森マガ

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このコーナーは2006年のイビチャ・オシム監督就任時以降、日本代表がどんなトレーニングを行ってきたか、公開された練習内容を整理したものです。

練習取材の楽しさは、試合を見るとより鮮明になります。たとえば、練習のときにダミー人形がピッチに立てられていて、その人形同士の距離や位置などが相手チームとピッタリ合っていたならば、監督の読みが正しかったとわかります。

そしてそのダミー人形相手にどうボールを動かしていたのか、その動きが試合で出るのかなどでは監督の戦術と選手の理解度・実現度がハッキリします。監督の読みは当たっていたのに選手が出来ないのか、あるいは監督の読みそのものが間違っていたのか、練習を取材したあとに試合を見るとうっすら見えてくるのです。

自分たちのチームの原理原則を徹底させ、相手チームの動きよりも自分たちのサッカーが出来るかどうかに焦点を当てる監督もいます。その場合は、練習を何日か追うことで選手の動きがブラッシュアップされ、「自分たちのサッカー」が何か次第に明らかになることが見て取れます。

また、それぞれの監督の練習の進め方には個性がハッキリ出てきます。ハーフラインの攻防を行ったオシム監督がいたかと思えば、アルベルト・ザッケローニ監督は守備の時の体の向きを事細かに指導しました。特に監督が就任したあと最初の練習では、監督が最もフォーカスしている場面の練習を見せてくれることがよくあります。

そういう監督の読みやチーム作り、そしてレギュラーを狙う選手の個性のぶつかり合いが練習では見ることができるのです。しかも代表チームともなると、練習の成果がすぐに次の試合で現れます。トレーニングで見たパターンで攻めたり守ったり、あるいは準備していたコンビネーションがそのままプレーで生きてくるのです。

サッカーは本来、「選手」という要素が最も重要で、どんな戦術も戦略も「選手」というファクター抜きには成り立ちません。代表監督は自分好みの選手を集めてはいますが、それでも選手の個性の組み合わせまで考えないと机上の空論になります。

しかしながらこのシリーズでは、「選手」という要素をできる限り排除した内容にしてあります。所々ではキーになっていた選手の名前を挙げているものの、選手の状態や資質、特徴まで含めてトレーニングからみた戦術を推測するのは、変数が多すぎて内容がボケると思っています。

マニアックな内容かもしれませんが、練習場に行くのが楽しくなるよう整理していきたいと思っています。

 

日本代表のトレーニング前 2018年5月28日

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