松本雷鳥通信

【雷鳥報道・アンダー】広島ユースに完敗も、松本U-18の挑戦は終わらず -2016Jユースカップ準決勝レポート-

11月13日、ベストアメニティスタジアムにてJユースカップ準決勝が行われ、松本山雅U-18はサンフレッチェ広島ユースと対戦した。
広島ユースはプレミアWESTで現在首位。駒野友一や柏木陽介などの代表選手を輩出した育成の雄である。今年の春に行われたJリーグU-16チャレンジリーグではグループ首位決定戦において1-8で敗れた相手でもあり、文字通り国内最高峰の相手との対戦となった。


広島ユースはトップと同じシステムと戦術を採用しており、じっくり回してプレスを誘い、手薄になった場所にパスを通してスピードを上げてゴールに迫る。3トップを形成する山根永遠、満田誠、仙波大志は技術とスピードを兼ね備えており、DFの死角から飛び出すプレーが冴える。守ってはトップ昇格が内定しているイヨハ理ヘンリーがラインを統率し、危険になる前に芽を潰す予測精度の高さを見せる。
対する松本U-18は攻守の要の賜正憲を出場停止で欠いており、代わりに岡本將吾を起用。他のポジションの選手をスライドさせるという選択肢もあったが、今大会での経験を重視して同一ポジションの選手を入れる形を採用した。岡本は狭いところでもワンタッチでボールを捌ける技術を持つ選手だが、ここまで出場機会が限られており、スムーズに試合に入れるかが鍵となった。

試合の立ち上がりは五分と見えたが、広島ユースは前半8分にエリアのやや外でFKを得ると、川井歩が壁の外を低い弾道で壁の外を巻いてゴールを決める。続く前半14分、松本U-18がゴールキックをグラウンダーのパスでつなごうとしたところを広島ユースの仙波がカットし、そのままGKをかわしてシュートを決める。さらに前半18分、広島ユースはDFに裏に出たスルーパスに山根が追い付き、GKの動きの逆を冷静に突いたシュートを決めて3-0。松本U-18のお株を奪う高い位置からのプレスで主導権を握る。
前線の選手がコースを切ってパスを出させ、中盤でボールを刈り取るチャレンジ&カバーは意思統一がしっかりとなされており、松本U-18は反撃の手がかりをつかめない。逆に松本U-18のプレスは簡単にかわされ、ボールに寄せることで手薄になった場所を使われて逆襲されてしまう。この流れが続き、松本U-18の選手は「行くに行けない」状態に陥り、しばらくは広島ユースの時間帯が続く。
前半の終わり際に持ち直してきた松本U-18は前半45+1分、河地迅也のパスカットからのショートカウンターで得たCKから、トリックプレーでフリーとなった谷口遥斗がシュートを放つもDFに阻まれて前半が終了する。
後半に入ると松本U-18はかわされてもしつこくプレスを掛け続ける姿勢を取り戻したが、技術の差を埋めるまでにはいたらない。広島ユースは後半20分に東野広太郎、後半25分に山根、後半26分と後半43分に満田が追加点を取り、0-7で松本U-18の敗戦となった。


松本U-18は前線から献身的にプレスを掛けてコースを限定してボールを奪うことが基本戦略の一つだったが、そのプレスが失点したことで勢いが鈍った時、勝敗は決していたのかもしれない。名前負けしないことを最大の武器にしてきたチームが、ここにきて初めて名前に負けた印象を受けた。
チャレンジには失敗のリスクを伴う。リスクを恐れずにチャレンジし続ける姿勢がこの試合でブレてしまったことは残念だが、試合中に持ち直して点を取りに行く姿勢を取ったことには拍手を送りたい。松本U-18が武器としてきた走力や球際の粘りで比肩し得る強度を広島ユースは持っており、そこから先は技術の差をどう埋めていくかになる。
裏を返せば、国内最高峰のチームに挑戦する位置まで来ているということでもあり、この試合結果だけでベスト4進出を勝ち取った力が否定されるわけではない。この大会では「県リーグ所属」「ジャイアント キリング」というフレーズが付いて回ったが、それが取れる位置に到達するのに時間はかからないはずだ。挑戦はまだ終わらない。
(文・写真/安瀬朗人)

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