町田市民のみなさま、また近隣に住む方々が近くにゼルビアのクラブハウスがあることを誇りに思ってもらえるようにしていきたいと思います。本日はありがとうございました」

 

○大友健寿代表取締役社長
「言葉が詰まってしまいそうになるのは、ここにいらっしゃるみなさまに力を貸していただいたこともあり、みなさまの顔を見ると感謝の思いがこみ上げてくるからです。こう見えても、私は元選手でして、一時期は子ども用のクレーのピッチのグラウンドで練習をすることもありましたし、それでもお子さんにグラウンドを貸さなければならない時は、公園で練習をすることもありました。そんな時代を経て、クラブとしての力を付けて選手の入れ替わりも進む中で結果を残し、人工芝のグラウンドで練習できるようになりました。支えてきてくださった方々のおかげで今日を迎えられたことに感謝しています。

こうして私たちにとっての家ができました。これまでは事務所と練習場が離れていることもあって、練習に出ていくまでの選手の様子を確認することはあまりありませんでしたが、クラブハウスでは練習の90分前から準備を始め、そこから体を作って練習に出ていく。プロとして一番の状態でピッチに入っていく。選手たちの努力を知る意味でもこの家ができたことをありがたく思っています。

またクラブハウスの整備にあたりましては、地域の方々のご理解をいただけたからです。本日出席していただいている加藤久さん(現・京都)が地域の方々と一緒に土台を作っていただきました。ありがとうございます。町田市のみなさまのご協力があって、ここまできました。散策路は歩けるようになっていますし、近隣の方が散歩できる環境にあります。Jリーグクラブにとって、珍しい環境でもあります。非公開練習の際はどうしようか…という難点もありますが(苦笑)、将来的にはベンチで囲碁将棋をやっているような近隣住民の方がいれば、うれしいなと思う次第です。みなさまのご支援を胸に刻み、J1に進んでいきたいと思います。本日はありがとうございました」

 

○隈研吾(クラブハウスをデザイン)
「緑に囲まれた利点を生かせるように、温かみのある、居心地の良いクラブハウスにできればと、デザインを進めてきました。クラブハウスはSDGsにもつながっていく建材、素材も使っています。ここで練習をしていただいて、選手たちには強くなってほしいと思います。私はパリのスタッド・ドゥ・フランスの最寄の新駅前の設計も担当しています。24年のパリ五輪の主要会場になりますから、なんとしてもあと2年で完成させなければなりません。サッカーとの関係性が深い私は、ゼルビアの選手たちの成長を願っています。本日はありがとうございました」

 

○石阪丈一町田市長
「クラブハウスの完成、誠におめでとうございます。隈先生、ありがとうございます。天然芝2面のグラウンドができました。これでJ1仕様の施設は全て整いました。思えば10数年前、照明灯のないスタジアムで試合をしていた時代もあります。私はゼルビアだけを応援しているわけではありません。サッカー文化、スポーツ文化を応援しています。ゼルビアはその一部分です。野津田に関しては、芝生席を椅子にしたり、メインスタンドを改修したり、5,000席増やしたり、長年やってきましたが、クラブハウスの完成が仕上げになります。あと残っているのは、J2優勝です。地域のみなさんのご理解があって、このクラブハウスができました。ファン、サポーター、パートナー企業のご協力の感謝の気持ちを噛み締めながら、この日が迎えられたことをうれしく思います。ありがとうございました」

 

○ランコ ポポヴィッチ監督
「私がおよそ10年前、ゼルビアを率いていた当時は、こんな素晴らしい環境が整うとは夢にも思いませんでした。ここまでご尽力いただいたクラブ関係者に感謝しています。私もこれだけ幸せな気分でいっぱいになっていますから、クラブ創設から携わってくださった方々、力を貸してくださった方々は、どれだけ幸せな気持ちでこの日を迎えたか。私にも想像できます。これだけ素晴らしい環境を整えていきただき、感謝の気持ちしかありません。町田ファミリーであることを選手たちには常々言っていますが、ファミリーの家が完成したということです。こうした環境が整ったことは、われわれにとっては、モチベーションでしかありません。感謝の気持ちをピッチ上で結果として残すことで恩返しをしたいです。みなさんに良い報告ができるように、そのことを約束して、ご挨拶に代えさせていただきます。

やはりわれわれは結果を出すために仕事をしています。ここで大きな目標を口にするよりも、日々の仕事で全力を尽くすこと、それを結果で見せることがわれわれの仕事です。チームでまとまって、成熟した、賢くなった、経験を積んだ、強くなった姿をお見せして、良い結果でシーズンを終えたいと思います。ゼルビアへの熱い思いや情熱が、この環境を整えることにつながりました。みなさんの思いを背負って戦います。サポーターのみなさんには昨季以上に、スタジアムへ足を運んでいただき、毎試合戦ってください。よろしくお願いいたします」

 

○下川浩之会長
「昨日の夜、挨拶の練習を一生懸命にしていました。足元の悪い中、お集まりいただき、雪のことを…と考えていましたが、なんと晴天に変わりました。ゼルビアは持っているなと思います。ここにたどり着くまで、いろいろな方のご尽力があり、いろいろな方々の思いがつながってきた結果、今のクラブがあると信じています。(クラブの創設者の一人である)重田貞夫先生が小学校の教員をやっている時に小学校のサッカー大会があり、私は5年生でしたが、その頃、重田先生がこのクラブを設立しました。その延長線上で大友社長が選手をやっており、そのころから非常につながりがあるクラブです。石阪市長も大変サッカーに縁があります。サッカー部出身で、東京五輪では駒沢陸上競技場でボールボーイをやったとおうかがいしました。サッカーが大好きな市長が、4期16年の間にゼルビアをここまでにしてくれたことは石阪市長のおかげです。大変感謝しています。

生意気ながら、今日は指輪をしてきました。2008年に株式会社を設立した際、25名の方に5万円の株を40株ずつ買っていただいて、200万円×25名で5000万円の資本金を作って会社を設立しました。フェローズの志村社長にお声を掛けていただき、この指輪を作ろうと。野球でもチャンピオンリングがあるよねと。1989年にトップチームを設立した日を刻み、ここにJリーグに参入した12年の年号も入れようと、これをつくりました。将来的にこのリングをつけた方々がスタジアムに孫を連れていくことをイメージして、チケットを持たずにスタジアムへ入っていく。「なぜおじいちゃんはチケットもないのに、スタジアムに入れるの?」と聞かれると、「このリングをつけているからだよ」という思いを込めて、ここまでやってきました。クラブハウスが完成し、多くの方々にはお見せできていないですが、今日はお披露目の会を開きました。加藤久さんのご尽力でここまできました。ありがとうございます。

最後になりますが、クラブハウスは家です。ゼルビアで育った選手、いなくなった選手も含め、200人以上の選手たちが関わってきましたが、そんな彼らがすんなり帰ってこられるような、クラブにしていきたいです。J1を目指すことは最終的な目標ではありません。大きなことを言うと笑われるかもしれませんが、クラブW杯も一つの目標です。町田という名前のついたクラブがクラブW杯に出ている。活躍をしている。今は誰も代表選手はいませんが、将来的にゼルビアから代表選手が出ている。この緑山にゼルビアのクラブハウスがあることが喜ばしく思える日が必ず来ると思います。その日が近いことを祈念しています。ここにいる深津康太選手、中島裕希選手。寒い中、ありがとうございます。今季も活躍し、J1に導いてくれると思います。引き続き、FC町田ゼルビアをよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました」

 

クラブハウスの入り口に飾られたクラブ創設者の一人である重田貞夫氏の写真パネル。発案者は大友社長。重田氏が掲げたFC町田の指針「美しく想像的なサッカー」「タフで負けないサッカー」は「永遠のテーマ」(大友社長)。原点を思い出す意味もあるという

 

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