松本雷鳥通信

【雷鳥報道・アンダー】全国の場でこそ知り得ること-第25回全日本U-15女子サッカー選手権レポート-

昨年まで夏に行われていたU-15女子の全国大会は、今年から12月開催となった。元々コロナ禍とは関係ない日程変更だったが、結果として延期や中止とはならず、無事大会が開催された。
前回大会で初出場だった松本山雅FCレディースU-15は北信越大会を勝ち抜き、2年連続の大会出場。1回戦で山雅が対戦した楠クラブレディースは、地元三重県の育成年代の街クラブで、過去にもU15大会に出場歴がある。

山雅レディースU-15の横断幕。他にもサポーター持参の幕があった

●JFA 第25回 全日本U-15女子サッカー選手権大会1回戦
12月12日(土)於:三重交通Gスポーツの杜鈴鹿サッカー・ラグビー場メインG(三重県)
松本山雅FCレディースU-15(北信越第2代表)0-5楠クラブレディース(東海第5代表)13:30KICK OFF

昨年の対戦相手クラブフィールズ・リンダ以上に体格差があり、スタメンの平均身長は中学1年生も含む山雅が154.7cmに対し、中学2,3年の楠クは161.1cmと、一見高校生チームかと見紛うほどだ。前回大会のように気温30度の炎天下なら大きな体格は体力の消耗を招きやすく、体格差による優位はそれ程無かっただろうが、12月の寒さでは全力で動いても消耗しにくい。その為か、試合開始早々から前回大会時とは明らかに異なる速さと強さで楠クに押し込まれ続ける。

楠クラブ(赤のユニフォーム)の攻撃を防ぐ山雅守備陣

山雅の今期のシステムはトップと同じアンカーボランチを置く3-5-2だが、自然と5バックになり耐え続ける。前半22分、楠クのロングボールからの裏抜けに対し、PA外までカバーに出た山雅GKに楠クFWがプレスをかけ、パスコースが甘くなったところをインターセプトしGKを越えるループシュート、という前回大会の山雅の得点を再現したような形で楠クが得点。

PA外からポスト際に決まるシュート

楠クは球を蹴る力が強く、蹴った球速や距離は山雅に勝り、シュートを打つ場所も北信越のリーグ戦ではあまり見られないミドルレンジが多く、結果的にプレス位置やタイミングなど、山雅の守備動作が効果的でなくなった。その為ほぼフリー状態でシュートを打ち、クロスバーのぎりぎり下に落ちるようなループや、両ポストのサイドネットのようなGKの手が届かないコースを狙える技術と精度があった。また楠クは、山雅の選手のキックモーションを見てパスコースを特定、素早い寄せでインターセプトしたり、セカンドボールを拾う。一文で表現するなら『プレイスピードと判断が一回り上』。

ループシュートに触るも、ゴールラインを割り失点

「北信越地区内の各高校や長野レディースU18などに協力を仰ぎ練習試合を組むなど、選手の体格差を想定した準備もしてきた。北信越内では欺しだましでもやれていた事が、他地区のチーム相手では通用せず、北信越と東海の地域のレベル差は少なからずあったと思う」(山雅レディースU-15 藤原監督)
前半は0-3で折り返し、後半も苦しい時間が続くが、徐々に楠クの速さ強さに慣れてきてからは、足下でのボールの奪い合いや短い距離でのパスワーク、スペースへの配球で山雅が攻撃に転じる時間が増える。
「昨年のチームは、個人で打開できるタレントが多かった。今年は飛び抜けた武器を持っている選手は少ないが、その分全員で協力して球を動かす、球を奪ったり守る、という点で昨年よりも継続してチャレンジし、上積みできたと思います」(藤原監督)という言葉通り、相手DF陣を抜くパスを受け、GKと1対1の局面を作り出す。

楠クのプレスを受けつつ、DF4人の間を通すパスを供給し、決定機を作る

山雅のシュートは、僅かに枠外。その後は両チームが互いにボールを奪い合うもゴール前を脅かすには至らず、試合終了。点差は大きく開いたが、山雅が全国の強さを実体験した上で、それに適応できる可能性を見せた。

試合後、監督と主将に聞いた。
「今年はコロナ禍のイレギュラーな年にも関わらず、大会に連続出場できた。怪我人もいて万全ではないとはいえ、昨年に比べればクラブ員も多く、どの選手が出ても戦えるかなと思っていたが、試合の80分間通して力負けした。
昨年は『もう一歩』という感じだったが、今年はやっぱり『まだまだ』だな、という感じ。狙いとしていた部分も少しは出来たが、もっと突き詰めてやらなければいけないし、日常のところ、環境は直ぐには変えられない中でも、もう一回準備しなければならない。
昨年の悔しい思いを取り返しに、と選手達と1年通してやってきたが、今年もまた悔しい思いをして、北信越大会でも決勝では勝てていないので、勝ちきれる強さを身につけて、来年の全国大会に戻ってきたいです。今年の3年生4人は次のステージで、このような舞台(全国大会)を経験してくれれば嬉しい。それが『山雅で』なのか『高校で』なのかは、監督スタッフからは何ともできないが」(藤原監督)

「チーム全員で戦おうという気持ちはあったんですが、相手の勢いや技術にすごく押されてから、もう一回気持ちで盛り返そうというのが足りなかったと。でも最後まで諦めないところは表現出来たかなと思います。大会ですごく悔しい思いが出来たので、この思いを忘れずに毎日練習していきたいと思います」(笠井主将・3年)
https://www.yamaga-fc.com/razuso
(取材・文/すぎほし りょう 写真/上野 晴信)

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